魔獣の森 クイーンバジリスク
襲いかかってくるレッドマンドリルを蹴散らしながら、『シャイニングセイバー』がいるところまでやって来た。
「お前らもこんな所まで入ってきたのか⋯⋯」
満身創痍の姿で弱々しい感じになっている『シャイニングセイバー』の面面。
オリバ・グレート以外は言葉を話す元気までなくなったみたいだな。
「一旦勝負は置いといて怪我もしてるし、ギルド野営地区にいかないか?」
『シャイニングセイバー』に声をかけ野営地区に戻るように声をかける。
「だがここは道がなくなっていてあるのは魔物の巣に行く道だけだ」
「ああ⋯⋯巣を通らないと帰れないようにしてるんだな。なら仕方ない戦ってから帰るか。レオナしばらく魔物が来ないように魔法陣を張ってくれ」
「わかったのです」
レオナは『シャイニングセイバー』のいる場所を魔法陣で覆っていく。
ドライアドはいなくなってるな。多分道を直す気はないんだろうな。
「魔獣のせいで魔物同士が食い争って個体が強い種類になってしまっていて巣に入ったら二度と出れず生きて帰れないぞ。そんな所に行くなんて正気の沙汰じゃない」
オリバ・グレートは魔法陣の中で寝転んだ。
『シャイニングセイバー』は動く気は無さそうだな。
「レオナは治癒魔法を『シャイニングセイバー』たちに使ってやっといてほしい。ベリルはしばらくレオナと一緒にいてくれ」
『わかった~』
「協力冒険者を連れてくるからそしたらここから出てくれないか?」
⋯⋯多分朱莉がそろそろ追いついてくるはずだから連れてくれば、動いてくれるかな?
「魔物の巣に行って協力冒険者を連れてくるだと⋯⋯バカなことを言うな」
⋯⋯話が通じないな⋯⋯仕方ない。とりあえず朱莉だけでも連れてこよう。
『マスター転移させてもいいのだぞ?』
ルシファーが念話で話してくる。
『それも手だけど後の説明が面倒になりそうだしな。ルシファー魔物の巣は厄介な魔物はいそうか?』
『クイーンバジリスクがいるのだ。あとは雑魚ばかりなのだ。ただあれは⋯⋯』
ルシファーが少し考え込んでいる。それほど強いのか⋯⋯。
クイーンバジリスク⋯⋯頭にティアラのような鶏冠を持つ光を放つ目(魔眼)を見ただけで石化し、死に至らすと言われる蛇の女王か⋯⋯
危険度はAランクの災害級の魔物だ。目を見ただけでってところが厄介なんだよな。
◇◆◇◆◇◆
魔物の巣に到着すると魔物が至る所に頭だけが食い散らかしてあるな。クーインバジリスクが目があった魔物を食べているのだろうか⋯⋯
「⋯⋯」
ルシファーが黙っているな。
「地面に跡が残ってるからもう少ししたら出てくるかもしれないな」
地面には這っていった跡が残っているのを見たが、でかいなこの跡!とても太くておっきい!
魔獣の話を聞くの忘れてたけど魔獣もでかかったのかな?
弱ってる魔物しかいないって言ってたのになんで桁違いの魔物がいるんだろうな。
自動遮光のマスクを作りだしクイーンバジリスク対策に被っておく。目を見ると遮光してくれるため目の光を見なくて済むのだ。
そうこうしているうちに尻尾がみえた!夏樹の気配を察知したのか尻尾で攻撃をしてくる。
バリン!
