複合魔法と魔力映写魔法 3
「この栄養分析というものは、ここ1、2年で解明されてきたものばかり。魔法社会において、然程有用性を見出されなかった食事による健康面の革新的な分野なはずなのに」
言ってしまった知識は、余程、的を射ていたのかハニエル様の厳しい表情が物語っていた。
この栄養に関しての知識は、前世で祖父母の健康の為に薬膳や『野菜〇ムリエ』の資格を取るために勉強したもの。前世の知識なんて言って、殿下を含めたこの場の全員を納得させられるものでは無く、怪しまれて投獄されるのがオチだと思った。
それでも、ある程度は本当の事を言わないとダメかもしれない。私は覚悟を決めて話し始めた。
「私が魔力被弾にあって、3日間寝込んだことはご存じでしょうか」
「パステル補佐官が憔悴して休みを申し出た時に、私もその場に居たから詳細は聞いていますが」
「あまりにも荒唐無稽な内容だったので、誰にも話していないのです。その時の私の意識は、別世界の魔法の無い、文明の進んだ国でいろいろな事を学んでいました」
話した内容が突拍子もない事だったのか、全員が思考停止したような状態で固まっている。
「確かに荒唐無稽ですが、被弾事件は何が起こるか見当もつけられないもの。だからこそ、貴女の話には興味心をそそられます。文明の進んだ国の知識とは如何なるものかと」
そこから、ハニエル様は細かな質問をしてきた。私は具体例を挙げて、求められた質問よりも細かく具体的に回答していった。
例えば、鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、身体への吸収されやすさが異なる事。ヘム鉄はお肉や魚などに含まれるもので、身体への吸収率が高いのが特徴。そして、非ヘム鉄は野菜や卵や牛乳に多くあり、タンパク質と結合していない無機鉄と呼ばれていること。身体への吸収が少ないのでビタミンCなどと組み合わせて吸収率をアップさせて摂ることが大切なこと。
そして、吸収阻害する組み合わせについても話した。
「血液を作る成分は、葉酸・鉄・亜鉛・銅・タンパク質などですが、鉄と亜鉛はビタミンCと一緒に摂ると吸収率を上げますが、コーヒーや紅茶などのカフェインが高い飲み物やシュウ酸と一緒に摂ると吸収阻害を起こします」
「今、掻い摘んで話をしているのでしょうが、リーナ嬢は3日間で1年、それ以上の歳月の知識を詰め込んだ様に感じます。おそらく、学んだのはそれだけでは無いのでしょう」
「そうですね。魔法ではないのですが、物を転写して同じものを作るような技術もありました」
前世という言葉を使わずに、しかも曖昧に出来るような形で納得のゆく説明をしたつもりだったけれど、絶妙なタイミングでハニエル様が話しを振ってくれたので、転写の話も出すことが出来た。
「転写技術ですか?!」
呆気にとられて聞き手に回っていたグレン様が、身を乗り出すようにしている。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




