複合魔法と魔力映写魔法 16
2日後の朝、グレン様から連絡を受けた私達はリリアンヌ様の所に寄っていた。2日前の帰りにお礼を伝えてはいたけれど、グレン様の髪に居るハチ精霊様のご飯を多めに貰うためだ。
そして、私に着いて来てしまったハチ精霊様をどうしたら良いか、リリアンヌ様に相談してみた。
「すまない。基本的にハチ精霊様にお願いは出来ても、彼らが好んですることを止めさせることは出来ないんだ。それに、リーナ嬢はハチ精霊様と意思疎通ができ始めている」
精霊契約は命令ではなくお願いであって、好き勝手できないのが根本にあるのだと教えてくれた。そして、私がハチ精霊様の言葉を何となく理解しつつあることもお見通しのようだ。
「この辺の精霊契約を勘違いする奴もいてね、自分の意見が全て行使されると思い込む奴も多いよ」
今までのリリアンヌ様の対応を見ていると、精霊に好かれる事、精霊を大切にする事、精霊の好物を持っている事、そして精霊契約を守る事、これらがお願いを聴いてくれる条件っぽい。
どちらにしても、ハチ精霊様がリリアンヌ様の所に帰る気になるまで預かる事にして、私達はハニエル様の研究室へ向かった。
「これは一体、何かしら?」
「リーナ、君達も来ていたんだね。」
「エドワード殿下、おはようございます。リュー、フェイ、おはようございます」
受付を済ませて金の羽ペンの案内でハニエル様の研究室へ来たものの、入った部屋に人が通れるようなゲートが置かれていたら脳が機能停止するくらい驚くわよね。
先に来ていたエドワード殿下が、私の反応を見て喜々としている。その後ろでリューとフェイが小さくお辞儀をしている。
「良いよね、護衛同士仲が良いし、お互いに敬称抜きの名前で呼び合って楽しく話していたし」
「殿下、無理を言ってはいけませんよ。皆さん、おはようございます」
「ハニエル様、グレン様、おはようございます」
目の下のクマが酷い状態のハニエル様とグレン様。
かなり無理をしたのか、フラフラとしている2人。それでも手を休める事無く、装置の近くで何かをやっている。
「今回だけです、お2人とも」
見るに見かねて、2人に寝不足状態を解消と疲労回復する治癒魔法をかけた。
「ほう‥‥これは素晴らしい治癒魔法ですね」
「独自の治癒魔法なので、これ以上は癖になっても良くないですから。かけませんよ」
大概、この手の研究者は良くも悪くも味を占めるタイプだ。毎回、同じ魔法を行使して自然治癒を疎かにすると、魔法も万能ではないので身体を壊す羽目になる。だから、釘を刺しておかないとね。
「せめて完成まではお願いしたいのですが」
装置の設計図を手にして肩を落とす仕草をしているけど、聞かなかった事にしてしまおう。
「ハニエル、これは寮にある兄上の住居のゲートに似ているね。」
「ええ。あのゲートは敵意や殺気や害意といった負の感情を読み取るだけではなく。そういった感情のある魔力波動も読み取りますから。その魔法を使って、読み取った物を紙に転写できるようにしたのですが、魔力波形が長いので一部しか出来ないのです」
「この2日間で、一部でも読み取って紙に転写するまでを完成させているなんて!」
凄い事だなと思っていたら、ハニエル様は没頭型で自らブラックな生活リズムを生み出す名手なのだと、グレン様が説明してくれた。
うう、前世で言うところの社畜ですか?!
「どのような結果なのです?」
「連写と定めているのに、1枚だけなのです」
成程、ゲートを通った時に作動した一点って感じなのね。
「範囲指定は行ったのですか?」
身振り手振りで魔力波形の最初から最後までを範囲とするような意味合いを伝えてみた。
「範囲指定ですか、やったことが有りませんね」
そうでした。魔法は特殊な結界魔法などの場合を除いて、攻撃魔法や防御魔法でも個々のレベルによって効果範囲が違ってくる。
そもそも、魔力値の個人差や魔法レベルの差などで効果範囲が何処まで通用するのかを知るのも授業にある項目なのだ。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




