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寮母 グレア

 朝になると騒がしくなってきたな。


魔動エレベーターで下に降りると食堂の前に人だかりができている。


「あれなんなんだ!?」


「外でたくさん縛られてるぞ!」


「それよりいい匂いがする~」


「くそぉ~地獄のようだぜ!」


 ざわざわと学園の生徒が出てくる。


「静かにしな!お前らはさっさと飯食って学園にいきな!」


 グレアさんが一声で一蹴する。


「さてこれは、どういうことかあんた説明してもらおうかね⋯⋯」


「わーん!グレア姐さん~!ウチは被害者や!堪忍してぇ~」


 アクアが泣きながらグレアのひざにしがみついている。


◇◆◇◆◇◆


 アクアがグレアに問いただされている間に夏樹()達はシェール達がいると思われる食堂に移動した。


「師匠、こっちです~!手が足りないんで手伝って下さい~!!」


 シェールが手を振ってこっちに鬼気迫る合図をおくる。


 アバリムとレオナの前では食品だった物が散らばり殺伐としている。


 レオナの笑いながら包丁を握る姿がヤバい。アバリムも同様に凄い。


 慌てて食堂で夏樹()もご飯の支度をしていたのだが流石に視線が痛い。グレアに問い詰められ、手がとまる。


「師匠~。なんか視線が痛いんですが⋯⋯」


「おいエルフ、ルシファー様がお腹がお空きになっている。早くしろ」


 パイモンがシェールに食事の催促をしているが、回りに人だかりが出来ているため、時間がかかっている。


「あんたら学食があるのになにしてるんだい?」


「あれが学食ならメニューを改めた方がいいのだ。メニューが強化補助材だらけで不味そうでしかないのだ」


 ルシファーが学徒が食べていたものを指差す。


 強化補助材とはさまざな薬草とドリンクを粉末状にしたものをここで取れたと思われる芋と一緒に食べているものだった。

 様々な効能の書かれたメニューに色が変わった芋が、でてくるのを見たルシファーが流石に嫌がった。しかもここの芋は辛いらしい。和からしのような味がするようである。


「そんなことはわかってるんだよ⋯⋯。でもここで食を求めるやつは居ないんだよ。土地が絶望的に死んでるからね。保存も効きやしないし、料理というものをできるものは皆、アクアシティにいっちまうのさ。だから栄養補助材を使って栄養を詰め込んでせめて、腹でも満たすようにしてんのさ。⋯⋯であんた達のしてることはここの学徒達に対するいじめだよ!そんないい匂い嗅いだことないよ!」


 料理レシピなどはここの学問都市はないみたいだな。


 貿易もなく閉鎖的である学園には成績が優秀でなければ飯も、悪いんだという。近衛騎士の養成所はどうなんだろう⋯⋯。


「うぅ⋯⋯とても可哀想ですぅ。昔の私を見てるみたいです」


「転移魔方陣を繋げれば問題は解決しそうだな」


 レオナとアバリムが話を聞いて解決策がないかを確認していたみたいだ。


「⋯⋯」


 グレアが黙っているとアクアが口を開く。


「それは駄目なんや⋯⋯ルール違反になるんや」


 ルール違反?この街の中に設定されてたのかな?


 首を傾げているとグレアが少し考えてから教えてくれた。


()()()()()()の開通は許可されないんだ。それはこの世界のルールなんだよ。それに簡単に出来ないから困っているのさ」


 どうやら王がいる場所毎に移動や物資などは許可がいるみたいだ。


 閉鎖された理由はわからないが、気軽に移動などはタブーとなっている。参ったな⋯⋯帰る事も出来なくなっているって事じゃないか。それは困る。


「できましたよー!」


 シェールの声で一斉に振り返る学徒達。


「こんな状態では気分も滅入るのだ。マスターちょっといいか?」


 ルシファーの言葉にグレアは驚いているが承諾する。夏樹()としては住みやすい世界になってもらわないと困るからな。


 

◇◆◇◆◇◆


 学徒達にはとりあえず話をして、我慢をしてもらった。急に食料を出されても、いつかは無くなってしまっては意味がないからだ。


 この学園には農業はないみたいだ。土地のせいもあるのだが来るものは騎士見習い、貴族、学者などのために生活に困った事のないもの達の集まりで烏合の衆であった。


 召し使いは近衛騎士養成所に取られているために自分たちではどうすることもできず諦めていたとのこと。


「ここがイモコの生産場所だ」


 どうやらあの芋はイモコという品種らしい。


 土地の色が黄色い⋯⋯若干刺激臭がするし、これが原因で辛くなるのかもしれない。


「ここの土地は水と反応して変化しているようなのだ」


「なぁなぁ⋯⋯こないなとこきて、あんたらどうするつもりなん?」


 アクアがグレアと一緒に様子を見ている。


「ここですね」


「間違いないな。何か地下におるようだぞ」


 シェールとアバリムが土を触り、成分を確認したみたいだ。

 途中、パイモンが説明をしてくれたんだけど、どうやらここの場所の地下に竜水が流れてるみたいで、それが地下にいる魔物の魔素と混ざって土の性質が変わってるみたいなんだ。


「ここには井戸があったんだが⋯⋯数年前に潰れてしまったはずだ。それ以来、水は汲んではくるんだが水を土にかけると濁るんだ」


「地下⋯⋯んー。そうや!確か今日捕まえられたホムンクルスの仲間もここに来ていなくなったりしたんやった!でもなんで忘れてたんやろ⋯⋯おもいだせへんわぁ」


 アクアが首を傾げてうんうん唸っている。


「まあ細かい事はいいのだ!とりあえず魔物退治なのだ!パイモン!アバリム頼んだのだ!」


「おまかせください!」


「ではパイモン様!我が先人を切ります!《天穴開放》」


 アバリムが地面に向かって手刀を入れると、地面が真っ二つに開き始める。


 中から赤い目がギョロリと見え、外に飛び出してくる。


「ん?メカ?」


 現れたのは巨大な動物なのだが半分が装甲の機械であった。










 




 


















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