001:異世界転移と各々の状況
とりあえず、異世界転移します。
異世界転移とか大好物ですという主人公
最強ビルドで無双しようと張り切りますよ。
とりあえず、5203文字、短編で終わらせようと思ったのに、終わらなかった。
長くはならない予定
「それでは、これでよろしいですね。佐藤 啓太さん。」
謎空間で最終確認を行って来る女神様。
この女神様、すっげぇかわいいのに、なんか表情が落ち着かないんだよなぁ。
かわいそうな物を見るような目でこちらを見ている気がする....
出会い当初はそんなこと無かった気がするんだけどな。
「ええ、もちろんですよ。
見てください、この最強ビルドを!!」
「剣技(極)に体術(極)
これで、剣を使う分にはかなう者は居ませんし、体術(極)のおかげで回避も完璧。
この上で。聖剣エクスカリバー(複製)を振るうわけですよ。
これで勝てない相手は居ないでしょう!!」
「ええまあ、エクスカリバーも複製とは言え、あの世界から持ってくるわけにはいきませんから、ほぼ同じ性能を私の力で再現しておりますので、相手がドラゴンであっても、正面から打ち勝つことは可能だとは思いますよ。」
「そうでしょう、そうでしょう。
その上で、四元素魔法を高レベルで習得しています。
どうですか、この隙の無いビルドは!!」
「そうですね、火魔法を中心にこの世界の魔導師では最強レベルの魔法を選ばれていますので、万の軍勢を相手にしても引けを取ることは無いかとは思います。」
「えーと、そのう、何度も言いますけど、もっと生活に密着した魔法やスキルは取らないのですか?
料理とか、狩りとか、革細工なんか良いと思いますよ・・・」
「ああ、そういう、生産系は苦手なんですよ。
MMOやってても、なんであんなスキル上げの苦行を続けるのか分からないんですよね。
男なら最強!! それでいいと思います!!」
「はあ、それでかまわないのなら良いんですけど....
それじゃ、能力とかが問題なければ、向こうに送りますね・・・」
こうして、俺様こと佐藤 啓太は異世界『トラストワールド』に旅立ったのだった。
***【佐藤 啓太】***
気がつくとそこは、草原のど真ん中、と言うには語弊があるな。
右を見れば森が見えるし、左には小川が流れている。
どちらも結構距離があるみたいだから、草原のど真ん中でも間違っては無いか。
「きたぞ~~~。異世界だ~~~~!!」
つい、うれしすぎて叫んでしまった。(笑)
現実世界だと少しオタクでさえない中学生だった俺が、何の因果か女神に見いだされて異世界に来ることになった。
なんでも、現実世界に未練が無く、若く、居なくなってもあまり周りが騒がないだったかな?
そんなやつは、腐るほどいるとは思うが、その中で俺様が選ばれた。
あ~何だったかな。
魔物とかが跋扈しており、人族の生活圏は全体の一割に満たない。
このため、強い冒険者が尊敬され必要とされている。
そう、冒険者!!
この世界には冒険者がいる。依頼を受けて謎を解き、魔物を倒す。憧れの職業冒険者が。
異世界チートで最初から最強の能力を持っている俺様なら、すぐにSクラス冒険者になって、活躍してみせる!!
後は何だったかなぁ。
たしか、人族の生活圏を広げて欲しいとかいっていたな。
まあ、冒険者として魔物とか狩っていれば勝手に広がるでしょう。楽勝、楽勝
まあ、まずは自分の性能確認だな。
エクスカリバーは腰に差してあるな。少し抜いてみるか。
・・・・・・
良い感じだ。自分の手足のように振るえる。
まあ、これ以上は相手が居ないと分からないから、魔法の確認に行くか。
まずは、「エクスプロージョン!!」
どっごーん!!
良い感じだ。森をめがけて打ってみたが、入り口から半径100m位か?吹っ飛んでいるな。
後は、適当に打ちまくってみるか....
***【一般冒険者パーティ 森の息吹】***
「なんだ、なんか、叫び声が聞こえなかったか?」
「聞こえたわね。『いいせえ、かいだ』?良く意味が分からないわね、雄叫びみたいな叫び声かしら?」
「ああ、かもしれないな、新人が魔物に会って慌ててるとかかもな」
「この辺の魔物で叫ばなければならないようだったら、さっさと冒険者は引退した方が良いわね」
「違いない(笑)」
薬草最終の依頼を受けていた、パーティ『森の息吹』は薬草を採取しつつそんな会話を行っていた。
「で、どうするのよ、新人さんだったとしたら助けに行く?」
「まさか、この辺で逃げ回らざるを得ないようなやつなら、どうせそう遠くないうちにくたばるに決まっている」
「声の感じからして野郎だと思うしな(笑)」
「はいはい、どうせそんなことだろうと思ったわよ。まあ、今は依頼の途中だしね早いとこ薬草を持ち帰ってポーションを流通させないとね」
そう言って、淡々と薬草の採取を行う森の息吹の面々、実際、街ではポーションの在庫が切れかけており、森に詳しいエルフであるリーダー『エルフェス』への指名依頼の形で受けた依頼だった。
「まあな、本当はこの辺の薬草はもう少し寝かせておいた方が良いんだがな....
