閑話 冒険者ギルド出張所
新しい街ができるとギルドマスターが言ってまわっていると、噂になっている。
なにやら新しい街を製作するに当たって食料や酒が手に入るらしいのよ。
嘘か本当かはわかんないけど、出張所を作る話がでたのよ。
住む場所も提供してくれて、週末にはなぜか休暇が貰えるみたいなの。冒険者ギルドから何人か依頼を受けて先に報酬を一部前払いされてるのよ?
依頼を放棄する人はいないけど噂ではディノサウルスロイドのいる集落らしいわ。
わたし?私はギルド出張所を開設するにあたって命じられた受付嬢のロミーナよ。ベルサイズには新人のマリーが私の代わりにいることになったわ。
噂ではギルドを騒ぎ立てた冒険者チーム『夕星』の働きがあってのことらしい。
行くにあたって場所を聞かされてないんだけど⋯⋯。えっ?ギルドマスター本当ですか?今の住まいはそのままにしといてもいい?すぐ帰れる距離なの?
ベルサイズからそんなに離れてない場所に集落を作ったのかしら?貴族のグレイウルフ城伯様がお怒りになるわよ⋯⋯。
ただでさえディノサウルスロイドの被害がありかけて指令が出ていたんだから。
「⋯⋯」
はい?冒険者ギルドに集合でいいんですか?
副ギルドマスターも来るんですか⋯⋯。はあ場所を見ておくと。
ええ?半刻くらいでつくの?
あと冒険者と一緒に行くのね。荷物も持っていってくれるけどあとでもいいってどういうことかしら?
噂されてる『夕星』のメンバーの1人がやって来たわ。
ドラゴンが竜車を引いてきたわ。おっきいわね~。
案内人はAランク冒険者 須藤朱莉さんだった。
「じゃあ中に入ってゆっくりしといてね」
「なに?ここは⁈」
中に入ると広々とした空間に住まいがあるわ。水まででるのね。
噂には聞いていたけどこんなに凄いものがあるなんて。
Aランク冒険者になるとここまで出来るようになるのね。
副ギルドマスターがあんぐりしてるわね。
「そこにはシャワーがあるから入っておくといいわよ。温かいお湯が出るわよ。量の調整はそこのバルブを回してね」
須藤朱莉さんに勧められせまい個室に入る。服を脱ぐのね。
温かいお湯は嬉しいけどシャワー⋯⋯ってなに?
バルブをひねって⋯⋯ふわぁ~。
凄い~。
こんな設備技術は貴族しか味わえないんじゃないかと思うロミーナだった。
◇◆◇◆◇◆
快適な時間だったわ。なぜか須藤朱莉さん私を採寸してたけどなんだったのかしら。
副ギルドマスターが終始目がキラキラしてたわ。
中の設備に目を向けては思わずため息をはいていた。
途中で視界がガラリと変わったけどなんだったのかしら。
さあ私の住まいも用意してくれるっていってたけど、どんな所かしら。
ディノサウルスロイドにエルフやドワーフたちもいるわね。冒険者ギルドと同じくらい大きな家が並んでいる。
副ギルドマスターが聞きに行ってくれたわ。
えっ?あれが私の住む場所なの?
ふむふむ。冒険者ギルドと連動してるのね。
一階は冒険者ギルドのスペースなのね。横に倉庫が繋がってるのね。
二階のひと部屋が私の部屋で三階まである。
広いわ~!ベッドが置いてあるし、収納棚まであるわ。
なっ⁈これは鏡!!なぜこんなものが?
「ああ、それね⋯⋯夏樹に言っておいたのよ」
どうやら朱莉さんの計らいで置いてもらったみたい。凄すぎる!でも私の容姿じゃ少し落ち着かないわね。
ぐ~。そういえばここに来るまで何も食べてなかったわ。
「ちょうど食堂があるから行きましょうか」
須藤朱莉さんに案内され、食堂に到着する。
現れたのはランドレア・シェールさんだ。
「今日のメニューはパンと唐揚げになってます」
いい匂いがするわ。
えっと料金はいくらかしら?ここでも使えるのかしら?
