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ストラウス高原 戦士長ディノオウサル

 沼地だった場所にいたグランドアリゲータとデスクロコダイルを魔法袋に回収して夕食の準備をすることにした。


 朱莉は夕食を済ませたら一旦冒険者ギルド野営地区に戻るという。


「思ったよりいたな」


「グランドアリゲータ30匹ぐらいいたのです」


「デスクロコダイルも4匹いたわ」


『沼なくなったから水場なくなったねぇ』


「新しく水場は作るのだ」


 ルシファーがベリルが言った言葉に反応して動き出した。水場を作るらしい。


 「大地よ形を変え空洞を形成せよ『グランドフェアティーフング』」


 ゴゴゴゴ⋯⋯沼場だった場所に手を置き『土魔法』を発動させると土が動きだし大きな穴が2つできた。  


「大きな穴なのです」


「よし。マスター、我輩は水のついでに魚を取ってくるのだ。それで夕食のおかずにするのもいいと思うのだ。水場はと⋯⋯あったのだ。すぐ戻るのだ」


 そういうとすぐさまルシファーは『時空魔法』の瞬間移動(テレポート)を使い行ってしまった。


「じゃあ魚を焼く準備をしようか」


「ここら辺では草ばかりで樹木がなく、薪は山岳部までいかないとないのです。私の魔法だと火種を維持できませんし⋯⋯」


 レオナが困ったようにしている。見渡す限り広大な草原だったしな。魔獣の森も少し離れているしこれから暗くなる場所にいくのは避けたい。


「ウッドゴーレムを使おうにもルシファーがいないと駄目だしな」


 ウッドゴーレムは生きたのしかいないので出すのを|わざわざ戦わないといけないし加工しないといけないから躊躇う《ためらう》な。


「しょうがないわね。山岳部に行くなら夕食の手伝いも兼ねて私も手伝うわ。あれに見つかると少し面倒なのよね。」


「あれって⋯⋯ああ。ディノサウルロイドか⋯⋯確か恐竜人間だっけ?」


「ええ⋯⋯ほかの種族とは敵対して餌としかみてないから話をしても無視するのよ。見つかると死ぬまで労働力にもされるらしいから誘拐されるし。だから実力がついたCランク冒険者からしか近づかないように注意喚起されているわ」


「へぇ~よく知っているな。」


 話をしても、無視するってことは言語は理解できてるってことだな。


「昔、一度ストラウス高原でのDランク冒険者行方不明で緊急クエストの捜索依頼があって、山岳部に行ってディノサウルロイドと交戦したわ。あのときは行方不明者が2人いて見つけた時には1人は亡くなっていたの。潜伏スキルを使って連れて逃げれたけど厄介の一言だったわ。とても強い戦士が1人指揮を取っていたの。若そうなディノサウルロイドだったから今頃はもっと強いかも⋯⋯」


 朱莉が強いっていうぐらいだから相当なんだろうな。


「念のため、戦闘経験の少ないレオナとベリルは残ってもらおうかな」


「如月さま、朱莉さん気をつけて行ってきて下さい」


『僕も行きたかった~』


 レオナは心配そうにしながら残ることに納得したようだ。


 ベリルは残念そうに羽をパタパタさせてるな。


「すまないな。レオナだけだと残ってもらうのも心配なんだ。ベリル、レオナを頼むぞ。」


『そういうことなら仕方ないね!レオナのことはベリルが守ってあげるよ!』


 フンスとベリルは鼻息をだすとレオナに近寄りひと鳴きし、レオナにすり寄る。


「できるだけ早く戻ってくるよ。もうすぐ暗くもなるし、薪を見つけたらすぐ戻ろうと思う。俺たちよりルシファーが早ければ言っておいてくれ」


「わかったのです」




◇◆◇◆◇◆





 山岳部を目指し朱莉と一緒に走り始める。


「見えてきたわ。ん?あんな所にディノサウルロイドがいるわね。今まではいなかったのにおかしいわね」


 入り口付近にディノサウルロイドがいて怪我をしているな。青緑の鱗で鋭い牙と金色の目が光っているが弱々しくしているな。


「なんか騒がしいな。少し気配遮断して、様子を見に行こう」


『ジョブチェンジLEVEL-1』――『盗賊』――気配遮断を使った。


 山岳部の中心に行くと所々崩れてるな。木も倒れていたり、ディノサウルロイドが至るところに転がっている⋯⋯ただ息があって呻いているな。


「とりあえず目的の木があるな。拾っておこうか⋯⋯」


 倒れた木から枝を取っていると大きな声が聞こえるな。


「ケッ!弱すぎて期待はずれだな!少しは強そうな気配があったから大きな魔物がいると思ったのによ!」


 ん?聞いたことのある声だな。⋯⋯あれってパイモンか?


