政権キャッチプリキュアC
本当に爆破することなんてないだろう。
そう考えながら眠りに着いた大学生は、目を覚ました時に自分の浅はかさを痛感した。
「そんな...まさか...」
鳴り響く轟音と、地震と紛うほどの地鳴り。
枕元に置いてあったスマホを確認する。
画面には何件もの不在着信とSNSの通知があり、急いでロックを解除しようとするが、突如画面に現れたポップな爆弾のイラストと共に操作が効かなくなる。
そして耳鳴りと共に激しい頭痛に見舞われた。
スマホの画面左上には、嘲笑うかのように5Gという文字が書かれている。
「これが...5Gの...力...!」
動けないほどの頭痛に襲われているが、体が勝手に動き始める。
痛みは頭だけでなく、体のある部分にも出始めた。
そう、左の上腕。丁度、新型コロナのワクチンを打ったところだ。
血が沸騰するように熱く痛み、腕を見ると、おおよそ人の腕とは思えないような形状に変形してしまっていた。
「私の遺伝子情報が...!ワクチンのせいで...!」
もう人の形すらしていない“それ”は、5Gの力で動き続ける。
「──三つの、密」
緑の衣装に身を包んだ妖艶な彼女は、艶っぽい唇で優しく、それでいて凛々しく呟き、華奢な指をくるくる回し、集まってきた“それ”らをまとめて一つの肉の塊を作った。
「ソーシャルディスタンス!」
彼女が手を大きく振りかざすと、塊は国立大学へ向かって飛んでいく。
塊の中の一人一人が破裂し、連鎖して大爆発を起こす。
爆音と共に校舎は崩れ落ち、辺り一帯を火の海にする。
「コロナを収束させるためには...多少のサクリファイスが必要になります...」
百合子の頬に一筋の涙が零れる。
「それは、違うで、あります」
「安倍元総理...!」
晋三は、相方である金髪の好青年──トランプを連れて現れた。
「いきますよ!」
「イエス!シンゾー!」
「「アベノ...ミクスッ!《合体》」」
二人は手を繋ぎ、目を合わせて唱えると、眩い光が二人を包み、瞬く間に融合する。
フリルのついた黒のスカートを身にまとう、金髪の安倍晋三が、胸の前で指でハートマークを作り、百合子に向けて
「目を、覚ますで、あります...ッ!」
晋三はビームを放った。
「国民は、何人たりとも、犠牲にしては、ならないので、あります」
百合子は膝から崩れ落ち、大粒の涙を流して地面に染みを作った。
CはcovidのCです。悪霊の家かなぁ。
これって公職選挙法とか誹謗中傷で訴えられたりするかなぁ。