複合魔法と魔力映写魔法 4
「リーナ嬢、我々が魔法転写に関して行き詰まっていると知って来られたのですか?」
「半分当りで、半分違うかな」
エドワード殿下が私達の話に入ってきた。
「兄上からの指示でね、2年半前のレイモンド・パステルが守衛室の守り人を襲撃していた事件で怪我人がいた事が判明したんだ」
「あの愚行集団の件ですか。グレン、怪我人って守り人か誰だかわかりますか?」
ハニエル様がグレン様に聞いているということは、ハニエル様はレイモンドお兄様が起こした事件の参加者を知っているという事になる。
青ざめたまま俯いているグレン様は、少し震えているように見えた。くすんだ緑色のストレートの髪が小刻みに揺れていたから。
「‥‥様です」
消え入りそうな声で告げられたけれど、ハニエル様には聞こえなかったみたいで、眉間に皺を寄せている。
「傷ついたのは、ハチ精霊様です」
ハッキリ言えない彼に代わって、私がハニエル様に告げた。
「次兄のレイモンドは剣技を磨くために守り人に奇襲をかける愚行を犯しました。常に剣を使っての実行だった様ですが、メンバーの中に雷と風の属性を使った複合魔法を行使した者がいて、その標的になったのがハチ精霊様でした」
「複合魔法を精霊に?!馬鹿な、極刑ものですよ!」
「なぜ、雷と風の属性を使った複合魔法だと?」
怒っているハニエル様に対し、真っ青になって驚いているグレン様。
私はそっと自分の髪留めを髪から外した。手の中のレースのリボンに包まれたハニカム構造の家から、ちょこんとハチ精霊様が顔を出している。
「ハチ精霊様、皆様にそのお姿を見せて頂けますか?」
テーブルの上にバレッタを置くと、レースの合間からハチ精霊様が姿を現した。
「ハチ精霊様!」
床に跪くグレン様は、彼らの羽を見て力なく項垂れた。
「ハチ精霊様の羽は、形だけは治しました。ですが、まだ飛べません。ハニエル様とグレン様なら羽の中にある悪意の痕跡を感じ取れますよね」
「ええ。何と醜悪な、年月が経って呪いの様な波動に変化しつつありますね。この痛みをずっと患っておられたとは」
悲しげに見つめるハニエル様の視線が、ハチ精霊様から私へと移動している。
「リーナ嬢?!その繋がりは何です?まさか?!」
「ハチ精霊様の痛みを引き受けているなんて!なぜ、君が!」
痛みを受けるべきなのは自分なのだと、グレン様は私の手を取って泣いてしまった。
大丈夫ですからと、彼に微笑んだが逆効果で悔いるように震えていた。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