この状況じゃそんなこともいってられない。ここの分で駄目なら別の森まで遠征するしかないかもな・・・」
「はいはい、こんな時、お人好しのリーダーは困るわよねぇ、たいした報酬も出ないのにこんな仕事だけ回されて」
「ちげぇねぇ(笑)
まあ、いつもの切った張ったよりのんびりできて良いじゃねぇかよ」
そうのんびりと話をしていたそのとき
どっごーん!!
それは、突然の爆発だった。
突然のことで、何が起きたのか分からないエルフェス....
「なんだ、何が起きたんだ。
おい、ミシェール、ブローニ、ワタ!!
無事か!!」
仲間に声をかけるエルフェス.....
「・・・・・・・」
ちゅどーん!!
答える者の居ない返答。呆然とその状況を受け入れきれずに居るエルフェスをあざ笑うかのように、再び爆発が開始した。
「どうしろって言うんだ」
緊急時といえど、いや、緊急時だからこそ、長年培ってきた冒険者としてからだが勝手に反応する。
むりだ、この魔法?攻撃の中、元凶を見つけ対処することは不可能に近い。
まずは、街に戻ってギルドに報告せねば....
これだけの破壊魔法を使える存在。....ドラゴンか、リッチか少なくともそれに類する何か居ることは確かだ・・・
幸い、そんなに深い森では無い。
このまま、逆方向、森を突切って逆側から街道を目指し、迂回路で街に戻ろう。
こんな街の側に災害級の魔物が現れたとしたら....
エルフェスは一度だけ身震いをし、森の奥に駆けだすのだった。
「それにしても、何の目的でこんなことをしているんだ?
あれだけの魔法を放っていると言うことは、最悪、同クラスの魔物2匹による戦いの可能性もあるか....」
「だが、魔法を防がれている感じがしないし、殺気も感じなかった....
なんか、無意味に魔法を打っているだけのような感じがして、気持ちが悪いな・・・」
***【佐藤啓太】***
ふう、魔法の確認はこんなもんで良いかな?
森が見る影も無いね(笑)
地形が変わっている(笑)
やっぱり、火魔法が強いね、使った後に森の木々に延焼するから、敵を殲滅するのにはうってつけだ。
そして、ファイヤーで十分な火力を持っている、多分、2~3人なら燃え尽きるんじゃ無いかな?
「いいねぇ、俺様、最強!! ってか」
思いっきり魔法を使ったから、今の魔力は1割無いかな?
少しめまいがするね。でも、徐々に回復していっているのも分かる。
たぶん、全回には大分・・・一晩くらい・・・かかるみたいだけど、地形を変えるくらい魔法を使ってこの感じなら、まあ問題は無いね。
「さて、それじゃあ街に向かいますか
って、街はどちらにあるんだ?」
まあ、適当に歩いていたらなんとかなるだろう。
小川があるから、川沿いに下流に行けばなんかあるでしょう。
***【キルシュの街 ギルド】***
「それで、森で薬草の採取中に突然の攻撃を受け、這々の体で逃げ帰ってきたと言うことか?」
厳つい顔をしたギルドマスター『グランド』がそう問いかけてきた。
「ええ、その通りです。
仲間の仇もとれず、何が起きているのかも確認せず、逃げるのが精一杯....
