残りのピースと令嬢たちをとり巻く悪意 39
「4つのダンジョンは1つの家の意識の崩壊から始まり、吸収で強くなったダンジョンを制圧できなかった3つの家がスタンピードに対応できずにダンジョンブレイクを招いた。
初代聖女はその3つのダンジョンブレイクの余波を食い止める為に命を懸けて封印を施したとあった」
だから、サンディスタ公爵家がダンジョンブレイクを招くと、3つの封印が解き放たれて、この国を襲うことになるのだと、アルフレッド殿下は険しい顔で告げた。
建国の話が今に繋がっているとは、誰が予想できただろうか。
「報告です。ダリア・ピアセ嬢が伯爵と共に正門に到着したようです」
騎士団から執務室に連絡が入り、殿下が私たちに試食会場に戻るように促した。
「ハニエル、グレン、結果が出たらロナルドに伝えて欲しい。ロナルドは頃合いを見て私に報告をするように」
テキパキと指示を出し、状況把握をしやすい状態に人を配置していく殿下。私たちも、素早く会場に戻り、ダリア様が来るのを待った。
ソレット・タールカ第三隊長とダレン・ガレット第四隊長に護衛されて、ダリア・ピアセ伯爵令嬢とディーノン・ピアセ伯爵が試食会場に入って来た。
「アルフレッド王太子殿下、この度はお招き頂きまして光栄に存じます」
臣下の礼をとるピアセ伯爵の後ろで、ダリア様が緊張した面持ちでカテーシーをしている。
「さて、試食会の料理にはワインに合うものもある。その辺りの意見も欲しいのだが、試食をして貰ってからにしようか。
ロードライ公爵のグラン殿とリーナに頼むとしよう」
「リーナ・パステル?!何故、貴女がここに呼ばれているのよ!」
感情を露わにして私の方に来るダリア嬢の前に立ちはだかったのは、グラン様だった。
「ピアセ伯爵とご令嬢、私はグラン・ロードライだ。リーナ・パステル伯爵令嬢こそ、今回の試食会の発案者で、ロードライが長年抱えて来た、造血豆の扱いを劇的に改良してくれたご本人なのだ」
「何ですって?!授業にも出ずに、」
「ダリア、控えなさい」
「でも、お父様!」
「ダリア!」
食い下がるダリア様を叱責するピアセ伯爵は、低い声でダリア様を抑えつけた。
握った拳が震えて、睨んでくるけど、私はダリア様にそこまでされる様な事をしたのだろうか?
「これでは試食どころではないな。ピアセ伯爵、先にご令嬢を治す必要がありそうだ。ロナルド、結果の報告を」
「殿下、ダリア・ピアセ嬢からアレが検出されました。ピアセ伯爵も、微弱ながら目視できる状態で有ります」
「な、何が有ったと?!」
厳しくても流石に、自分の娘から何かが検出されたと聞いて不安な表情になる伯爵。その心境の変化を逃さず、伯爵に執務室へ移るように告げた。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




