冒険者ギルド再び!決闘編 前夜
ギルドマスターことアンゲシュテルターは冒険者ギルド内で説明を行っていた。
「それでは試合内容の説明を行う。各クエストボードにのっている討伐対象モンスターが評価対象となる。
クエストボード対象モンスターは1匹につき2点でクエストボード対象外モンスターは1点の対象となる。
各素材の部位で採点をおこなうが持って帰ってこれない場合は現地にて採点の確認もおこなうことにする。
現地の採点の場合は冒険者達の協力の為、協力冒険者たちと素材は山分けになる。
なお危険を踏まえ生け捕りは対象外にする。
勝負の期間は3日を目安とし、行って帰ってまでの時間も含めておく。
時間内に持って帰ることのできないものも対象外となるので注意してほしい。
なお持っている素材から出した場合、今回の採点の対象にはするが採点の対象となったものは冒険者ギルドに提供してもらうので後で後悔しないよう配分を考えるように。
提供してもらった素材は協力冒険者たちに支給する。
なお今回はハンデの為、モンスター討伐対象は『夕星』はFランクのためFランク~Aランクの討伐対象全部とし、Cランクの『シャイニングセイバー』はDランク~Aランクからの討伐対象とする
採点の場所は<ストラウス高原>と<魔獣の森>だ。冒険者ギルド野営地区を<ストラウス高原>に設置する。現地での採点は夕星の採点者とシャイニングセイバーへの各2名の採点者と協力冒険者に別れて貰う。
勝負は明日の朝からとする。協力冒険者になりたい諸君は受付を済ませて置いてくれ!」
ざわざわと冒険者達の声がする。
「ハンデというかFランクをいじめるようにしか感じないな」
「上のランクの魔物を倒せとか無茶苦茶だな」
「でも納品の時の魔物を見てなかったのか?Fランクじゃ倒せない魔物ばかりだったぞ」
「倒しても持って帰れなければ意味がないんだし俺たちにも素材獲得のチャンスじゃないのか?」
「戦う心配がなくて素材は山分けっておいしい話だな。皆にも伝えてこよう!」
「納品されればされるほど協力冒険者に提供されるのか。これは参加するべきだな」
「Cランクの『シャイニングセイバー』の魔物も納品されるし最低でも素材はもらえそうだな。」
冒険者ギルド内はお祭り気分だ。受付はもう行列ができている。
ギルドマスターがこちらに話しかけくる。
「これでお前たちが負けても冒険者たちが文句をいいに行くこともなくなると思いたいがね。ただしこれだけの大事になったんだかいい勝負はしてくれよな。増援もオッケーらしいし、遠慮しなくていいぞ。本部にもまた噂がいくだろうし俺は胃が痛てーよ」
どこか弱気になりながらも期待し、フォローをいれてくれたみたいだな。
「今日屋敷に帰ったら増援の話を帰ってしてみるよ」
夏樹はギルドマスターにそう答えた。
「ん?お前ら3人だけじゃなかったのか?しかも屋敷を借りてんのかよ。中級回復薬といい⋯⋯お前ら本当になにもんなんだ?」
ギルドマスターは少しまた驚いて聞いてきた。
「まあそこら辺は⋯⋯まああと4人と1匹いるんだ。話せば何人かは参加してくれると思う⋯⋯」
少し濁しながら会話を済ませてその場をしのいだ。
◇◆◇◆◇◆
ダイニングルームで今日あったことを話したらパイモンとバティンが乗り気になっている。
「ルシファー様に勝負を挑むなど人間め!俺様がじきじきに蹴散らしてやろう!そもそも貴様が横にいるから舐められるんだ。ルシファー様に謝れ!」
パイモンは椅子から立ち上がり食べ終わった皿が飛ぶくらい机を叩き夏樹に言い寄ってくる。
「おい!パイモン!戦いは魔物討伐だからな。くれぐれも冒険者は攻撃するなよ?あとお前の格好は目立ち過ぎるから『変異魔法』で角と翼は隠してくれよ。使えるか?」
「愚問だな!俺様が使えない魔法など存在しない!面倒だがやってやるよ」
注意しとかないと本当に攻撃しそうだからな。
「ふふふ⋯⋯より多くの魔物を血祭りに上げたらいいのですね。なんと分かりやすい勝負なのでしょう。このバティン必ずやお役に立ってみせましょう」
バティンは食器を片付ながらいつになく燃えているな。しなやかに蛇の尾がうねってる。
「バティンは冒険者ギルドが要るときはホーヴヴァルプニルで飛ぶのは禁止ね。ホーヴヴァルプニルが狙われるようになったら元も子もないし、冒険者とか登録もまだな、ラバルとアバリムは今回は参加は控えてくれ。魔物の王達だと説明も大変だし参加が増えすぎても文句出そうだしさ⋯⋯」
「ホーヴヴァルプニルが自由に使えたらもっと楽に魔物狩りができたのですが仕方ないですね」
