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魔獣の森

 朝になるとすっかり雪も消えていた。


 気持ちのよい朝である。湖畔で顔を洗って朝ごはんの準備をする。


 朱莉が走って来てるな。ん?遠くから数人冒険者が来てるな⋯⋯誰だろ?


 朱莉が夏樹()の前に来て声をかけてきた。


「夏樹おはよう。昨日沼地の変化を報告したら冒険者ギルドのサブマスターが確認に行きたいってついて来ちゃったの。ということで私は付き添ってもう一度戻る予定よ。私が昨日居たことは説明済みよ」


 サブマスターか⋯⋯まあ地形が変わったっていったら確認に誰か来るよな。


「おおっ!?本当だ!須藤の話通り、沼地がなくなって湖畔になっている!ん?2つに別れているな?あっちは色が違うぞ?おい調べてくれ」


 数名いる冒険者が次々と湖畔と海を見て確認している。


「水がしょっぱい⋯⋯サブマスターこっちは海水です!中で見たことのない魚が泳いでる!」


「なんだと!? ここら辺に海は存在せんのに⋯⋯海水だと?」


 サブマスターが海水があることに驚いている。


「こっちは水が透き通ってて地面の底までみえるな。生き物はいないみたいだ」


「ここらを縄張りにしてたグランドアリゲータとデスクロコダイルもいないぞ」


「なら海水で塩が作り放題じゃないか!すごいぞ!魚もとれるし塩と食料に困らなくなるぞ!」


 冒険者が興奮して海をみている。


 ⋯⋯塩はともかく本当の海に繋がってないから魚は乱獲しすぎたらいなくなるのは目にみえるな。


「あの⋯⋯塩はまだしも魚は乱獲しすぎたらいなくなりますよ?」


 夏樹()がサブマスターに声をかける。


「んん?お前らは夕星(ゆうづつ)の奴等だったな。どうしてそんなことがわかるんだ?」

 

 サブマスターは夏樹()に聞いてくる。


「騒がしいのだ。それは我輩が取ってきた魚達だからに決まってるからなのだ。」


 ルシファーが起きてきたな⋯⋯目を擦っている。ルシファーがサブマスターに声をかけた。


「うん⋯⋯?取ってきた?しかしここにはグランドアリゲータやデスクロコダイルの巣があって危険な沼地だったはずなんだが、みたところ一匹もいないし、これを君がやったといいたいのか?」


「ワニどもは我輩が始末して、収納魔法を使って保存しているのだ。ここは我輩の活躍の証なのだ!まあ乱獲しても半年は持つと思うのだ。」


 ルシファーがニッコリ笑顔をむけ、機転をきかせている。魔法袋のことは秘密にしてくれているみたいだな。


「収納魔法だと!? まさかアイテムボックスか?冒険者ギルドでも何もないところから出していたというし使えるやつがいるなんておとぎ話の世界だけだと思っていたが⋯⋯しかし⋯⋯じゃあこの水の説明がつかない⋯⋯」


 サブマスターは唸りながらぶつぶつと言っている。


「ねぇサブマスター、冒険者に過度な詮索はご法度でしょ?スキルは切り札だし、秘密だってあるんだから」


 朱莉がサブマスターに進言する。


「ぐっ⋯⋯そうだな。ただ飲み水と魚と海水は我々にとっては大事件だ!直ちに報告をせねばならんな。ちなみにダンジョンアリゲータとデスクロコダイルは冒険者ギルドに提供してもらえるのか?」


ルシファーに目配せをし、夏樹()は会話に入る。


「ああ。今回の決闘に入っているから提供するぞ」


その会話を協力冒険者たちが聞いて喜んでいる。


「おおっ⋯⋯ダンジョンアリゲータとデスクロコダイルが皆で山分けか!やったな!デスクロコダイルの素材なんてめったに手に入らない奴だしラッキーの一言だぜ!」


「俺はこの決闘が終わったらここに来るぞ!」

 

 とりあえず納得させるためにルシファーにデスクロコダイルを一匹だしてもらって協力冒険者達がギルド野営地区に持って帰ることになった。


「そういえば『シャイニングセイバー』の連中が昨日の昼くらいから帰ってこないんだ。いつもなら数を数匹討伐したら報告しに戻ってくるんだが⋯⋯魔獣の森にいってるんだが⋯⋯何かあったのかもしれん。行くのなら君達も気をつけて行ってくれ。」


