ハチ精霊とひみつの塔と女王 6
すると、茂みが二つに分かれ、小道が続いて行く。その道を、エマニュエル様とグラン様に案内されながら、歩いていった。
「小さな泉とお花畑が広がっているなんて‥‥」
「ここだけ一年中、春の魔法がかかっている」
「ハチ精霊様が蜜を採取できるように、ですか?」
穏やかに笑うエマニュエル様は、それもあるが‥‥と、塔を指さした。
近くに来ると、塔の大きさはとても大きかった事に気付き、見上げる高さに階段で息切れしないか不安になった。
塔の入口にハチ精霊様の絵が描かれた扉があり、エマニュエル様が手を翳すと音も無く開いた。中には緑と金色のハニカム構造の部屋が壁や中心に埋め尽くすように幾つもあり、その中でハチ精霊様の卵が眠っていた。
「ハチ精霊様は此処で生まれ、我々の召喚に応じてくれる」
甘い香りのする塔の階段を上がっていくと、ハチ精霊様を大人風にした凛々しい騎士達が立ち並んだ螺旋状に進む廊下に出た。
「彼らは女王のナイトだ。ハチ精霊様の中でも攻撃特化の精鋭だ。招かれた客には優しいから安心すると良い」
ハチ精霊様の顔が、人型なのは女王と初代ロードライ公爵の家と契約をした時から、その美しい容姿を真似たのだとリリアンヌ様が教えてくれた。
確かに攻撃特化のナイトはエマニュエル様やグラン様と体系が似ていて、顏も美形揃いで、ある意味物凄く美しい光景なのかもしれない。
自分を見下ろすナイトたちが、目が合うと会釈してくれる。
ここにブリジットが居たら、美に敏感な彼女は感激のあまり叫んでいたかもしれない。結構ミーハーな部分というか、乙女チックな部分があるのだ。
「エマニュエル様、この廊下少し傾斜があります?」
良く見れば螺旋状に少しスロープになっている。左右に6人ずつのナイトが立っていて、月と太陽の絵に蔦の紋様が描かれた白い扉が現れた。
その前に白と黒のローブを着たナイトが立っている。
「女王に会いに来た。会いたいと仰っていたリーナ・パステル様をお連れした」
『精霊王様から加護を受けたリーナ、入りなさい』
『他は此処で待たれよ』
白いナイトが扉を開けて、私に手を差し出した。黒いナイトがエマニュエル様とグラン様を制止した。
『恐れることはない』
『そう、女王が待っている』
この二人のナイトは、通って来た廊下に並んでいたナイトと少し違う気がした。先ほどから、何か引っかかる感じがしていたけど、女王様を待たせるのも良くないと思い、白のナイトの手を取った時だった。
『お前たちは、ここでこの者たちと待ちなさい』
黒のナイトが私のローブのフードを裏返した。
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