複合魔法と魔力映写魔法 14
「有るとは思うのですが、私が見て来た転写技術をお話しますから、魔法で再現可能か検討してもらえますか?」
「ここには様々な魔法技術に卓説した者がいるのですから、皆で考えれば何とかなるでしょう」
「熱転写方式という物がありました。インクを塗布した長いリボン状の物をインクリボンと言って、紙に書かれた文字や描かれた図柄の部分を読み取り、インクリボンを熱で溶かして紙に転写する様な方法だったかと」
コピー機やファックスなど前世の転写技術を説明するのは難しい。物凄く端折って説明してしまったけれど、頭の良い彼らはそれで充分のようだった。
「熱を使った転写技術ですか。文字や図柄を読み取る、読み取った物を同じ様に塗布や焼き付ける感じで再現という感じでしょうか」
「それだと、部分部分にならないか、ハニエル」
「その部分部分というのは、瞬間的な魔力波形の切り取りって事かしら?意味ある?」
「リュー殿、魔力波形の一部であったとしても、断続的に切り取れば本質的な流れは分かる」
白熱したディスカッションだと感じるのは私だけかしら?
理解と解説のハニエル様に疑問を投げるグレン様。そのグレン様に根本的な質問をするリュー様。
「あの、意味はあると思います。動いている魔力波形の瞬間を、均等な間隔で断続的に切り取れるのであれば、その波形の固有な動きも見られる筈です。
問題としては、均等な間隔の部分を1秒間にどのくらい切り取れるかが精度に関わりますが」
「レニ凄いわ!まるでCT検査の要領みたいね」
「シーティー検査とは、どんなものなのですか?」
難しい未知なる物の解読をしているのに、未知なる言語を投入してしまった。
「身体の中の病巣を見つける為、体内を立体的に読み取って細かく輪切りにした図を作成する装置の事です」
「読み取ったものでも輪切りにされるのって‥‥気持ち的に抵抗があるな」
グレン様が気持ち悪そうに言っているけど、魔法に頼った治療法だとそうなるのかな。
「輪切り‥‥ですか。その考えは斬新というか、魔力波形を輪切りに出来れば個性的な部分も形で認識できそうですね」
「魔力波形の輪切りって、1回の波形が象る流れを掴まないと有耶無耶になりそうな調査ですね」
「レニ、それなら、輪切りと同時に時系列で同じ場所の部分に印を着けて追跡するものを何箇所か入れて変化図を作るのは?」
それ、もう立体映像化の話ですよ、皆さん。
「でも、技術が難しい気がする。そうなると、今できるのは数秒分の魔力波形を、連射で紙に映写してどんな流れかを見る方法が基本になる感じ?ハニエルどう思う?」
「そうですね。グレンの言っているやり方を先に作りましょう。ただ、それをどうやって連続波形として見せるか」
「パラパラ漫画や映画のフィルム的な感じのことかな?」
言ってしまってから、しまった!と口を塞いでも遅かった。
「パラパラまんがとは?えいが、ふぃるむとは何ですか?」
仕方がない、傍にあった本に差し障りのない絵を描いていく。画力に自信が無いので、種から芽が出て花が咲くまでを30ページほどにまとめてみた。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。