バティンは納得したように返事を返してくれた。
ラバルとアバリムは少し残念そうに目を瞑ったりしている。
「むう⋯⋯残念⋯⋯私変異得意なのに⋯⋯」
「仕方あるまい」
「ギャルル」
フンス、フンスと鼻を鳴らしながらベリルもやる気に満ちている。
「ベリルは従魔ってことにしとけばいいのかな?」
夏樹は考えながら呟く。
「この際本当に従魔登録はしとけばいいのだ」
ルシファーがジョブチェンジを勧めてくる。
「そうすれば本当に連れ歩いても大丈夫になりますね」
レオナもベリルを見て頷いている。
「ベリルもいいか?」
確認の為ベリルに聞いてみた。
「ギャルル~♪」
ん。良さそうだな。
「じゃあ『ジョブチェンジLEVEL-1』――魔物使い――『テイム』」
ベリルを触りながら『テイム』する。
ピコン
『ヘリオドールドラゴン<ベリル>をテイムしました』
ピコン
『如月夏樹が念話スキルを獲得しました』
ベリルを『テイム』したことにより『念話』スキルが獲得できたな。
『ご主人様よろしくね~』
念話が頭に響きベリルの声が聴こえる。「ギャルル」って奥でしゃべってるのも聞こえるな。
「じゃあ私も参加しない方が良いわね。だって私、Aランク冒険者だから参加したらいろいろと不味いかもしれないし。貴方達の実力を見るチャンスだから協力冒険者として参加することにするわ」
朱莉はそう答えるとお茶をゆっくりと飲みながらこっちを見た。
朱莉はAランク冒険者だったのか⋯⋯結局参加することになったのは、しかし、パイモンもバティンも冒険者登録してないけど参加してもいいのかな?
とりあえずギルドに行ってギルドマスターに説明と冒険者登録を済ませておくべきかな。
ランキングランクの影響下にない2人だしそこはどうなるんだろ?ルシファーは契約してたって書いてあったけど⋯⋯
「もちろんマスターにランキングポイントは移動するのだ。まあパーティーメンバーにも恩恵はあるから心配しないでいいのだ」
◇◆◇◆◇◆
またまた冒険者ギルドへ今度は朱莉、ベリル、パイモン、バティン、ルシファーを連れて冒険者ギルドに来ている。
ルシファーにお願いして騒ぎを起こさないようにとパイモンとバティンに言ってあるのでパイモンとバティンは借りてきた猫のようにとても静かだ。
ざわざわと冒険者たちが騒ぎだす。
「おいあのFランク小さなドラゴンを連れているぞ⋯⋯」
ベリルを見て少しビクビクしている冒険者A
「あれは!? Aランク冒険者『フロストファング』の須藤朱莉だ。カッコいいなぁ~」
どこかのアイドルを見るような目線で朱莉をみる冒険者B
「綺麗なお姉さんだな⋯⋯」
バティンを見て見惚れている冒険者C
ギルドマスターが出てきたな。
「⋯⋯騒がしいな。んんっ?またお前らか。今度はなんなんだ?ドラゴンがいるし、それに後ろの連中は誰だ?それに『フロストファング』の須藤朱莉じゃないか」
「言っていた屋敷の隣人です。増援の依頼を受けて、冒険者登録もかねてきてもらいました。ドラゴンは最近従魔にした魔物です」
「私は協力冒険者に参加しにきたわ。夏樹たちとは今共に行動してる仲間ね」
「我輩の部下もいるのだ」
朱莉の話に目を細めて ギルドマスターが戸惑いながら聞いてくる。
「おいおい増援も新人だというのかよ?参加してほしいとは言ったけどな冒険者登録からとは⋯⋯そして部下だぁ?ただ『フロストファング』とも関わりがあるとはな。期待できるんだろうな?」
「実力は折り紙つきよ。それに『フロストファング』は抜けたわ。そこの二人は私だけじゃ手におえないわ」
「ふむ事情がありそうだがうちは貢献さえしてくれれば文句はないが⋯⋯Aランクが手におえないって何だよ⋯⋯じゃあ受付で登録を頼む」
パイモンとバティンが受付で冒険者登録してる間、朱莉も協力冒険者として受付をすましている。夏樹も従魔登録を済ませておいた。
そういえばパイモンとバティンの登録はどんな事が書いてあるのかな?チラリと登録証を確認する。
名前 パイモン
種族 堕天使族大悪魔
職業 ウエストワールドキング
武器 螺旋剣
やっぱり堕天使族でウエストワールドキングか⋯⋯螺旋剣っかすごく有名な名前の武器『カラドボルグ』を持ってるな。
名前 バティン
種族 悪魔族蛇人
職業 悪魔大公爵
武器 硬鞭
⋯⋯まさかの鞭だと⋯⋯!? しかししなる方ではなく硬めの馬などを叩く方だとは。なんという予想外な武器を持っているんだ。
まあ俺の知ってるソロモン72柱とは違うしやっぱり別世界なんだな⋯⋯
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