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ベルサイズの街でレース参加⑦ 終盤戦

 ルシファー視点――――


 ふははは!これで他の参加者は追いつけないと思うのだ!


 ルシファーは上から参加者を見下ろしながらコースに戻る。


 そして、視線をゴールラインに戻し、ゴールを見つめながら聳え立つ絶壁の頂上から降り始めた。


 パイモンはその前の場所で滝を作り、悠々と泳いで、絶壁をロッククライミングしながら上がっている。


―――時は少し遡る。


 マジックスパルタンレース中盤で、参加者の障害物をつくるという仕様が有るため、ルシファー、パイモンがやらかした。その影響はレース会場全域に、いやベルサイズの街の地形に影響があった。


 地形が変わり、滝ができ、切り立った渓谷が聳え立っている。

 巻き込まれた参加者は居ないようだが、これはとてもまずい。

 夏樹の頭の中で、ルシファーの楽しげな顔が浮かぶ。

 バティンは難なく地形を利用しながら、順位を上げている。


「まあ、こんなことができるのはルシファー達だろうな。とりあえずレースに集中しないと、悠長にしてて被害が出てもおかしくないし、バティン、気をつけていこうか」


「ふふふっ。このくらいがちょうど、楽しくできますわ」


 バティンとバイクは一体となっているかのように、登り道を上がっていく。夏樹()の出番はまだ先になりそうだ。

 どうやらバティンは乗り物や動物に乗ったりすることで覚醒スキル《操るもの》と騎乗スキル+がついている事がわかった。


 しかし覚醒スキルは乗らないと表示されないとはな⋯⋯。

まだ『上級鑑定』の精度が低いのかもしれない。

 これではまだ隠し要素がありそうな感じがするな。

 バティンいわく悪魔も天使も詐称スキルを持ってる事があるらしい。

 『切り札』はやはりアンノウンによって表示さえも見えないことも、あるという。


 ズズズッ。大木が凄い勢いで伸びている。

 ⋯⋯辺り一面が木々に覆われていってるな。

 時折悲鳴が聞こえる。観客席の方からだな⋯⋯。

『⋯⋯ベリル聞こえるか?』

 念話でベリルに呼び掛ける。少ししてベリルの声が響く。

『ん⋯⋯?ご主人様どうしたの?』

『すまないが急いで朱莉かシェールをこっちに連れてきてほしい』

『わかった~。お姉ちゃんたちを連れてベルサイズに超特急で向かうね』

『⋯⋯ああ。頼むよ』

 ベリルには余り言葉にしていないのに、従魔になったおかげで意志疎通がかなりスムーズに伝わる。


 朱莉とシェールが来てくれれば少しは活動がしやすくなるかもしれない。朱莉とシェールに微かな希望を託しながらサイドカーの中で何か出来ないか考えていく。


 ゴリゴリと音を上げ、今度は木々が生えた所が土を削り浮遊し始めた。


「これルシファーたちは、一体何をやってるんだろう?」


 そういえば、常時発動スキルで千里眼ってスキルをがあったな。


 千里眼をセットすると背景が360度の半径5kmの情景が写し出される。


 ルシファーとパイモンが地面に手を置いて、地形を変えていってるのが見えた。ルシファーが此方に気配に気づいたのか、手をふっている。


 ルシファーの口が動いているので口の動きを判別する。


 ⋯⋯1位はいただきなのだ。Vサインと共にルシファーが地形を変えるのを早めている。


 ベルサイズが⋯⋯街の外観が変わってきてしまった。


 うむ⋯⋯これはまずい。審査員があまりの光景に泡を吹いている。


 『ザザ⋯⋯夏樹聞こえる?』


 胸ポケットに着けてるインカムから朱莉から連絡がはいる。


 直ぐ様、インカムをつけながら応答をする。


『朱莉か?もうついたのか?』


『ええ。とりあえず緊急そうだから皆を連れて来たわ。⋯⋯しかしこのままの感じだとベルサイズの親衛隊が来ることになるわね。とりあえず何処に向かえばいいかしら?』


『冒険者ギルドに連絡をしてから、レース会場周辺にいる人の救助を頼むよ。今はレースに参加をしてて動けないんだ』


『わかったわ。地形が変わるレースなんて見たことがなかったけど、ラバル、アバリムがうらやましそうに見てるから、早めに対処しましょう。これだけのことをしたら、うちの屋敷にも来るはずだから早めに切り上げてね。ルシファー達なら親衛隊が来ても余裕だと思うけど手を出すのはまずいからよく言っときなさいよ』


『ああ⋯⋯わかった。よろしく頼む』


 親衛隊か⋯⋯。確か貴族のグループの集団だったっけ。


 目をつけられると厄介だって言われてたのに⋯⋯。


 安易にレースだと油断してたけど、ベルサイズで活動が難しくなったりしないかな⋯⋯。


⋯⋯おいおい。これを通るのか?


 魔動バイクは傾斜になってきてどんどん傾いてきている。木々が覆われ魔動バイクがギリギリ通れる道しかない。


 もはやアスレチックである。


『ルシファー、パイモン聞こえるか?』

『うむ⋯⋯聞こえるのだ』

『はい。主殿!』

『このあと親衛隊が俺たちのもとへ来るはずだから、くれぐれも攻撃はしないように』

『人間が何をしにこちらにくるのでしょう?』

パイモンが不思議そうに聞いてくる。

『それは、ここら辺一帯の地形が変わってきてるからだよ』

『地形が変わったぐらいで騒ぐとは変な奴等なのだ』

 いやルシファー、地形が変わるのは普通ないからね。

『妨害される前にレースをクリアしないといけないのだ!』

『なるほど。わかりました』

 いや君たち⋯⋯

『これ以上は地形を変えるのは禁止してくれ。あと被害が出そうな参加者は救助してくれよ』

『ぬぬっまあ大体できたから仕方ないのだ』

『⋯⋯後少し手を加えたかったがまあいいだろう』

 パイモン、ルシファーが納得してくれたので、少しほっとする。


「夏樹様。ゴールが見えて来ましたわ」


 バティンの掛け声と共にゴールゲートが見えてきたのだった。



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