複合魔法と魔力映写魔法 6
「殿下、リーナ嬢の今の状況はハチ精霊様にとって必要な事。そのため、魔法転写装置を早々に完成させて使える段階にしなくてはならない。故に、それを我々とリーナ嬢で考える‥‥ここまでは良しとしましょう」
「了承してくれて嬉しいよ」
エドワード殿下とハニエル様の視線が交差して、互いにクスッと笑った。
「リーナ嬢が集中しなければならない状況があった場合、肩代わりの代役を用意してもらいます」
容赦無いと、表現する方が似合っていそうな提案をハニエル様は出してきた。まるで、代役の目星を付けて適任がいるだろう?と仄めかしている様な挑戦的な提示だ。
「そうだね。兄上に提案してみるよ」
水面下のやり取りを見ていた私は、2人の話の落としどころにドラマでも見ている様な気分だった。
「リーナ嬢、あの頃のレイモンドがしていた“腕試し”には決まったメンバーがいた筈です。私はそれ以外にも、学院内で行動を共にしていたのを見ています。」
「その時のメンバーは次兄から聞いて判明しています、ハニエル様」
学院生徒のグループは何種類かに分かれている。貴族は派閥を作りたがる者のグループ、趣味趣向が合うもの同士が行動を共にするグループ、派閥を作らない独自タイプがある。ハニエル様から見たレイモンドお兄様達は、趣味趣向が合うもの同士のグループに見えたようだ。
「普通に趣味趣向が合うだけなら良かったでしょうが、1人良からぬ者が紛れ込んでいたのでしょう」
「スティーブン・ライリール、エルヴィス・サンディスタ、その従弟のケリー・サンディスタかな」
「そして、私。グレン・ロードライが参加している」
右隣の殿下の言葉に付け足すように、目の前に座ったグレン様から発せられた内容。これは、アルフレッド王太子殿下と確認した時に出たメンバーだったけれど、共同研修者のハニエル様は知らないという建前で、エドワード殿下が言わずに話を進めようと配慮したのを、カミングアウトで跳ね除けてしまった。
「承知しています。その頃、私と共同研究していたにも関わらず、君は彼らと数回行動を共にして怪我を負った挙句、研究に必要な時間を失くしてしまったから」
普通に聞いたら恨みがましく聞こえてしまうかもしれないけれど、ハニエル様は事実を淡々と告げてサラリと当時状況を照らし合わせている。
「グレン様、何か考え‥‥グレン様?」
ハニエル様の言葉に、今まで疑問に思っていた部分が再浮上して質問しようと話しかけたけれど、グレン様はハニエル様の方を見てばつが悪そうにしている。
聞こえていなかった?
何か変な感じがした。ちょっとした違和感だけど、見落としてはいけない気がした。
「グレン、リーナ嬢が貴方に質問したい様です」
「えっ、あ‥‥ああ。何でしょうか?」
慌てて私の方へ向き直る彼の仕草に、また違和感のような感覚が沸き起こる。
「グレン様は、何か考えがあって行動を共にされていたのですか?」
「!!」
肩をビクリと震わせて、彼は視線を逸らしてしまった。
「グレン、私も兄上からこの話を伺った時に疑問を持ったんだ。出来れば、話して欲しい」
エドワード殿下の疑問点と私の考えは同じなのかもしれない。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




