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エルフの料理人




如月夏樹(ラバル)が戻ってくる。


「ルシファー様やりました!優勝です!」


「ラバルよくやったのだ」


「しかし毒まで入った料理を出すやつがいるなんてね」


「追い出されたエルフにも驚いたのです」


「ラバルともあろうものが油断して1つ取られてたではないか」


『圧勝だったの~』


「料理を作る楽しさは私しもよくわかりますわ」


 感激あまり如月夏樹(ラバル)か跳び跳ねているな。頼むから俺のキャラを壊さないでくれよ?


 料理大会はラバルの独壇場だったな。


 カズノコールさんがニコニコしながらこちらにやってくる。


「如月殿!まさかすぐに参加してもらえるとは思いませんでした。

優勝される実力を兼ね備えてるとは、やはり私の見る目は正しかった。チョコレートでしたかな⋯⋯あの香りにはさぞかし楽しませていただきました、さぞかし旨いのでしょうな。商品化する際は是非とも私に任せていただきたい」


「いえ。自分の実力を試したいと思っていたので、楽しかったです。まだチョコレートは試作段階ですし、量が取れませんので、できるようになれば声をかけさせていただきます」


 如月夏樹(ラバル)はカズノコールさんに返答をしている。もちろん『念話』を通じてラバルには対応をしてもらっている。


「ほぉ~あれがまだ試作段階だとは⋯⋯審査員達の顔をみても、どれ程のものなのか想像できませんな⋯⋯予選では丸い食べ物を作られておりましたし、あの製法はなんなんでしょうか?」


「あれはコロッケっと言って揚げ物ですね。油を使っているのでカリッと仕上がってうまいですよ」


「ちょっと夏樹⋯⋯あまり製法などは他言無用よ?」


「ああ⋯⋯そうだったな」


 朱莉が如月夏樹(ラバル)に注意を促す。


『揚げ物ぐらいは食文化の発展に貢献するし、いいんじゃないか?』


 夏樹()が朱莉に『念話』を通じて会話をする。


『小さな綻びで情報はすぐに伝わるわ。まあチョコレートは原料も製法も技術がいるから大丈夫かもしれないけど、この世界の転移者、転生者に伝わって、あなたの前に現れたら厄介になるわよ』


『マスターの前に現れ邪魔する奴らなど、我輩が追い払ってやるのだ』


 えっ!? 『念話』って割り込めるし、内容わかるの?


