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広い屋敷で現れたのは⋯⋯



 屋敷の中に入るとエントランスは広く螺旋階段と左右に通路が広がっている。


 屋敷の中には絵画や壺、本、食器、ベッドなどそのままらしい。


 晴れて解決したら自由に使っていいとの申し出も貰えた。


「とりあえず探検なのだ!」


「これだけおっきいと浴室も期待できるわね」


「書斎はどうなってるんでしょうか」


「ギャウ」


 おいおい⋯⋯気が早いな。まだ解決してもないぞ。


 まあ俺も気になるけどさ⋯⋯


「とりあえず幽霊をだな⋯⋯っ?あれっ?みんな?」


 いない⋯⋯皆各々目的の場所へ行ってしまったようだ。


 幽霊を怖がらない皆⋯⋯解ってはいたがレオナとベリルまでいないとは予想外だ。


 仕方ない⋯⋯俺も気になるし皆を探しながら屋敷を回るとしようか。

 とりあえず給仕室と寝室にいかなければいいんだけど間取りもわかんないしな。


 3階建てだし、広くてわかんないぞ。


 とりあえずとぼとぼ歩いて1階の屋敷をまわり始める。


 ルシファーが探検で、朱莉が浴室、レオナが書斎に、ベリルはどこだろ?宝物庫なんてないだろうし、庭かな?


 まず最初に大広間に到着した。蝋燭を刺すタイプのシャンデリアがあるな。中は広々として空間が空いている。


 ダンスとかもしてたのかな?

 

 ということはこのちかくにダイニングルームとキッチンがあって給仕室がとなりぐらいにあるのかな?


 しかしこんなに広いと家賃はいくらだろ⋯⋯安くはしてくれるって言ってたけど怖いな。決済でお金を全然みていないから、あまり気になる事はなかったけど、貯めておかなきゃまずい気がする。


 「掃除とかも大変そうだ。工房ギルドで魔石動力の床と窓用のロボット掃除機でも作るか。お次はどんな所な?」


 大広間を出て廊下を移動するとダイニングルームが隣にあった。


「キッチンも調べたかったし行ってみるか」


 長い机に椅子が並んでいるダイニングルーム抜けてキッチンを目指す。


「キッチンもしっかりしてるな」


 キッチンの中を物色し、設備が整っていることを確認して、冷蔵庫らしいところには氷を置くスペースがありそこで温度を下げ、ものを管理するみたいだな。


 火の魔石を置くコンロのような場所も3ヶ所あるし、オーブンまであるな。酒を置く貯蔵スペースも用意してあるし、なかなかいいじゃないか。


「ん?こんな所に鏡なんておいてあるのか?」


 気づけば給仕室に入り混んでいたみたいで自分の姿が瓜二つに全身映っている⋯⋯


「出ていけ⋯⋯」鏡に映る()()()が口を開く。


 どうやら鏡ではないということがわかると本物の如月夏樹は魔法袋からジークドラムスに作って貰った魔法銃を取り出し戦闘体制に構える。


 一度打ってみたかったんだよね。


「どうやら幽霊さんのお出ましのようだな!」


 魔法陣が展開され『時空魔法』――<瞬間移動(テレポート)>を使い給仕室にルシファーが現れた。


「マスター!その戦闘少し待って欲しいのだ!」


「ルシファー様⋯⋯⁈ではパイモン様が言っていた連中って⋯⋯」


 この()()()()はルシファーを知っているみたいだな。


 ルシファー様?んんっ?パイモン様?


