パイモンとの決闘 ②
広場に移動し、パイモンと対峙する。
パイモンから殺気がびしびしと身体に当たって思わず震える。
「今更、怖じ気づいても俺様は容赦しねぇぞ。ただ余興として、俺様に1発有効打を当てれたら、お前の勝ちにしてやるよ」
「助かるよ。俺はなんだかんだ、今が楽しいから、それが無くなるのよりはマシなんでな」
「マスター、パイモンにはマスターが持ってる普通の武器では効かないのだ」
「ああ⋯⋯わかってる」
「じゃあはじめるのだ!」
これまでの戦闘で『ブレイブアスガルド』と似たような戦闘システムがわかっている。
相手の攻撃ゲージが溜まるまで攻撃をされないということだ。
朱莉やレオナに聞いたけどそんなものは見えないらしい。
今回使うのは『ジョブチェンジLEVEL-3』――武道家《合気道》『ジョブチェンジLEVEL-3』――武術家《八極拳》そして『ジョブチェンジLEVEL-1』召喚師――『上級精霊召喚』それを創造魔法で組み合わる。
パイモンが先制攻撃を繰り出してくる。カラドボルグは使ってこないな。
「『ジョブチェンジLEVEL-3』――武道家《合気道》『創造魔法』withジン」
繰り出された手を掴み『片手取り四方投げ』を繰り出す。パイモンの体勢を崩し背中から落とす。
「なんだと!? 」
パイモンが自分が投げられるとは思ってもみなかったのか、地面につく前に、体勢を立て直し、後方へ跳躍し、飛び退いた。
上級精霊の召喚は今回は上手くいったな。現れたのはジンという風を司る煙の魔人だ。
ジンの風の力を創造魔法で取り込んだことによってAgi(敏捷性)を遥かに超越させた。
それでもパイモンの実力には遥かに及ばないだろうけど。
2度目の攻撃を躱して、今度は武術家にジョブチェンジし、八極拳の『闖歩』を使い、足を踏みこむと同時に、急激に腰を落としてパイモンの懐に入り込む。
「ジョブチェンジLEVEL-3――武術家《八極拳》『寸勁』――『創造魔法』withジン」
寸勁は相手に手が触れるような距離から体全体をつかい衝撃を通す技だ。
『寸勁』はパイモンに手で防がれる。
「カカカ!面白しれ~!人間ごときじゃミジンコとゾウ位違うと思ったが、小動物に評価を変えてやるよ!」
パイモンの隙が無くなったな。
攻撃ゲージが貯まるのが早い!避けなくては!
「お前!? 俺様の攻撃の瞬間がわかるのか?」
パイモンが拳を繰り出してくる。
ドゴッ!鈍い音が響いてパイモンの攻撃が僅かにかわし切れず当たってしまう。
「ぐぅ⋯⋯」
「師匠っ!」
「シェール!駄目よ!近づいたら巻き込まれるわ」
シェールが思わず駆け出して来そうになるのを、朱莉が止める。
「邪魔したら只じゃおかねぇぞ。アバリム、ラバル、入らすなよ!」
「ハッ!」「ん⋯⋯」
朱莉とシェールの前にアバリム、ラバルが立ち塞がる。
レオナとベリルは真剣に此方をみているな。
呼吸を整え、パイモンの攻撃に備える。
パイモンの攻撃が繰り出され、『天地投げ』で応戦する。
「また、俺様の攻撃のタイミングを計ってるな」
(くそっ⋯⋯この投げ技、思ったより面倒くさいぜ)
パイモンは両手捕まれ、体勢を崩され、何回か投げられている。
ただ決定打にかけるのである。
何かないか⋯⋯
『⋯⋯⋯⋯』
『天地万有の声』が語りかけてきた。
魔法袋からリッパーソードを取り出す。
「『ジョブチェンジLEVEL-1』発動――勇者『星降りの聖剣』『ジョブチェンジLEVEL-3』発動――剣豪《抜刀術》」
『星降りの聖剣』の効果により、ブロードソードが夏樹の望む刀へと変化していく。
『星降りの聖剣』は勇者の常時発動スキルである。発動するとどんな武器でも望む聖剣に変え、戦えるのだ。
常時発動スキルの為、発動と同時に一時的に装備を聖剣に変え一瞬でパイモンに向け居合い斬りを繰り出す。
咄嗟にパイモンが手でばつを作り、防御をした。
魔法障壁を砕き、パイモンの腕に傷が入る。
パキンっ!パイモンに当たったリッパーソードが砕け散った。
やはり常時発動スキルは一瞬しか効果なかったか。リッパーソードが聖剣に込めらた力に耐えれなくなってしまったな。
「痛て~な!」
パイモンがカラドボルグを手に持ち、真っ直ぐに夏樹の心臓に向け、牙突が放たれる。
⋯⋯ヤバい!避けきれない!⋯⋯これ死んだわ。
あまりの光景に目を瞑った。
「そこまでなのだ!」
ルシファーによって夏樹の前に魔法障壁が三重に張られ2つ貫いたところで、カラドボルグが止まる。
「しかしルシファー様!」
「パイモン言い訳は聞かないのだ。腕を見る限り、あの一撃は確実に入っていたものなのだ。パイモンには勝負の結果、2度とマスターに逆らえないよう、契約を実行するのだ」
「そんな!あまりにも重責です!ルシファー様お許し下さい!」
パイモンが本当に嫌がってるな。
「くどいぞ!マスターに歯向かった罪は重い!勝負させただけ寛大だと思うのだ」
ルシファーがいつになくきつい口調でパイモンを叱っている。
「わかりました。おい人間、手を翳せ。」
パイモンが覚悟を決めたようだ。
パイモンに向けて手を翳す。ルシファーとパイモンが何やら唱え始める。
「■■■▲⋯⋯古の盟約により、パイモンの名において如月夏樹を主とする。契約!」
パイモンの胸のあたりに赤い呪印が浮かび上がり、しばらくすると黒くなった。
「主殿、契約は完了しました。ルシファー様の配下パイモン、いかなるときもあなたを守りぬきましょう。アバリム、ラバル、これからは主殿に従え。いかなるときも私達が手足となりましょう!」
なんかパイモンの態度が180℃変わったな。
「いやアバリムもラバルもそのままパイモンに従ってていいよ⋯⋯」
いきなりそんな事いわれても困るよ~
「ならご用が有るときは使ってやって下さい」
パイモンがにこやかに跪く。アバリム、ラバルがパイモンの後ろに、跪く。
「ならこれからは人族だからと差別せず、平等に扱うようにしてくれ。あとなるべく残虐な行為はやめてくれ。自分の命の危険があるときはこの言葉は無視してくれればいい。後は変わらず自由にしてくれればいい」
「ハッ!」
「ん⋯⋯わかりました」
「畏まりました!」
「すごい光景ね⋯⋯」
「如月さま凄かったです!西の魔王に一歩も引かない姿は憧れるのです」
「堕天使と契約なんて⋯⋯」
『ご主人様カッコよかった~』
「さてでは恐竜狩りに出掛けるのだ!」
バティンが足止めをしてくれてるし、急ごう!
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