精霊と妖精 14
見た目だけじゃないと言いたいけれど、精霊と妖精との契約に関して令嬢が口にしていたのはビジュアル的な部分ばかりだった。
「中身なのにね‥‥」
まぁ、今回のトンボの格好は、ハチ精霊のナイトが過剰反応していたから仕方が無いけど、ナイトにトンボというものを知っているか聞いたら知らないという。
トンボ自体がこの世界で言えば、異世界の物。しかも、私の前世に存在した天敵な筈なのに、本能で嫌悪したことになる。
そう考えると、精霊同士のビジュアルや特性は一緒に過ごす上で重大な部分なのかもしれない。
「自室に帰ったら、話し合いましょう」
さっきの話の中で、ハチ精霊のライバルを模したと言っていたから、話し合ってハチ精霊たちと仲良く共存できるようにしてもらわないと大変なことになりそうだ。
階段を作れたものは、精霊や妖精が出す課題が何かを聞いている。
隣で困惑しているブリジットの横で、セレストも小さな馬の精霊の言葉に固まっている。
『私の好きな子を探したら契約してあげる』
「精霊の好きな子って人かしら?それとも、馬かしら?」
セレストになぞなぞの様な言葉をかけている馬の形をした精霊。言っている本質は、そのまま受け取って良いのか判断に困るけど、ブリジットよりは話してくれる分だけ解決のしようがあると思った。
「リーナ様、この子、全く囁いてくれないんです」
『‥‥』
「そうね、卵だものね。喋って謎解きと言うより、卵の形を模している理由があるのでは?」
「さすが、リーナ様!そうですね、では温めてみます!」
私にそう告げて、アッシュとリアの元へ走り出してしまう。
素直さは美徳だと思った。
「私も厩舎へ行ってみますわ」
セレストもブリジットを見習って、精霊の言った好きな子を探すつもりの様だ。
アンジェリーナ様やアデラ様も光のままの精霊たちと会話をしている。
「リーナ、ちょっと良いかしら?」
「アンジェリーナ様、どうされました?」
『あら、聖女に聞いてしまうの?まぁ、良いけど。私は音と香りと熱意に囲まれた場所に居るわよ!』
何の謎解き?って、きっと精霊の居る場所ね。
ああ、何となく分かった気がした。きっと貴族令嬢が立ち入らない場所で、音と香と熱意がある場所。
「この精霊様はとても優しい方ですね。アンジェリーナ様が携わっているけど、令嬢の身分ではおおよそ入る事を止められてしまう場所にいらっしゃるのでは?」
「私が立ち入れない場所?入ろうとしても止められてしまう場所‥‥」
「サラマンダーをご所望でしたよね?火のある所は限られますわ」
アンジェリーナ様はあっと何かに気が付いた素振りを見せて、講堂から出て行った。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




