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学問都市 アルムガイン

「あの様子では敵の襲来かと思ったぞ⋯⋯ドラゴンが綱をひいてくる得体の知れない物がこちらにきたのだからな。さらには悪魔が馬車をさらって行ってるように見えた」


 この世界では飛行魔法は失われた魔法の為、空を飛んでくるものは魔物と相場はきまっている。

 衛兵たちは上空から近づく魔物に一度、襲撃をされたことがあり、近づく物は攻撃を仕掛けていくようにしたらしいのだ。

 パイモンが馬車を持ち上げる様子はまさに強奪したように見えたらしい。ベリル達はパイモンが攻撃を仕掛けられた為、少し遠目の場所に降り立ったので今向かって来ているところだ。


「すまない。普通はこうなるんだよな」


 夏樹()が謝るのを見るとパイモンが舌打ちしながら小さく呟く。


「空を飛んでいた程度で人間ごときが⋯⋯」


「砲撃にしては少しだけ面白そうなものだったのだ」


 ルシファーは放たれた砲撃を分析していたようである。


 砲撃は魔法というより化学兵器の対空レーザーに近いものが飛んできた。魔法障壁に当たり拡散はしたが高火力の塊が何回か当たった為パイモンの浮遊する軌道がずれ危うく馬車を落としかけた為に機嫌がわるい。


 衛兵達も緊張感が漂いながら奥へと中に通してもらう。奥には学者と数人の騎士が待機している。なにやら数人が話し合いをしているようだな。


「こやつらがあの光の⋯⋯」


「空も飛んできたらしい」


「通達では⋯⋯何⋯⋯通すのか?」


「納得いかんぞ!ちゃんと従って貰わねばならんからな」


「それで⋯⋯今回の内容は?」


「なっ?こんなやつらにここまでのものを用意するのか!」


 ざわざわと学者と騎士が言い合っていたが一人の騎士が目配せをすると奥にいた騎士が駆け足で何かを取りにいったようだ。


「ごほん!お前ら!ルールはルールなので入所試験をまず受けてもらう」


 騎士の1人戻ってきて荷物を持ってこちらにくる。


「入所試験か⋯⋯まだ仲間がいるんだが?」


「どんとこいなのだ!」


「ふんっ」


「あとからそいつらも試験は受けてもらおう。ここは学問都市の為に学術とスキル術の応用ができないやつはお断りしているのでな。ちょっとしたテストだ」


 荷物には小型のモニターとボードが持ってこられる。


『それではテストを開始します。魔力装置作動』


 電子音とともに声が響く。


 小型のモニターから映像が地面に写し出され問題が地面から壁へと伸びていく。


「学術と聞こえたがこの程度の問題か?1問目は魔法召喚の制約と只の歴史じゃねぇか。2問目も魔法力学か⋯⋯召喚『グレーターデーモン』」


 パイモンが地面に手をかざし青い炎の線で魔法陣を書いていく。


 魔法陣が書けるとなかから巨大な悪魔がひょっこり顔を出す。


『はっ!お呼びですかパイモン様!⋯⋯うおお!後ろにおられるのはまさか!伝説のあの方ですか!ぬぉぉぉ』


 後ろにいるルシファーを見るとグレーターデーモンが縮こまった。若干息が荒いしモジモジしてる。


「うわぁぁ悪魔が増えたぁ!」


「グレーターデーモンだと?そんな!悪魔が簡易魔法陣で呼び出せるとは!」


 騎士が騒いでいるが学者は目を爛々と輝かせこちらをみている。


 パイモンはお構い無しに話を進める。


「ああ。こちらの方はお前の思っている通りのお方だ。グレーターデーモンお前には眩しすぎるだろうが俺たちの為に役にたってもらうぞ」

 

「ははぁ!パイモン様!是非とも満足のいく結果にしてみましょうぞ!」


「50年前に召喚されてまもないお前ならここ最近の世界情勢は知っているか聞きたい。この問題の歴史はわかるか?」


「ほほぅ⋯⋯これは我が同胞とやってきた時の件ですな。もちろんわかりますとも!これはローズグラスホッパーが飛び立ち、飢饉に陥った事ですな。まあこいつは食用になりますから食べれば解決するんですが、炎系で処理すると身体に毒性が生まれるんですがね。その時の身体の姿が薔薇のように模様が広がり美しいんです。爆発的に増えるのでまたそこもいいんですが、確か飛んでいく姿を人間どもはラ・カスタストームとも呼んでいました。まあその時に勇者の末裔が表れ我等はやられましたが⋯⋯ということで問1の問題の答えはローズグラスホッパーで間違いないですな。ローズグラスホッパー程度の召喚には制約はないのでここはスルーしてもいいでしょう」


 学者の一人が話を割って入る。


「馬鹿な!ローズグラスホッパーは千単位で召喚されたんだぞ!制約がないなんてありえん!」


「ああ⋯⋯そう言われれば人間にはできませんな。失礼しました。その時に自殺者が多数いたので餌にしたのと、1日分の魔力を消費する必要がありました」


「グレーターデーモンの1日分の魔力なんて天変地異がおきるではないか⋯⋯いったい何のためにそんな事をしたんだ!」


騎士が少し強めの声をあげグレーターデーモンに問いただす。


「理由?暇潰し以外にないな。まあ儂らを召喚したのは深淵の魔術師のアーサーフィリップと名乗っておったな。まあ退屈していたので楽しかったが奴等は儂らをおとりにしてさっさと逃げ出したな」


「アーサーフィリップ!!!桎梏(しっこく)の教祖ではないか!やはり奴等が絡んでいたのか!」


 桎梏の教祖ってなんだ?


 話についていけずポツリと頭の中で呟く。


『マスター、桎梏の教祖とは、300年前から現れた自由を奪う者のことです。活動内容は暗躍しているので不明な点が多いですが大体の事件はこの桎梏の教団が絡んでいると言われています』


 そうなんだ⋯⋯ありがと。


「まあさっさとテストを終わらせるか」






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