はは、何やってんだろうなぁ俺は....」
「・・・・・くそが!!!」
「分かった、同様の内容、破砕音を聞いたという報告、幾つか上がってきている」
「エルフェス....おまえはもう休め。おまえのやったことは正しい。
蛮勇をふるって戦いを挑んだからと言って勝てるとは思えない、その魔法攻撃のさなか、魔法を放っている相手に近づこうとしたなら、恐らくおまえも戻っては来られなかったろう。
一番近くに居たおまえがこうして状況の報告をあげてくれたことで、俺たちは対策を打つことができるんだ
だから、休め」
グランドはその厳つい顔に似合わぬ優しげな表情でそうエルフェスを慰める。
「・・・・・・はい」
エルフェスはそう言うと、気落ちしたそぶりを隠そうともせず、ギルドから出ていった。
「大丈夫ですかね?エルフェスさん」
「どうかなぁ、恋人のミシェールをいきなり無くし、状況確認も仇の姿すら見れずに戻ってきたんだ。
頭では冒険者として正しいと分かってはいても、割り切れるもんじゃ無い」
「あの状況下で冷静な判断ができるんだ、間違いなく一流の冒険者だよエルフェスは。
だから、と言う分けでは無いが、乗り越えてほしいものだな...」
「さて、実際問題は何も解決しちゃ居ないんだ。
これだけのことができる魔物と言えば、何が居る?」
「ドラゴン、ストームジャイアント、悪魔、ジン、イフリート......そして、リッチってところですかね」
「後は未確認の新種とか、アウターゴッズの類いか・・・」
「実際、ことが起こる前に大型の魔物の目撃例は無い、
悪魔が呼び出されるほどの瘴気も確認できていないし、イフリートにしても火気が無いし、サイズが大きい
ジンに願ったにしては意味が分からんし、正直新種だの神々だのだとすると考えるだけ無駄だ。
必然的に、対象はリッチもしくはそれに類する者...である公算が高い」
「リッチとしても、かなり高位のリッチになりますね、そもそも、何を目的に行ったのかが分からない」
「まあ、リッチなんぞというのは大体が気が触れた魔導師とかが最後に至る者だからな、あやつらの考えることなんぞ考えるだけ無駄だ」
「で、被害のほどはどうだった?」
「はい、確認に向かわせた者の話によりますと、ここ、キルシュの街から西に10kmほどいった場所の森の入り口付近に置いて、半径100mほどの地形がえぐられていることを確認したとこのとです。
被害の状況から、複数の四属性魔法を連続して打ち込まれたものと思われます。」
「なに、火属性だけでは無いのか?」
「はい、風魔法により切られたと思われる切断痕、土魔法による隆起、水魔法による水気などが確認されたようです。
また、破壊の状況から想定される術者の位置に人と思われるものが居た痕跡が見つかったとのことです。」
「ほう、やはり人型か.....」
「足跡などから、足のサイズ28cm、体重60kgほど、足のサイズから見ると身長180cm~200cmほどではないかと思われます。
また、その場から、川の方に移動した痕跡は見つかりましたが、その場に向かう痕跡は見つけられず、川にたどり着いた後は、痕跡を消すためでしょうか?川に入ったと思われ、それ以上は分からなかったとのことです。」
「足のサイズの割に体重が軽いな....
立ち去る痕跡しか無かったのなら、それはフェイクかもしれんな、本体は風魔法で浮いていて、土魔法で足跡を作ったとかな。
四属性全て使えると仮定すれば可能性は否定できん」
「それだと、浮遊の魔法を使いつつ、あれだけの魔法を唱えたことになりますね、ちょっと考えにくいのでは?
それと、足跡に関しまして、靴と思われるのですが、木靴や革靴といった感じでは無くなにか柔らかい素材、それも、横に線のような文様の入った足跡だったようです。
おそらく滑り止めの加工では無いかと思われ、高い加工技術を持った種族では無いかとの考察が成されています。」
「やっかいだな、そうすると、リッチの線は消えるか、高い加工技術を持った魔法種族が何か分からないが魔法を連発した?
ハイエルフやエターナル、それこそ神話の種族しか出てこないぞそれは.....
やはり、足跡関係はフェイクで自らの正体をさらさないためと見た方がただしいか、どちらにしろ、かなり狡猾でやっかいな相手らしいな」
「はい、最後に現実的な被害なのですが.....
森は壊滅的ダメージを受けています。
この被害で、森に居た動物が、より奥に逃げていることが確認されました。
また、被害を受けた周辺は、薬草の群生地とのことで、しばらくというか、今後10年くらいは薬草の採取は絶望的とのことです。」
「絶望的だな・・・・
これからの食料確保に問題が生じた上で、薬草の供給がほぼ止まると言うことか....
ポーションの高騰が始まり、初級冒険者などが食い詰めることが予想されるな。
早いとこ代官殿に報告して、ポーションの自給方法をなんとかするか、最悪一部冒険者をよその街に移籍させるしか無いか....
治安の悪化だけは避けなければならんからな」
参考までに、この世界の平均身長は160~180cm、体重は80kg~120kg位ですかね
筋肉質で無いと冒険者とかやってられないのでw
また、足のサイズは24~26cmくらいが普通。
主人公の体格は170cm/63kg、足のサイズは28cmまあ、これくらいなら、まあ居るかなと言う感じじゃ無いかな?足は大きめだと思うけど