ルシファーに張ってもらっている魔法障壁が破れてしまった。
「うおっ!? 」間一髪で避けることができた。
「魔法障壁を破るとはなかなかやるのだ」
うねりながらクーインバジリスクがこちらに向きを変えやって来た。15メートルはあるな。
しかしどういうことかルシファーを見つけるなり少し強ばり、凄い早さでUターンし、奥に潜っていく。
「マスターもしかするとクイーンバジリスクはバティンの可能性があるのだ」
「バティンだと?」
バティンは馬に乗って遠出して来るって言ってたよね。
「バティンは変異スキルがあって蛇系の魔物に変異することができるのだ。ただ我輩も変異したところはみたことはなかったのだが気配がどうも似ているのだ。しかし様子がおかしかったのだ。我輩を見つけ即座に逃げたのもやはり引っ掛かるのだ」
「バティンがクイーンバジリスクだとしたらどうするんだ?」
「とりあえずひっ捕まえたらいいとおもうのだ」
どっちにたいしても奥にいかないといけないし、もしかすると戦わないといけないんだな。
「レオナ達を置いてきて正解だったな。しかしバティンなら攻撃をしても大丈夫なのか?」
「バティンは大公爵の悪魔なのだ。少々手荒にしても死にはしないのだ。むしろこっちに攻撃をしてきてこっちが手加減などしていたら我輩達が大怪我をするのだ」
ルシファーが手加減をしないか⋯⋯少し怖いな。
「マスター我輩の魔法障壁を二重に張り直しておくのだ。ただ気休め程度にしかならないから気をつけてほしいのだ」
ルシファーが魔法障壁を張り直す。
「さぁ奥に向かっていくのだ。我輩達を攻撃をしてきたらどうなることか少しお仕置きをしてやるのだ」
ルシファーが少し怒ってるな。
奥にいくと大きなとぐろを巻いて出迎えてくれるような登場をしてきた。
「ジャラララ」
「間違いないのだ!バティンなのだ!」
ルシファーがクイーンバジリスクを見て叫ぶ。
その言葉と同時にクイーンバジリスクの口から毒液がルシファーと夏樹に発射された。
「ヒヒーン!」
鳴き声とともに凄い早さでホーヴヴァルプニルが夏樹を背負って毒液避ける。
「ホーヴヴァルプニル!? ここにいるってことはあれがご主人で間違いないってことだな」
ルシファーは翼をだし毒液を素早く躱し飛んでいる。
「変異して暴走しているのか?操られてるのか⋯⋯『ジョブチェンジLEVEL-1』発動。鑑定師――『鑑定』」
―――― バティン ――――
ジョブ『クイーンバジリスク』――『変異中』
狂乱状態
STR(攻撃力) 4000
Agi (敏捷性) 2000
Dex (器用さ) 3500
Vit (丈夫さ) 3000
Int (知力) 4000
MND (精神力) 1000
魔法――変異中の為一部制限
『土魔法』『火魔法』『雷魔法』『水魔法』
スキル
『毒液』『魔眼』『フレイムブレス』『変異』『オートリジェネ』
狂乱中か⋯⋯ホーヴヴァルプニルに乗り、魔法銃『焔の雷』を構えてクイーンバジリスクに攻撃をする。
「ジャラララ」
叫び声とともに素早く上体を起こし銃から放たれた攻撃に反応してクイーンバジリスクは口を開け『フレイムブレス』で反撃をしてくる。
ホーヴヴァルプニルがクイーンバジリスクのブレスをかわしながら旋回する。
「ロンギヌスの神槍」
異空間よりルシファーが槍を取り出す。禍々しく槍は光っている。
神槍を両手に持ち連続突きをクイーンバジリスクに向けて放つ。
「うぉぉぉ~喰らえなのだ!!」
凄い勢いでクイーンバジリスクを滅多刺しにしていく。
「ジャラララ~」
上体を持ち上げる元気もなくなってきたのか身体が地面に激突する。
ズズン!地面に倒れこむとクイーンバジリスクが光り出し、人の姿へと変わっていった。
「⋯⋯ルシファー様、夏樹様お見事でございます。このバティン救って下さると思っておりました」
よろよろと起き上がりルシファーに跪く。
「バティン、結局のところどうなったのだ?」
ルシファーの問いにバティンは答える
「それが原因は何かの光りに浴び、変異するよう誘導されたのです。理性を奪われ行動が一時的に狂乱状態に⋯⋯それからはここで魔物を蹴散らしながらいたしだいです」
「バティンを錯乱させる光とはな⋯⋯なかなかヤバそうだ」
「とりあえず目的の出口に向かうのだ」
調べるにしても戻ってからだな。バティンはホーヴヴァルプニルに乗ってぐったりしているな。
魔獣の森を抜けると朱莉が外で待機していた。
「夏樹無事でよかった。森の中に入ろうにも魔獣グリフォンがいて道を塞いでたのよ。グリフォンに気配遮断が効かないし、魔獣の森に行くって言ってたから中にいるのはわかってたけど待つしかなさそうだったから心配してたの。銃声も聞こえるし聞いたことのない魔物の声もしてたから⋯⋯」
安堵のため息をはくと事情を聞いた朱莉が驚いていた。
「魔獣の森でそんなことが!? 冒険者をギルド野営地区に連れ戻しましょ」
俺たちは朱莉を連れて 『シャイニングセイバー』の元に戻るのだった。
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