ルシファー、馬車を大改造する。
――時は1時間前に遡る。
グレート エル・ドラードの冒険者ギルドのシレーヌさんにクリムゾンロブスターを渡して、冒険者ギルドを後にする。
「主殿それでは、私はこれでまたベルサイズに戻ろうと思います」
「パイモンわざわざすまないな。助かったよ。とりあえず設置場所は屋敷の中に頼む」
パイモンに移動式転移魔法陣を渡して屋敷の中に設置をお願いする。
「承知いたしました。また何か有りましたら、お申し付け下さい」
設置ができた時点でレオナが屋敷に一旦戻り、転移魔法陣を張り直して移動式転移魔法陣をまた持ってくるつもりだ。
パイモンは魔法袋に移動式転移魔法陣に収納するとベルサイズを目指し飛び立っていった。
時間的には3時間後にはベルサイズの屋敷には設置が可能とのこと。
「ディノオウサルも待ってると思うし、オルガ・トゥーレ島に戻ろうか」
飛んでるところはもう見られたけど街を出るまでは、おとなしくしておこうかな。
船の技術は参考になったし、内部構造などはなかなか圧巻だったな。
◇◆◇◆◇◆
今回はバティンの馬車に乗っている。座り心地は抜群にいいな。
ただ、キャンピング竜車に乗ったあとだと、少し物足りなさがあるな。
ルシファーもキャンピング竜車に乗って、居心地の良さに感激をしていて今回も竜車に乗るのを希望していた。しかし、ルシファーはくじ引きで負けていた。
ルシファーはだいぶん悔しそうにしていたな。
今回はレオナ、朱莉、シェールの女性陣がベリルのキャンピング竜車に乗っている。
じゃんけんといい、くじ引きといい、ルシファーは運はあまりなさそうである。
「マスター⋯⋯バティンの馬車にも竜車と同じような設備をつけて欲しいのだ」
「そうだな⋯⋯。まあ俺も片方だけそうすると乗り手が片寄る気がしてきたよ⋯⋯ただホーヴヴァルプニルが引っ張るにはこの面積ぐらいの馬車の大きさじゃないときつそうなんだよな」
「なら空間魔法で広くすれば良いのだ!」
⋯⋯空間魔法か。
扉を媒体にして⋯⋯いやいっそ椅子の下に、引き出しを作ってそこを空間の入り口にしたら馬車の中を見られても擬態もできそうだ。
そうすれば転移魔法陣を中に置くこともできるし、移動拠点にもなりそうだな。
時間経過は同じにしておくか、少し時間が経つのを遅めになるようにしたら、中での行動もたくさんできるようになるな。
まだディノオウサル達を移動させるにはまだ時間があるし、先に馬車の改造とキャンピング竜車のシャワー取り付けをしようかな。
中の構造は広さを加えれば様々な事をできそうである。
問題は何を作るかによるんだが⋯⋯少し考えが必要な気がするな。
◇◆◇◆◇◆
「というわけでディノオウサルすまないが、馬車の改造と竜車のシャワー室取り付けを先に行いたいと思う」
「俺は一向に構わないぞ。移動も楽だし、魔物の強さも俺には申し分のない場所で退屈しないですむしな」
ディノオウサルはオルガ・トゥーレ島とヘブンドラゴン高原を行き来するみたいだ。
「なるほど⋯⋯馬車の中に空間を作って移動拠点を作るのですか⋯⋯馬車が移動拠点だとは誰も思わないでしょうし、師匠の考えはなかなか深いですね」
「そこに住むことはないかもしれないけど、凄いこと考えるわね」
『休憩とかもそこでできるね』
パイモンが屋敷に移動式転移魔法陣を設置できたみたいで、連絡が来ていた。
レオナは転移魔法陣を移動式転移魔法陣と入れ換えるため戻って行った。朱莉もお風呂に入るため屋敷に移動している。
よし。準備できたぞ。
「ルシファー今回、馬車の中に使うのは土魔法と時空魔法だ」
「では始めるのだ!『時空魔法』《スローステーション》『土魔法』《ランドウォール》」
「『創造魔法』魔法融合《異空間形成》!」
ルシファーの魔法を創造魔法で形を形成していく。
大地を形成して四方に壁をつくり、巨大なシェルターみたいにしておいた。
椅子の下に引き出し作り、引き出しの中央に魔石を取り付け鍵がわりにして、魔力を魔石に込めることで異空間の入り口のゲートへ入れるようにしている。
中の広さは東京ドーム2つ分になっている。
