造血豆と魔法士団研究所 1
「長年の胸のつかえが取れた気がする。ハチ精霊様を傷つけたのがレイモンドでなかったとしても、彼女にとっては、そういった輩を招いた張本人だったからね。リーナ嬢に感謝だな」
謝罪は本人が心からしないと意味の無い形式になってしまい、同じ過ちを繰り返すのだと王太子殿下は机に寄りかかり、襟元を緩めて大きくため息をついた。
「スティーブン、エルヴィス、ケリー、そしてグレンか」
「リリアンヌ嬢は感知出来ていなかったようですが、ハチ精霊様に聞いてみるそうです。リーナが感じた属性の痕跡と答えが一致したら次の段階ですね」
そこまで言ってから、レニの一言でその場の思考が停止した。
「王太子殿下、ロナルド様。オースティン殿下とレイモンド様が襲撃の仲間の名前をリリアンヌ様に話す事は無いのでしょうか?」
失念していたわ。一番やってはいけない事だから。
「その辺りは大丈夫じゃないかな。殿下と私で『事件に関わった者の名をリリアンヌ嬢に告げたら、死人が出るからね』って念押ししておいたから」
冗談には聞こえないから本気で言ったのね、お兄様。
「こちらで調べている以上は、箝口令が適用されることも教えておいたから、喋りはしないだろう」
良かった。王太子殿下は最もな理由で2人を納得させてくれたみたい。
「さて、リーナ嬢。君の体調に合わせて早めだが夕食を用意した。食べて行きなさい。君らもね」
気が付けば夕方の5時を回っている。王太子殿下が呼び鈴を鳴らしてから、私を席に誘導して席に着いた。ロナルドお兄様も座わると、レインとレニも入口に近い端の方に座った。
ドアが開かれ、執事と2人のメイドが入って給仕を始めた。
「こちらのご令嬢と近衛騎士に指示したものを」
執事の説明で、滋養のつくホロホロ鶏のスープや数時間煮込んだブラックバッファローのお肉と豆のシチュー、新鮮なサラダやチーズが入ったパン等が並んだ。
「リーナ嬢、マナーは考えずにその煮込んだシチューから食べると良い。チーズパンと一緒に食べると中々、美味しいものになる。良く噛んで食べるといい」
言われた通りに食べると、深い味わいでハーブ等を一緒に煮込んだのかお肉の臭みも無い。ついつい、パクパクと食べてしまう。
「本当にチーズパンに合って美味しいです。お兄様は食べないのですか?」
「リーナ、私はダンジョン遠征の時に嫌っていうほど食べているからね」
そうなのかと、最後の一匙を食べた時だった。
読んで下さって、ありがとうございます。
これから毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
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誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




