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魔力被弾で覚醒した令嬢は精霊様と悪意を摘み取る  作者: 真白 歩宙
ハチ精霊編

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造血豆と魔法士団研究所 7

「まさかリリアンヌが許すとは思いませんでした。それほどに、そのハチ精霊様は大切だと話していましたから」


 正に苦楽を共にして分かち合って来たのだと思った。バレッタを横髪に留めて、違和感が無いか確かめたら、結構お洒落だとレニが笑顔になっていた。


「レインとレニは魔法士団の研究所には行った事があるのかしら?」


 食堂に向かいながら、研究所の雰囲気を聞こうとしたら機密扱いだという。そして、外部から来た人には認識阻害がかかるらしく、2人が持っている印象は相反するものだった。


「ハニエル・ウェスティ公爵子息に会うのだから、研究所がどんなところでも問題はなさそうね」

「そうですか?私はあの造血豆ゼリーを作った奴らがいる所だと思うと、居心地悪そうですが」

「レニ、レインの本音が漏れているわね」


 軽食にしようと、野菜サンドをメインにコーンスープとサラダとフルーツを選んでテーブルについた。レニも少し量が多いだけで、野菜がメインのようだ。レインは夕べ食べられなかったのか肉料理が多い。

 食べ始めて直ぐに食堂がザワザワとし始めた。

 遠目に第三王子のレオナード殿下と第四王子のエドワード殿下が食堂に入って来た。2人は人目も憚らず、真っすぐに此方へとやってくる。


「おはようございます。レオナード殿下、エドワード殿下」


 私達は直ぐに立って臣下の礼をとった。


「お前兄上の造血豆ゼリーを食べた強者(つわもの)らしいな。って、何だよ、その草ばかりの朝食は!」

「レオ、駄目だよ。ご令嬢は野菜を多く()る方が多いんだから」


 レオナード殿下とエドワード殿下は双子で同学年。でも、お会いするのは初めてで、男の子っぽい元気な喋り方でくるのは兄のレオナード殿下。その殿下が付き人に何か指図している。その横でフォローという名の説明をしているのが弟のエドワード殿下だ。

 2人の殿下の顔はそっくりで、属性の違いで髪や瞳の色が違う。レオナード殿下は銀髪で横髪の一部にオレンジ色の髪が混ざって肩まで伸ばしている。赤色に金色の縁取りの瞳で、少し上から目線の活発な性格で悪戯好きらしい。

 弟のエドワード殿下は、銀髪で横髪の一部にレモン色の髪が混ざって肩まで伸ばしている。水色に金色の縁取りの瞳で、穏やかで知識を多く持って優しい性格で本好きだと、アルフレッド王太子殿下から聞いている。


「ほら、草ばかりじゃなくて、こっちの肉サンドも食べろ。お前、貧血で倒れたって側近のロナルド・パステルから聞いたぞ!」

「レオ、手掴みで何しているの、ご令嬢に失礼だよ!」

「エドは神経質だよな、サンドイッチは手で掴む物だろ?」


 何というか、これはオースティン殿下に通じる空気感が半端(はんぱ)ない。でも、優しさはあるのよね。私とレニにカツサンドを2切れずつ入れてドヤ顔で此方を見ている。


「レオナード殿下、ありがとうございます。(つつし)んで頂戴します」


 私の横でレニも深く頭を下げている。

 よく見れば、レオナード殿下の後ろに控えた侍従が、カツサンドの大皿を持って顔を引き(ひきつ)らせている。手掴みで配るとは思わなかったのね。


「殿下、どちらへ?」


 足の向きからして大広間の方へ行こうとしているのは確かだった。


「レオナード殿下、私達下々にとって殿下の手で自ら取り分けて下さるのは大変光栄なのですが、恐れ多い事なので、できましたら、こちらの器具をお使いくださいませ。」


 『恐れ多くて、緊張で喉を詰まらせるようなご令嬢が出ては大変ですので』と付け加えた。


「なるほど。私の手からだと緊張するのか、分かったこれを使おう」


 素直なのは良き事かな、レオナード殿下は他のご令嬢達にカツサンドを配りに行ってしまった。奥の方から悲鳴に近い声が上がっている。


「リーナ嬢は、兄上の扱いが上手いですね。助かりました。そのサンドイッチ交換しましょうか?」

「いいえ、レオナード殿下が取り分けて下さった物ですから、このまま頂きます」


 エドワード殿下がそのまま近くの席に座ったので、私達も座り直した。

 そして、カツサンドを摘まんでパクリと食べると、エドワード殿下の侍従が少し驚いていた。でも、レニも気にせず食べているから良い事にしてしまおう。


「アルフレッドお兄様から聞きました。ハニエルに会いに行くなら私も同行します。彼らの研究には、私も携わっていますから」

「ありがとうございます。学院の敷地内にある隣接された魔法士団の研究所へは、関係者しか入れないので助かります」

「ゆっくり食べて下さい。私は本を読んでいますから」


 持ってきた本に目を落とす殿下の仕草が合図だったのか、執事が紅茶を持ってきてくれた。本来は熱々な飲み物だけど、少し急いで食べても大丈夫なくらいの温度になっている。

 2切れ追加されたサンドイッチが、思いのほかお腹を満たしてフルーツが食べられるか心配だったけれど、途中で注がれた熱い紅茶で難なく食べ終える事ができた。

 流石、空気を読んで欲しい状態で淹れてくれた、執事の熟練度が素晴らしい!


読んで下さって、ありがとうございます。

毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。



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