ここに街を作るのもありかもしれないが、あくまでも移動拠点だから精々避難所ぐらいかなぁ~。
とりあえず中につくるのは、キッチン、休憩所、広間、風呂、寝室である。
バティンもシェールも手伝ってくれたので、仕事が早いな。
明かりは魔導ランプを作っていく。バティンには取り付けを頼んでいる。
風呂はどんなのがいいかな⋯⋯。テルマエみたいにするか、サウナをつけてスパにするか。銭湯の絵もいいな。2つは作らないと朱莉が不満を言うから男性と女性用を作ろう。
排水は循環濾過装置を作って置いて、水を捨てなくても再利用出来るようにしておくぞ。
火の魔石を作って加熱出来るようにして、水の魔石を使い水を供給する。
「『ジョブチェンジLEVEL-3』発動――彫刻家」
風呂場などの柱などに彫刻を刻んでいく。お湯が出るとこは普通はライオンなんだが虎にしとくか。
『ここはダンジョンみたいなの。協力できるかもしれないの!』
白亜(仮)が声をあげる。
「ん?白亜何かできるのか?」
『本体の白亜様と相談できれば、その力を使うこともできるかもしれないの』
白亜の力か気になるな。
◇◆◇◆◇◆
ホワイトゴルジュのダンジョンに向かい、白亜を探しにいく。
シェールとルシファーとバティン、ベリルと来ている。
アバリムはディノサウルスロイドの村に交代の為戻って行った。
アバリムがマッピングをしてくれてたおかげで、スムーズに進めるな。
宝箱は強力な魔物が守ってるみたいだし、なかなか遭遇しなかったみたいだ。
ただアバリムは魔物だけ狩って宝箱は取らずに置いておいたみたいだな。
印のついてる所が宝箱のあるポイントか⋯⋯。
確認された魔物で宝箱を守ってるのは、デュラハンロードとエティンという双頭の巨人らしい。
どちらも冒険者には畏怖を表すぐらい強い魔物だが、アバリムにとっては魔石の価値しか興味がでなかったみたいだな。
宝箱の場所にくると双頭の巨人がクレイモアを2つ持って待ち構えている。
「今回はエティンの方なのだ」
「では私しの魔眼で動きを封じましょう」
『でっかいねぇ』
「ふぅ⋯⋯師匠の元に来てから魔物の強さが麻痺してますね。あんなにでかいのにルシファーさん達のほうが断然怖いです」
「さあ倒して白亜に会いにいこう」
バティンが先陣を切って前に飛び出す。
「《オクルスバインディング》ですわ!」
バティンの魔眼によってエティンは動けないようだ。
「あとは任せるのだ。複合魔法『ゲイルバースト』なのだ!」
ルシファーが風魔法と火魔法を組み合わせた魔法をエティンに炸裂させる。
ドドドッ!!!ババババ!
突風がエティンの身体に当たると爆発が発生しだし、エティンの身体が吹き飛んでいく。
「グガァ~!」
エティンが悲鳴をあげ倒れこむ。
シュウゥゥ。ダンジョンにエティンが吸収されていく。
「一撃で倒されると反応に困りますね」
『出番ない~』
シェールとベリルが唖然としているな。
「まあ白亜に会うのが目的だし、細かいことはなしにしよう」
宝箱に触ると転移トラップが働く。
光が収まると玉座に白亜が座っている場所に着いている。
「いらっしゃい。待っていたわ。私の分身がダンジョンに入った時点で連絡が取れたんだけどルールなのよね」
どうやら白亜が動ける条件ってのがあるみたいだな。
「大刀を貸してくれるかしら?大体は分身が伝えてきたけどより詳しく知りたいの」
「ああ。それで話が通じるなら助かるよ」
大刀を白亜が受けとると楽しそうに微笑んでいる。
「へぇ。クイーンクリムゾンロブスターを一刀両断して、その後移動式の迷宮作成をしたんだ。面白いわね。それで私の分身に拠点管理機能をつけて様々な事をするのね」
拠点管理機能?
「いや⋯⋯拠点を作るのに、協力ができるとしかきいてないんだが⋯⋯」
「私がそこを管理すれば好きなように建物などが作れるのよ。私もそこに移動もできるし利点があるから、協力するわよ」
なんか凄いことになりそうだな。
まあ損はないし、ダンジョンコアの事を、より知れる事になるから頼ってみるか。
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