導きのメダル
あれから数日がたった。
ルキフゲの手腕で街は賑わいをみせている。白亜のダンジョンの噂も流れることで人々がやってくる。
選ばれるものの中にはやはり欲深い冒険者集団が混じったりもするのだが、そこはルキフゲと白亜が街を管理する事でダンジョンの巣窟に放りこまれて迷宮をさ迷い廃人になっている。
最近は獣人や亜人も増えた。
ここの街では登録や差別が無いため初めて来たものたちは戸惑うが、色んな仕事がある上に格差も少ないので皆やる気をみせるのだ。
ひとまず皆登録などが書類になっている為、字がわからないものもいたりするのだが、そこはルキフゲが冒険者ギルドと連携をとり学問を取り入れている。みな冒険者達も多く読み書きには興味を持っているものが多いので人数が増えて少し手が回らない。
配下を呼ぶか聞かれたのだが今はあまりそちらに頭を抱えるのは少しだけ困るため遠慮してもらっている。
「師匠!では学問都市アルムガインに行ってはいかがでしょうか?」
シェールが学問都市アルムガインのある場所を教えてくれる。
学問都市アルムガインは貴族が人知を超えた世界の理を知る名君ジャービル・マリーンに助言をしてもらおうと巨大な学園を作りあげた場所だ。また機密情報を守る為、学問都市に近衛騎士養成所を設置している。ジャービル・マリーンは知識の王と呼ばれる大賢者らしい。又学園都市内を統括する理事にもなっている。
様々な知識と力が集まる都市、アルムガイン。
学園という巨大な教育施設と近衛騎士養成所があるため騎士と貴族も多く在籍し、強さと権力が渦巻く都市である。
知識や自分のスキル適正を知り学べる上に、またランキングランクが高く優秀な人材が沢山いるため魅力的な都市となっているようだ。
しかし学問都市は学園に入らなければならないため、少々のランクでは入れない都市に指定されているために入れる人は少ない。
そしてなおかつ入れた後に出にくいとのこと。
情報漏洩防止の為に魔術師が魔法を使い記憶を操作することもあるという。
シェールは知りあいが学園内にいるらしく少しだけ中の事を知っているみたいだ。
「入る時に試験があるそうなんですが ⋯⋯なぜかその子がその内容を覚えてないみたいなんですよね」
ルキフゲがその話を聞くと少しだけ考えたようにした後お願いしてきた。
「妾ももう少しだけ自由に動きたいのでお願いをするのだ。しかしその案で通して、それでもダメだったら配下を少し連れてくるからな」
「わかったよ。ルキフゲが頑張ってるのも知ってるし、負担を減らすために人員の確保に行ってくるよ」
「うむうむ!頼んだぞ」
「今回は我もいくぞ」
「私も行きます!」
「もちろん私もついていきますよ」
レオナとアバリムとシェールが手をあげ志願する。
「アバリムは別として、シェールは店はいいのか?」
「今回は須藤さんとラバルさんが留守番なので店は回ると思います。まあバティンさんも残ってサポートするみたいなので問題はありませんよ」
「そうなのか。だからあの三人はいないんだな。そういえば、導きのメダルのことも、何かしらわかればいいんだけどな」
「その事と関係があるのかわからんが、前に女がこのカードを置いていったぞ。なんでも我らに役にたつと言っておったわ。カードを腕輪にかざせばよいらしい。登録が楽になるとも言っておったわ」
ルキフゲがカード渡してくる。
夏樹は受けとると鑑定スキルでカードを読み取る。
【未登録者の補助機能の追加】 ⋯⋯未登録者でも登録代表者の設定をつけることにより街に入る際、臨時登録される。
なお臨時登録者のポイントは登録代表者につけられる。
「これって⋯⋯」
「うむ ⋯⋯あいつしかいないのだ」
ルシファーが納得したように頷いている。
ベルサイズ女王だな ⋯⋯。
結局俺たちの活動をわかっていて放置してたんだと気づかされる。
これがあれば堂々とルシファー達やアバリムやラバルを連れていけるようになる。
まあなかば不法侵入みたいなもんだったから助かるな。
何より代表者を選べるからランキングポイント振り分けできるのがいい。
「これなら安心して他の都市にもいけるな」
「では早速いくのだ」
「そうしましょう!」
今回はバティンが留守番の為竜車に乗っていく予定だ。
「待つのだ!今回は我輩達が馬車を持っていくのだ」
ふんすっと鼻で大きく息を吹き出しやる気を見せるルシファー。
「いえ!ルシファー様俺一人で問題ありません。まあ女達は竜車に乗ればいい。ささっお乗りください!出発しますよ」
ルシファーの話でパイモンが話を割って入ってくるがシェール達には相変わらず素っ気ない。すでに準備をしていたのか馬車が横まで持って来られている。こうなったパイモンには抵抗は無意味である。
「はぁ」
「では如月様後で!」
「ああ。出発しよう。パイモン任せたよ」
「では参ります!」
大きく翼を広げパイモンが馬車の荷台を持ち上げる。
「マスター新しい場所はどんなのか楽しみなのだ。マスターといると退屈しないのだ」
◇◆◇◆◇◆
学問都市が水平線上に見えてくる。
なにやら学問都市に近づいた時に異変は起こった。
「悪魔が来たぞ!迎撃せよ!これ以上近づくな悪魔め!」
門の前にいた衛兵が直ぐ様中へ指令をだし砲台を此方にむける。
砲撃がパイモンとキャンピング竜車に向け放たれる。
キャンピング竜車にはルシファーが魔法障壁を展開している。
「攻撃を仕掛けてきたのだ。むう⋯⋯せっかちな奴らなのだ」
「殺しますか?」
パイモンが少しイラついたように質問してくる。
「いやダメだから⋯⋯。とりあえず近づけないと話にならないな」
少し顔を出すと導きのメダルを入れたホルダーが光を放つ。
「おわっ!?」
光は理事長室に向け青色の光を示すようにしてしばらく光続ける。
「⋯⋯?あの光はまさか?」
理事長室にいたマリーンが反応をする。横には近衛騎士が待機している。
「マリーン様?」
「攻撃を停止し、迎えいれよ」
「はっ?⋯⋯ただいま指示します。しかしあれは悪魔ですが問題は大丈夫でしょうか?」
「良い。あれは我らの合図よ。とりあえず知り合いのメダルを持ってやって来たということは試験を受けさせねばならん」
「失礼しました!おい!試験を受けに来たもの達だがくれぐれも用心をしながら入り口まで案内しろ!」
「はっ!」
兵が一斉に列をなして、分散していく。
「さて鬼が出るか蛇がでるかね」
机の上にあるコーヒーを一口口に含みながら窓を見つめるマリーン。
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