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魔力被弾で覚醒した令嬢は精霊様と悪意を摘み取る  作者: 真白 歩宙
ハチ精霊編

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残りのピースと令嬢たちをとり巻く悪意 66

「シビル嬢のは、魔力暴発と物質的な爆発なのか?!」


 殿下の声と共に、私の横を何かが通り過ぎた。


「いや、怖い‥‥死にたくな‥‥」

「シビル嬢!」

「リーナ?!」


 咄嗟とっさにシビル嬢に走り寄り、その身体を抱きしめようとしたけど、私より先に駆け寄ったブリジットが彼女に飛びついていた。

 同時に物質的な爆発の閃光と聖女候補が持つ結界魔法の光が広がった。


「ブリジット・ルーバンとシビル・サンディスタ、2人の全回復治癒!」


 2人を包み込む回復魔法の魔法陣が幾つも折り重なる様に現れて、大きな光になっていく。

 辺り一面に焼け焦げた臭いが、現状の悲惨さを告げている。


「だめ、今は治す事を考えないと‥‥だめ、だめ、」


 涙が溢れて、ブリジットはどうして飛び出したのだろうかと、心が締め付けられた。


「聖女候補も聖女の片鱗(へんりん)を持っています。恐らく、聖女結界でシビル嬢が爆死しないように身体をとどめてリーナ様の治癒魔法で治してもらおうと思ったのでしょう。それが、犠牲(ぎせい)を最小限に考えた最善の方法だと思いついてしまった」


 カミーユ宰相は、光に包まれるブリジットを見つめながら切ない声で説明した。


犠牲(ぎせい)を最小限‥‥」


 ハッとしてブリジットの(そば)を見ると、(かば)う様にして抱きしめている片腕を失ったアッシュが倒れていた。


「彼は彼女の護衛騎士ですね」

「アッシュ‥‥、アラン・グラントの全回復治癒を‥‥」

「リーナ、彼は幸い一命を取り留めている。他の者に診させるから、今は2人に集中をしよう」


 いつの間にか壇上(だんじょう)から降りて来た王太子殿下が、私の肩を抱いて言い聞かせるように“今、やらなくてはならない事”に目を向けさせてくれた。


「リーナ様、護衛騎士は強いですよ。心も体も。私が手配しますから、アルフレッド殿下はリーナ様とここをお願いします」


 あれ、宰相とアルフレッド殿下が普通に話している。


「アルフレッド殿下、光の中のブリジットは‥‥」


 それ以上は聞けなかった。

 ブリジットは心の親友なのに、怖くて、確認が出来ない。アルフレッド殿下の胸を借りて泣いてしまったけど、アッシュの怪我も酷い状態で、その震源(しんげん)に居た2人がどうなったのか、考えられないほど心は憔悴(しょうすい)してしまった。


「彼女たちに触れても、魔法の連続行使に影響は?」

「大丈夫です‥‥」


 アルフレッド殿下が合図を送ったのか、レニとリアが2人に近づいた気配がした。


「ご報告申し上げます。ブリジット様は外傷も擦過傷(さっかしょう)が少し、脈も安定しています。火傷の部分はほぼ完治しつつあります。火傷の箇所が少ないのはアッシュがかばったからでしょう。不幸中の幸いでした」


 リアの声に、良かったと声を上げて泣きそうになった。


ここまで読んで下さって、ありがとうございます。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

読んで頂けることが、執筆活動の励みになります。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。

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