複合魔法と魔力映写魔法 18
「“騎士団の訓練”で1年も耐える不屈の根性を示した時じゃないですか?精霊様にも好かれるようになっていますし」
「レイン?!いきなり後ろで喋らないで、怖いじゃないの」
腰が抜けそうになるくらい驚いた私は、涙目でレインに抗議した。淑女の前に人間なのだ、怖いものは怖い。
レニに小突かれて、レインが小さく笑っている。
「殿下、魔獣の分とフェンの分、両方とも20枚ほど映写されていますね。範囲指定は成功だったようです」
「なら、パラパラと捲ってみるか」
言うが早いか、30枚の紙を器用にペラペラと捲っていたグラン様の目が輝いている。
「全てが繋がって動いている様に見える。次は私の耳の魔力波動を見て欲しい」
まだ安全性も分からないのに、負の魔力を体内に宿しているグラン様がゲートをくぐってしまった。
「これだから研究者は‥‥いつも注意しているのにね。そのうち怪我をしてしまうよ?」
「グラン殿、何処かおかしな感覚は?それよりも、大丈夫か?!」
呆れるエドワード殿下の横を通り過ぎて、短刀を置いたフェンがグレン様に走り寄っている。
体調を細かく気遣うのは、範囲指定した魔獣捕獲用の結界魔法の改良版が、人体にどのような影響を与えるか見ていない状態で決行してしまったので、魔獣捕獲用の結界を良く使用する近衛騎士のフェンが心配したのだろうとレインが説明してくれた。
「あー、ハニエル様も相当怒っているみたいですね」
「グレン、貴方という人は!実験物を持った人間は体外でスキャンされるから、貴方の場合は体内だと分かっているのですか?!」
滅茶苦茶、怒られている。
「レイン、あの3人止められない?」
「それは、無理ですね。思い浮かべてみて下さい。魔獣捕獲用の結界の範囲と透過の改良が上手く出来なくて中途半端だったら、頭の中の部分撤去という恐ろしい結果になっていたかもしれませんよ」
きゃー!それはそれでスプラッタなホラーだわ!
レインは優しい表現で、頭の中の部分撤去なんて言ってくれたけれど、実際にそんな事が起きたらグレン様が死んでしまう!
部屋の中には、先ほど通った小さな魔獣がゲート先にある檻の中でオヤツを食べている。魔獣とはいえ命のあるもの、可哀想だと思っていたらエドワード殿下とリアの言葉に凍り付いた。
「まだ囚人で試してもいないのに。グレン、君は今とんでもない極刑相当の行いをしたことに気付いていないでしょ?」
「リーナ様、大変ですよ!グレン様には無属性のハチ精霊様がくっついているのですから!」
頭が真っ白になる程のショックって、きっとこんな感じなのかなと思えるくらい、部屋の空気が凍り付くようなピリリとした感じになった。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