 ルシファーの返事に少し戸惑いながら思わず考える。


「すいません。つい、新しいものを見てしまうと癖で聞いてしまいました。美味しい料理ひとつでひと財産築けるものですしね」


 カズノコールさんが頭を下げて謝ってくる。 


「いいんですよ。まあコロッケなら今度ご馳走しますよ」


 如月夏樹(ラバル)に指示して、言葉にしてもらう。


「いいんですか!ありがとうございます!是非ともお願いいたします」


 朱莉が小さくため息をついて少し笑っている。


 カズノコールと別れ、大会会場から屋敷に帰るため、住居区の場所を目指して歩いていく。


「マスターつけられているのだ」


「私も感じたわ。でも1人ね。複数の気配はないわ」


「この人数と我等をナメられたものだな」


 アバリムの目が紅く鋭く光る。


「攻撃されたりしない限りは殺さないでくれよ?」


 流石に攻撃を受けてまで相手を助けたいとは思わないが、できるならむやみに殺生を人に行うのは気がひける。


「まあ捕らえてから考えましょう」


 バティンが後方に回り込みだした。


「ラバルが囮になる」


 如月夏樹(ラバル)が一気に走り始めた。


 それを後ろにいた1人の追跡者が走り始め如月夏樹(ラバル)追いかける。


 アバリムが左側に隠れ、塀を飛び越えながら移動を始めた。


「私も行くわね」


 朱莉が右側から、追跡者を追いかける。


「では我輩が捕らえてやるのだ」


 ルシファーも瞬間移動(テレポート)をし、行ってしまった。


「じゃあ俺達も追いかけるか。無事じゃすまないかもしれないし⋯⋯」


 主に追跡者がだけどな。


「ハイなのです!」


『わかったの~』


 レオナとベリルを連れてラバルが行った場所を目指す。


『マスター捕まえたのだ』


 ルシファーから念話で連絡が入る。


「ルシファーが捕まえたらしいから急ごう」




◇◆◇◆◇◆




「びぇぇぇ~!!ごめんなさい~!」


 そこには料理大会の本選でいたエルフが泣きながら土下座させられていた。


 料理大会ではフードを被っていてよく見えなかったが綺麗な顔立ちだな。髪の毛は金髪で青い瞳にスマートなスタイルだ。胸は申し訳ない程度にあるな。


 バティン、ルシファー、朱莉、アバリムに四方を囲まれ、如月夏樹(ラバル)に必死に謝っている。


「あっマスターが来たのだ」


「えっ?マスター?見るからに怪しい奴ね⋯⋯貴方がこいつらのボスって訳ね。」


 怪しい奴⋯⋯そうか!変装を解除しなきゃな。


「君はなんで俺を追いかけてたのかな?」


「貴方なんか追いかけてないじゃない。私が用があったのはあの男よ!」


 エルフがこちらを見てくるな。変装を解除し、ラバルに声をかけ元の姿に戻ってもらう。


「ん⋯⋯エルフがなんのよう?」


「えっ?なんでこんな化け物達が街にいるのよ!これでも私、ランキングランクのゴールドクラスにいるのに手も足も出なかった。抵抗して逃げようにも動きも封じられるし、魔族の匂いもするし、魔物までいるじゃない。ただ声をかけようとしただけなのに⋯⋯」


「口の聞き方に気をつけた方が良いぞ小娘。我はたとえ弱き者でも容赦しないからな」


 アバリムの眼光にエルフの顔が青くなる。


 ポツリポツリとエルフが語り始めた。


「私はただあの食材の植物の種子で作った木を見てみたかったのよ!私の故郷にあったのと同じ匂いがしたの!思わず味見をして追い出されたけど、あんなに美味しいものがこの世界にあったなんて思わなくて、貴方について行ったらその木にたどり着くことができると思ったから。会場の外にいて、出てくるのを待ってたの」


「バティンあの木はどこから採ってきたんだっけ?」


「確かランドヘルムの森林で見つけましたわ」


「ランドヘルムですって?どうやってそこに行ったのよ?」


「馬ですけど?」


「あそこは飛んで行かないとたどり着くことが出来ないはずよ?」


「ええ。行ったので知っていますよ?」


「バティンの馬は飛べるのだ。で小娘その木を見つけてどうするつもりなのだ?」


「小娘じゃなくて、私の名前はランドレア・シェールよ。種子を分けてもらおうと思ったのよ。私の魔法なら成長が早くできるし、もし増やせたら故郷に持って帰ることができるとおもったの。後は弟子にしてほしいと頼むつもりだったわ。ただランドヘルムは私の故郷の隣にある場所で、入ることができない絶壁に囲まれた島なのに⋯⋯」


 ふむ⋯⋯故郷に持って帰りたいか。もしかしたら何か木にあったのかも知れないな。


「弟子ってなんの弟子だ?」


「もちろん料理のに決まってるわ。あんなに美味しいもの食べたのは初めてだったし、衝撃が走ったわ。どのみち料理大会で敗退したし、行く場所がないのよ。お金を貯めたいけど限界を感じてた時に貴方に出会ったの!これは運命だわ!だからお願い!私を弟子にしてください!」


 ん~⋯⋯何か理由がありそうだな。

 

 ダメって言ってもついて来そうだし、屋敷には部屋に空きがあるから連れて帰ろう。





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