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ベルサイズ女王 ジーン・エスター

 ジーン・エスターと名乗る少女はゆっくりとルシファーを見つめている。


「とりあえず交戦する気はないからさ。前にクラウスが嬉しそうにいってたんだよね。退屈を吹き飛ばしてくれる奴がいたって。それが何の因果か契約を受けてるじゃないか、不思議なことが起こるんだね。ドラゴンに獣人、エルフと魔物と悪魔か!ふふふ。すごい面子だよ」


 抑揚ない声の中にかすかに驚きの声でジーン・エスターは話す。


「クラウス?⋯⋯ジーン・エスター ⋯⋯!? ベルサイズ女王よ!!でも姿が全然違う!」


 朱莉が名前を聞き思い出したようだ。


小さな少女、ジーン・エスターの姿に驚いている。姿が会ったときと違うようだ。


「私のエクストラスキル、《七色の虹》のおかげだよ。


この子は移動用なんでね。


戦いには向いてないんだよね。


でも今回の件で周りがうるさくてさ。


⋯⋯というわけでしばらくはこの街にも入れないようになるから、君達の顔を直接見ておこうと思ってね」


「しばらくか⋯⋯いつかは入れるようにしてくれるんだな」


「そうだね。


ランキングを上げれば私とも自ずと会わなくてないけなくなるからそれまではお預けだよ。


まあ村も作ったみたいだし、時期が来るのは早そうな気がするけどね。


それで君達には試験を私達から出すことになったよ」


 ジーン・エスターはそういうと1枚のメダルをこちらへ投げてくる。


「これは?」


 夏樹が手のひらサイズのメダルを受けとるとメダルが手の中で光を帯びる。メダルには気品あふれる深紅の女性の姿が写っている。


「それは導きのメダルだよ。


いろんな種類のメダルが全部で9つあるから集めるのが試験だよ。


特別な人しか持てないけど集めることで高みの真髄に辿り着くことになる。


それは一定の条件を満たした君への私からのプレゼントだ。


ちなみにそれ⋯⋯魔法袋にはいれないでね。⋯⋯仕方ないこれもあげるよ」


 導きのメダルと呼ばれたメダルを受け取り、しまおうとしたら止められた。


ジーン・エスターは手を翳すと異空間からメダルホルダーを作り取り出した。


それを夏樹に渡す。


「それはメダルを枚数しまえるようにしておいたから、肌身離さず持っていてね。


まあ君の村 ⋯⋯いや街だったね。


これを渡すつもりで内緒で行ってみたけど、ルキフゲに見つかってしまったからね。


今度は内緒ではなく直接渡すことにしたんだ」


 ルキフゲが気づいて何かしたのかな? 


「さすがはルキフゲなのだ」


 ルシファーが機嫌がよさそうに反応しているが、まわりの連中は警戒を怠っていない。


「さすがに何もしないよ」


 ジーン・エスターは肩をすくめて両手を上げて無抵抗な状態にしている。


「師匠 ⋯⋯そういえばあの子食堂にいましたよ!


お子様ランチスペシャルを頼んで静かに食べてましたし、途中で泣いてたので覚えてます!」


「お子様ランチスペシャル ⋯⋯


懐かしい味がしたんで思わず涙が出てね。


アクアシティに行くならセッカに声をかけておくけど ⋯⋯


あそこは飽食者たちがいるから気をつけてね。


食べても食べても飢えたように食べ続けるんだよ」


「エスターさまぁ~」


 あわただしい足跡とともにカチャカチャと甲冑の音を鳴らしながら、騎士団がやってきたようだ。


「むっ⋯⋯迎えがきたようだ。それじゃあこれで失礼するよ。如月夏樹君また会えるのを楽しみにしておくよ」


 ジーン・エスターはそう言うと姿を消した。ジーン・エスターが姿を消したあとに、先頭に青い甲冑を着た騎士が姿を表す。


「あれはカシアス子爵とその部隊ね。ふぅ⋯⋯せっかく会わせないようにしてたのに面倒ね」


「カシアス子爵様!あの物達です!」


 朱莉がため息をついて少しだけ困ったような素振りをみせる。

 

 カシアス子爵と呼ばれた青い甲冑の騎士は頭の兜を取ると金髪のロングヘアーが兜からこぼれでる。


どうやらカシアス子爵は女性だったようだ。


「こちらはグレイシス・ルージュ・カシアス子爵である。


魔道具の通信に入った情報でこちらに来させてもらった。


ところで報告に上がっている人物と似たものがいるのは何故だ?


それになぜ魔物が?答えてもらおうか」


 鞘の柄に手をやって、何時でも臨戦体制のカシアス子爵。


「やれやれ⋯⋯身の程を知らぬ輩が我々に剣を向けようとは⋯⋯これだから人間は⋯⋯」


 パイモンが口を開いて途中で止めた。夏樹()がしゃべるのがわかったらしい。


 カシアス子爵の前にゆっくりと進みでる。


「俺たちはすぐ、この街から出るつもりなので、危害が加えられなければなにもせず立ち去ります。どうか見逃してくれませんか?」


「お前は確か⋯⋯そうか屋敷を買ったのはお前か。それにそのメダルはエスター様の刻印が⋯⋯」


 夏樹の存在と腰の辺りにあるメダルの存在をどうやらカシアス子爵は知っているようだ。


「カシアス様!そんな奴等の言うことなど無視して捕らえましょう!


なぜか親衛隊の奴等が帰ってこないし返事がねぇ⋯⋯いままでこんなことはなかったぜ」


 大斧を肩に担ぎ上げ兵隊の一人が進みでる。


「待て!早まるな!」


 カシアス子爵のその言葉と同時に男は夏樹に向け、大斧を振りかぶり一閃する。


 大斧は夏樹に振り下ろされたが夏樹に当たることなく、パイモン、アバリムの手によって大斧の存在が消えてしまった。

また男はバティンの魔眼よって男は気絶し、倒れ落ちた。


「殺しますか?」


 パイモンが笑顔で質問する。


「駄目だよ」


 パイモンには言っとかないと普通にしそうだから止めておく。


 カシアス子爵が他の兵にもストップをかける。


「アダマンタイトの大斧が⋯⋯どうやら分が悪いのはこちらのようだな。


それにエスター様のメダルがあるということはお前も選ばれた人間のようだな。


しかし面目が有るゆえ、お前達の足取りは追わせてもらうことになる。その強さ見極めさせてもらうぞ」


「何時でもいらして下さい。ただ攻撃をされれば私達も黙ってやられるわけにはいかないので、そこのところはご理解してもらいます」


 ベリルのキャンピング竜車とホーヴヴァルプニルと馬車に乗り込みベルサイズの街をあとにする


「さて⋯⋯これからどうするかな」



























ベルサイズ編はこれでひとまず終わりです。


次は閑話を挟んでスタートします。



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