「今日は着いたばかりなので、冒険者ギルドの方はまだ料金は要りませんよ」
「そうはいくまい。支払いは冒険者ギルドでつけておいてくれ」
副ギルドマスターがそういってきかなかった。
まあ私の分も払ってくれるみたいだし気にしないわ。
「ラバルさん、できたのでもって行ってください」
「⋯⋯ん」
ラバルとよばれた女性が皿に盛られたパンと唐揚げとよばれる肉の塊を机に置いてくれた。
「⋯⋯おかわり⋯⋯自由」
「こんなパンなんて初めて見たぞ⋯⋯」
「それはフランスパンね」
副ギルドマスターもフランスパンを見るのは初めてみたい。
朱莉さんが教えてくれるけどフランスパンって何かしら。
「パンの間に唐揚げをはさんで食べてみてください」
ランドレア・シェールさんにいわれた通りにする。
カリッ。ジュワ~。パンとお肉を頬張る。肉汁が口の中に広がる。
美味しい~。なんてやらかいの!
お肉なんて年に一回食べれたらいいくらい高級なのに。
「なっ?これは塩か?」
副ギルドマスターが味を見て驚いてる。
塩?
「⋯⋯ん⋯⋯シンプルに⋯⋯塩とグリーンペッパーを使った⋯⋯」
「なに?塩と緑胡椒だと?」
副ギルドマスターが顔が青くなっていく。
「すまないが値段を聞いていいだろうか⋯⋯」
「ん~そうですね~じゃあ10ドルズでいいですよ」
「はぁ?何かの間違いじゃないか?これが10ドルズだと?馬鹿を言うな!塩も胡椒も使ってこれは1000ドルズはするぞ!」
ランドレア・シェールさんの言葉に副ギルドマスターが百面相をし出したわ。
1000ドルズ⋯⋯1食で私の半年分のお給料が飛んでしまいます。副ギルドマスター余計なことを言わないでいただきたい。
「いいんですよ。鶏肉も手に入りやすいし、塩も胡椒もここでは簡単に手に入りますから」
「⋯⋯サービス」
ラバルさんが追加で飲みものをくれる。きたのはエールかしら?
副ギルドマスターも酒が来て少し嬉しそうだ。
グビグビ⋯⋯ゴク。
お酒もエールに比べものにならないくらい美味しい⋯⋯。
「決めたぞ!俺もここに住むぞ!」
えっ?副ギルドマスター?
そこからが大変だった⋯⋯。
ギルドマスターが言っても副ギルドマスターはごねた。
冒険者や商人達を招集させる役割を自分がやると言い出した。
結局は兼任で副ギルドマスターがやることにはなったみたい。
◇◆◇◆◇◆
住んでからわかったのだがここには温泉があるみたい。
お風呂も部屋についてるのに解放感ある場所に広い所があるなんて素敵だわ。
服屋もあるしお給料が出たら通いつめている。何よりクエストボードにあるのはルキフゲさんが街作りの手伝いなども依頼をくれて私も参加できるものもあるのだ。(まあ主に書類などだけど)
装飾品も少し頑張れば手に入れられるんだもん。頑張らなくちゃ。
冒険者達はCランクからの冒険者を呼ぶようになった。
移動式転移魔法陣で来れるなんて凄いわ。レオナさんは天才ね。
この街の移動経路情報は機密情報扱いでなっている。
ルキフゲさんが書類をみて冒険者ギルドが面接をして採用された人のみ来れるようになっている。
噂は広まるけど行ける人は限られてるから幻の街ともよばれるようになってきてるのよね。
さあ今日も頑張らなくちゃ!
ちなみに冒険者ギルド出張所が設置されたのはアアル大森林になっています。
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