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エロゲ脳はほっとけない  作者: びねつ
エピローグ
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エピローグ

「お邪魔しまーす」


「おう、星野。久しぶり。」


 あれから一年後、部員が星野一人となった漫画研究会は新入部員も入らず、廃部となってしまった。

 俺たちの今の活動場所はボロアパートの一室。

 去年あんなに就職活動、就職活動言っていた星野は企業に就職せず、結局フリーランスの作曲家になった。

 あと俺たちのサークルの作曲家でもある。


「で、シナリオの進捗はどうなんっすか? 主宰さん」


「いやー最近スランプでなぁ……先週連絡した分から全然進んでない、すまん……」


「そうですかぁ……。これじゃあまだ曲は作れないっすね。」


「悪い……」


「そんなんだからエロゲーメーカーのシナリオライター募集全落ちするんっすよー」


「昔の話を掘り返してんじゃねえ! そもそも俺は企業が飼える規格の人間じゃねえんだよ!」


 一年前、俺はエロゲーのシナリオライターを目指して就職活動をしていた。

 だってエロゲー好きなんだもん。好きを仕事にしたかったんだもん。


 シナリオライターの採用試験に必要なものは自分で書いたシナリオ。

 数々のエロゲーメーカーの採用試験に臨んだ。

 こいつらと作っていたノベルゲームのシナリオを抱えて……。


 その結果全落ち。


 しかし、このサークルは決して全落ちしてやけくそに作ったわけではない。

 めんどくさ女を攻略するために作ったんだ。

 ついでに、その俺たちの処女作の売り上げはというと……。


 思い出したくもない……。


 あの売り上げだと、いつか俺たちが有名になったときにプレミア化するに違いない。

 買ってくれた人ありがとう!

 君たちは今、金やそこらの土地なんかよりもよっぽど高騰する資産を持ってるんだぜ!


 そんな同人ドリームな未来を今は心の中だけで願っておこう。


「あ、星野くん久しぶり!」


「お久しぶりです、小木曽さん。今日は居酒屋のバイトないんですね?」


「そうそう。今日は一日中CGの塗りを仕上げてたの。あと今はもう小木曽じゃなくて高村よ~」


「ああ、こりゃあすみません。会う日が開いちゃうとつい間違っちゃうっすねー」


「なんだその会話。恥ずかしくて聞いてらんねぇぞ」


「あら、あなたもよく書くじゃない。見てられないぐらい恥ずかしいシナリオ。星野くん、せっかく来たんだしお茶でも飲んでったらどう?」


「ああ、お気遣いなく、すぐ帰りますから!新婚のお二人の邪魔しちゃ悪いんで~」


「ああ、恥ずかしいやつ」



 素人に毛が生えた程度の俺たちが生きていけるほど甘い世界じゃないかもしれない。

 でも、這いつくばってでもやっていくしかない。


 このどうしようもなく、ほっとけない仲間たちと。

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