ホワイトゴルジュのダンジョンへ
アバリムが戻ってきたので今回はルシファー、ベリル、レオナ、シェール、バティン、アバリム、朱莉、ディノオウサルと一緒に、ホワイトゴルジュのダンジョン近くの土地に行く予定だ。
ラバル、パイモンは居残りで屋敷とディノサウルロイドの村にいることになっている。
アバリムはパイモンが夏樹の事を心配して、此方に戻るよう言ったのだという。
もしも、緊急事態になった時は飛んで駆けつけると言っているみたいだ。
『じゃあ行くよ~!』
ベリルが引っ張るキャンピング竜車の中は夏樹、朱莉、シェール、アバリムである。
ホーヴヴァルプニルが引っ張る馬車はバティン、ルシファー、レオナ、ディノオウサルが乗っている。
公正にくじ引きをした結果、こうなった。
ルシファーがギリギリと、歯をくいしばっていたが、まあ仕方ない。
まあルシファーは飛べるし、いつでも此方に来ることはできるんだが勝負したぶん、素直に従っているみたいだな。
キャンピング竜車の中では、アバリムがキッチンが有ることに気付くと、そわそわしている。
アバリムはパイモンが夏樹と契約した事で、食事の際のデザートを皆で食べれるようになったから気兼ねなく、デザートを食べる事ができるようになったらしい。
アバリムはかなり歓喜した。これで何時でも食べれると。
アバリムは味覚音痴らしく、甘味以外は砂でも食べているような感じらしい。ただし、甘みが入ることによって食材の旨味を感じられ、至福の一時を感じているのだという。まあ吸血は別物ならしく旨くもないし、不味くもないらしい。水みたいなものだと言っていた。
今まではデザートが出てくるのを見て、バティンとラバルが試食し、それを真似て、1日後に作って貰ったり、パイモンに隠れて食べていたみたいである。
今は料理当番は悪魔も、人族も、一緒にしてよくなったので、
デザートが出る頻度が増えたのだ。出ない時はラバルかバティンがアバリムの為に、極力作ってはくれる。
ただし3食とはいかないので我慢するしかないのだ。
「おい。何か作らないのか?」
アバリムが痺れを切らして催促の言葉を発した。
「そうだな。じゃあ食べやすいのを作るかな。『ジョブチェンジLEVEL-3』発動――パティシエ」
そういうと材料を用意し、作り始める。
アバリムが匂いにつられうっとりしている。シェールが料理をガン見してるな。
朱莉はソファーベッドで1人黙々と、新しい服のデザインを考えてるな。
今回作るのはミニチェロスだ。
チェロスは長いのが定番になってるけど小さくて食べやすい大きさのものにする。
まず鍋に牛乳、水、バター、砂糖と塩を入れて沸騰前まで温める。
そのあとふるっておいた薄力粉をまぶして(強力粉でもいい)。木ベラで混ぜ合わせ、生地を作る。
口金が星型の絞り袋の中に生地をいれ、一口大にしておく。
(丸口だと破裂する危険があるので必ず星形にしておく。)
この時倍速魔法袋に魔導冷蔵庫をいれ、10分ぐらい冷やす。(普通は1時間くらい)
鍋の底から2cm程度の油を入れて170℃に熱し、できた物を入れてこんがりとするまで揚げる。
ホットチョコレートをコップに用意し、浸けて食べれるようにできればスペイン風ミニチェロスの完成である。
「できたぞ。アバリム、シェールそんなにガン見しなくても沢山用意したから安心してくれ」
「うむ⋯⋯ではいただこう!」
「師匠ありがとうございます」
「朱莉も用意したからここに置いておくな」
「夏樹ありがとう。美味しそうね」
ベリルの分は取り分けて置いてと⋯⋯
ルシファーにも念話でお菓子を作ったからと伝えたらすぐさま、転移してきた。
「わーい!さすがマスターなのだ!では皆で分けて食べるのだ」
ミニチェロスとホットチョコレートを渡すとルシファーは嬉しそうに抱えて、転移していった。
◇◆◇◆◇◆
『もうすぐ着くよー』
到着する場所はリバードラゴンキャニオンという大峡谷の隣にあるヘブンドラゴン高原である。すぐ側にはやはり野生のドラゴンが生息している。
水場はリバードラゴンキャニオンに行けばあるのだが、断崖絶壁に囲まれているので、苦労するみたいだな。
「飛ぶと意外と時間かからなかったな⋯⋯」
時間にすると、一刻(二時間程度)である。
「高原だし環境的にはほとんど変わりがないな」
ディノオウサルが周りを見渡し、高原を眺めている。
「まず野営をしてみて大丈夫そうかの確認と不便がないかのチェックだな」
「では俺はここに残って一晩過ごしてみよう」
「私も魔石以外の魔法陣の作成をしておくのです」
「では私しも残って野営の準備をします」
ディノオウサル、レオナ、バティンがヘブンドラゴン高原に残って準備をするみたいだ。
『じゃあもう一回行くよー』
リバードラゴンキャニオンの大峡谷にあるホワイトゴルジュを目指して飛んでいく。
眺めはすごい圧巻だな⋯⋯暫く行くと峡谷のV字の底部の場所に左側に穴が空いているな。
「あそこの穴がホワイトゴルジュのダンジョンよ」
朱莉が穴を指差し教えてくれる。
あそこがどうやらホワイトゴルジュの入り口みたいだな。
「ドキドキしますね。私もホワイトゴルジュは初めてなので、どんなダンジョンなのか気になります」
「どんな武器があるのかしら。楽しみね」
「強い魔物もいるみたいだし楽しみなのだ」
「強ければ我が眷属にしてくれるわ」
アバリムは眷属にするって言ってるけどらダンジョン産の魔物の意思はダンジョンコアと張り合うと、どちらが優先されるのだろう⋯⋯
まるで遠足にでも行くような緊張感のなさだな。
『じゃあ僕はもう一度あっちに戻るね~』
ベリルはドラゴンがいるならとヘブンドラゴン高原に戻るらしい。念話を貰ったらまた戻ってくるとのこと。
「ああ助かったよ。帰りも頼むな」
『うん!ご主人様またあとでね~』
ベリルは夏樹達を降ろすとまた空へと飛んでいった。
「さあ入って魔石の収集をしよう」
ダンジョンコアにも会えるといいなぁ⋯⋯
ファンタジーの醍醐味のダンジョンだ。少し俺もワクワクする。
「では陣形は公平にじゃんけんなのだ!」
ルシファーさん先頭に行きたくてウズウズしてるが提案をしているな。
まあいいけどね。
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