 パイモンが色の赤紫のディノサウルロイドが大型のバスターソード持って、素手のパイモンと戦っている。


「あっ!あれって私が言ってたディノサウルロイドだわ」


「ん?この気に入らない気配は⋯⋯おい人間何でこんなとこにいるんだ?ルシファー様はどうした?」


 気配遮断してるのにパイモンに見つかった。話ながらディノサウルロイドの攻撃を片手であしらっている。


「なんだと人間が現れた?貴様!戦闘中によそ見などして俺をバカにしてるのか!しかも腰にしている剣をなぜ使わない!」


「うるせぇな~!さっきも言ったけどおめぇ弱えぇんだよ。おい人間、さっさと俺様の質問に答えろ!」


「ああ⋯⋯ルシファーなら魚を取りに行ったぞ。俺たちは夕食の準備をするために木を探しにきたんだ」


「ルシファー様直々に魚を取りに行っただと?⋯⋯むっルシファー様がこちらにこられるな」 


 転移魔法陣が展開されルシファーが現れた。すぐさまパイモンがルシファーの存在に気付き対応する。


「おおっパイモンではないか。一緒に夕食でも食べるのだ」


「ルシファー様の御誘いを断る分けにはいきませんな。おいお前命びろいしたな。俺様は今とても機嫌がいい。さっさといくんだな。」


「なんだと!? 貴様!攻撃を仕掛けてきたかと思ったら侮辱するにも程があるぞ!この戦士長ディノオウサルが逃げるなど死ぬほうがましだ!グハッ?」


 戦士長ディノオウサルと名乗ったディノサウルロイドはパイモンの蹴りをくらい勢いよく倒れた。


「ならおい、人間譲ってやる。ここら辺では俺様は狩る価値も見いだせん。飯を食ったら別の所で仕切り直しだ。俺様はルシファー様と一緒にお食事済ませてくるから相手でもしておけ」


 夏樹()にパイモンは声をかけ、さっさと行こうとしている。


「マスター手伝おうか?」


「手を出されたらパイモンがまたうるさそうだしみててくれ」


「わかったのだ。じゃあ少し待たせてもらうのだ」


言語を理解してしゃべる恐竜人間なんて後味悪くて倒せないぞ⋯⋯気絶でもさせてさっさとここを離れよう。


「夏樹大丈夫?あのディノサウルロイドは強いわよ」


「ああ⋯⋯問題ないと思う。お前には悪いがしばらく眠ってもらうぞ」


「眠らすだと?ずいぶん見くびられたものだ。彼奴ならともかく貴様には負ける気がせん。しかもまた貴様も素手だと?喜べ。俺を怒らせるなら成功しているぞ!」


怒ったディノオウサルはバスターソードを振りかざし勢いよく、夏樹に向かって攻撃をする。


「『ジョブチェンジLEVEL-3』――トータルファイター」


 トータルファイターは投げ技や打撃系、間接技を使うことのできる総合格闘家である。


 ディノオウサルの腕を持ちバスターソードを蹴りではじいて一本背負いをかけ空中で腹に蹴りを打ち込み地面に叩きつけた。そして魔法袋の中からバティン特製の眠り薬を無理やり口の中にねじ込み飲ませた。


「グオッ!毒か?」ディノオウサルの瞼が少し閉まってくる。


「いや眠り薬さ。効き目は悪魔特製だからよく効くぞ。しばらく眠っててくれ」


「くそっ!お前の顔は忘れんぞ⋯⋯生かすことを後悔するがいい⋯⋯この屈辱必ず晴らす⋯⋯からな⋯⋯」


 ディノオウサルは少しすると寝息をたてながら眠ってしまった。


 凄いなもう効き目があるのか。さすが悪魔特製の薬なだけあるな。貰っておいてよかった⋯⋯。


「マスター、トドメをささないのか?」


「言葉の通じる奴等をトドメさすのはまだ勇気がないな⋯⋯」


「ふぅ⋯⋯甘い考えね。いつかそれで後悔しなければいいけど⋯⋯」


「まあマスターが良いなら問題ないのだ。お腹も空いてきたし早く夕食にするのだ。範囲瞬間移動(エリアテレポート)


 魔法陣が夏樹たちを包み込むと目の前には海水の塊が中に浮いていた。


 「あっ!如月さま、おかえりなさいです」


 『ご主人様~!お帰り~』


 レオナとベリルが迎えてくれる。どうやら沼場に戻って来たようだな。

 

 空中に浮かせていた海水の塊は魚を取りやすくするために上げていたらしい。魚をいるぶんだけ取ったあと穴の空いた場所に海水を放り込むルシファー。2つ穴があったのはもうひとつは真水を入れるとの事。こうして沼場だった場所は湖畔と小さな海になったのだった。










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