「じゃあ夏樹またあとでね」


 サブマスターと協力冒険者は野営地区へ帰っていった。


『シャイニングセイバー』が魔獣の森に行って帰ってきていないか。


「今日は魔獣の森にいってみるか」


「強い魔物が多いと聞きました。少し怖いのです」

 

「いっぱい倒すのだ」


『早くいこーよ』


 少し遅くなった朝食を食べて出発する。





◇◆◇◆◇◆




 森の中を進んでいく。獣道ばかりで歩きづらいな。


 木々が道をふさいでかなり狭く通りにくい⋯⋯。


「こんな場所で魔物と戦うのはキツそうなのです」


「確かにキツいな」


『上手く通れない⋯⋯』


 ベリルは羽が木に当たったりして上手く飛べてない。


「確かに邪魔なのだ」


 ルシファーがイライラしているな。


「ルシファーここでは地形は変えないでくれよ」


 用心の為にルシファーに忠告をしておく。


「その手があったのだ」


 なるほどって顔をしてるけどダメだからな⋯⋯。


「まるで私たちを通さないようにしてる気がするです」


「もしかするとこの森ドリュアスがすんでるのかもしれないのだ⋯⋯いやいるのだ。どおりで通りにくいと思ったのだ」


 木々が騒がしく揺れているな。まるで動揺しているかのようだ。


「ん?ドリュアスってドライアドのことか?」


 ドライアドといえば木の精霊で魔力を沢山もっている緑の髪をした精霊だな。


 魔獣の森がドライアドのすみかだったなんてな。


「出てこないとこの森を焼き払うのだ」


 ルシファーの一声に樹木たちが諦めたのか木々が道を開いていく。その中に1人ポツンと緑の髪のドライアドが立っている。


 ルシファーに目を向けてぼそぼそと口を動かしている。


「ほぉ⋯⋯昨日入ってきた人族が魔獣相手に暴れて散々森を荒らして回っていたから閉じ込めておいたらしいのだ」


 ドライアドと魔獣は持ちつ持たれつの関係で森の中で共存しているみたいだ。人族が来ると魔獣は追い払う為に現れて、その報酬に木の実などをドライアドたちが提供していたみたいだ。


 魔獣の他にも魔物もいるのだが魔獣のおかげで魔物の活動は消極的なのだという。


『シャイニングセイバー』は魔物を狩るときに木々も傷つけてまわるため魔獣にお願いして追っ払おうとしたのだが被害が大きくなってしまうので道を塞ぎ弱らせようとしたのだという。


「後日お礼をするから連れて帰ってほしいとのことなのだ」


「仕方ないな。で『シャイニングセイバー』はどこにいるんだ?」


 ドライアドは奥を指差しついてこいと手招きしている。


「今は魔獣が奥に追い込んで魔物の巣の近くにいるといってるのだ」


「じゃあ魔物に襲われてる可能性もあるのか」


「急いで助けにいくのです」


『いそごー』


 ドライアドに案内されながら奥へと進んでいく。


 進んでいくと『シャイニングセイバー』達が少し木々がない開けた場所に座り込んでいる。周りには数体の魔物の死体が転がっているな。


「くそー!どうなってんだ!魔獣に出くわして奥に来て出れなくなったぞ!」


 オリバ・グレートは悔しそうに叫んでいる。


「このままではやられちゃうわ」クリスは弱気になって嘆いているな。


「魔物の数も増えてくる一方だし、どうすりゃいいんだ」

リンは焦燥しながら地面に拳を叩いている。


「こんなはずじゃなかった。魔力もつきかけてるし⋯⋯だから俺は反対したんだ」ゼルトは八つ当たりしてるな。


「なんだよ!ゼルトが一番乗り気だったじゃないか!」シュトラウスはゼルトに反論している。


 その喧嘩のこえに魔物が反応したのか近寄っていく。


「よし!皆で『シャイニングセイバー』を助けてこの森をでるぞ!」


「わかったのだ」


「頑張ります!」 


『やるよー!』


 さあ魔物狩りといこうじゃないか!

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