「夏樹!ここにいたのね?急に現れたと思ったら目の前で消えてビックリして探したわよ⋯⋯って夏樹がふたりっ?」


朱莉が走ってこちらに来てふたりいる俺に驚いている。


「そこの幽霊の正体はドッペルゲンガーモナークなのだ。


パイモンに仕える魔物で、確か名前は⋯⋯ラバルだったはずなのだ。

もう1人、不死者の王(ノーライフキング)のアバリムがいて、わかったのだ。


アバリムは猫娘を捕らえようとしてたのだ。


たまたま我輩が出くわして事なきを得ることができたのだ」


 猫娘って⋯⋯ゲゲゲの鬼○郎か?ああ虎だもんな。獣人だから猫科なのではない気がするが。


「レオナを助けてくれたのか。助かったよルシファー。じゃあ、ここの屋敷の幽霊騒動は、君たちが起こしたことなのかな?」


 ドロドロと()()()()だった姿が変わっていく。ドッペルゲンガーモナークは銀髪の小さな女の子になった。


「ラバルです⋯⋯パイモン様の命令でここにいた⋯⋯広さ的に私達の住む場所に申し分ないから⋯⋯私を見ると大抵の奴は恐慌状態になる⋯⋯とても失礼⋯⋯」


 たどたどしい言葉遣いでゆっくりと話してくる。レオナがベリルとともに入ってきた。その後ろから金髪の背の高い赤い服を着た女性が入ってくる。


「ギャウウ~」


「如月さま、はしゃいでごめんなさいです」


 レオナは少しうつむいて落ち込んだようにしている。ベリルも少し申し分なさそうにしているな。


「アバリムだ。貴様がルシファー様をたぶらかしたやつだな。パイモン様がお怒りだったぞ」


 ハキハキとした口調でアバリムと名乗るノーライフキングが睨み付けてくる。



「住居区に『ネームド』でドッペルゲンガーモナークですって?それにノーライフキングもいるとか、戦闘で街がなくなるわ。貴方達といると驚きの連続で、ほんとに退屈しないわね」


「とりあえずパイモンを呼ぶのだ。あとバティンにもこの場所の存在をおしえるのだ」




◇◆◇◆◇◆





 庭に出るとパイモンがルシファーに呼び出されパイモンがルシファーにむきなおる。その後ろにアバリムとラバルが整列している。


「ルシファー様が召喚されてから、すぐに俺様も呼び出され適当に住む所を、アバリムとラバルに探させていた。


少しの間は俺様もここにいてアバリムとラバルに管理させておいたわけだ。

 私達が住む屋敷にしては手狭で仕方ないが人族ごときの建物などどれも変わらないだろしな」


パイモンは自慢気に一言多い説明をしてくれた。


「ここにはワイトメアがいて、人間どもに悪さをしていたが、私達にはあまり関係のないことだったからしばらく放っておいたが、あまりにも五月蝿くするので追い払っておいた。


しばらくすると今度は、ラバルを見た奴らが騒ぎだして、とても迷惑していたが、出ていってくれて助かったよ」


 アバリムがそういって、何事もなかったように住人たちの様子を語ってくれた。幽霊騒動はあったらしいけど、既に解決済みだったみたいだな。



「では改めてタージルアビトさんに言ってここに住む場所を決めようか」


「書斎もよい感じでしたし賛成です」


 レオナは久々にゆっくりと本が読めるので楽しみで仕方ないみたいだな。


「お風呂も申し分なかったわ。楽しく過ごせそうよ」


 朱莉は嬉しそうに風呂情報をくれた。日本人としては風呂は嬉しい。こっちに来てから入れていなかったし。


「ルシファー様と一緒に住めるようになるとは⋯⋯感慨深いな。人間は邪魔だが」 

 

パイモンはしみじみとルシファーとの生活を楽しみにしているようだ。


「ギャウウ~」

 

パタパタ気分よさそうにベリルは飛んでふよふよしている。


「広い庭で過ごしやすいのだって言ってるのだ。おっバティンも来たみたいなのだ」


ベリルの通訳をしてくれながらルシファーは空を眺めている。


 魔法陣が展開され空から蒼ざめた馬乗ってやって来た。

空中を闊歩しながらゆっくりと降りてくる。

カッコいいが目立ちすぎだろ⋯⋯


 ルシファーの少し遠くに降りて、馬から降りるとルシファー、アバリム、ラバルに近寄りあいさつをかわす。


「ルシファー様只今バティン参上致しましたわ。アバリム様、ラバル様もお久しぶりでございます」


「おう!久しぶりだな。バティンも一緒に住むのか」


「バティン⋯⋯久しぶり⋯⋯貴方の入れたお茶また飲めるの⋯⋯楽しみ⋯⋯」


「ええ喜んで。雑務はお任せ下さい。私めも久しぶりのルシファー様のお世話ができるのは楽しみです」


 バティンがにこやかに笑って会話を楽しんでいる。


 こうして住まいを確保できたのだった。



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