クソ寒い朝の船にて。あとおまけ!です
夜明け、いつの間にかすっかり風が冷え、フッと息を吐けば白く染まるくらいだ。いわゆる冬季、地下では動物らは大量のエサと共に寝床に篭もり、地上は一面白みがかった銀色に覆われる
人によっては儚さを感じ、センチメンタルな気持ちに浸れる時期だが、またある人にとってはただただ寒さに耐える辛い時期、くそったれ
「くぅ、くそったれぇ……っ!」
ガタガタ、ガタガタ、ガタガタガタ。
今日も今日とて操縦室にて操縦桿を握る男、アレフは分厚い毛布を頭から被って歯をカチカチ震わしながら心からの悪態をついていた。顔色も悪いし操縦室のフロントガラスに霜が降りてるせいで視界も悪い、まさにくそったれ
「くそったれ、くそったれデイ……いや何言ってんだ俺は……」
こういう時は独り言も冴え渡るというものだ。望んでもない寒さに喜ぶ子供のようなエルフと、本物の子供がデッキ上で楽しげに騒いでいる声が聞こえる。因みに駄馬野郎は野生の本能がどうこう言って寝床から出ようとしない
今更だが、自分は寒いのが苦手だ。暑いのがその分好きだとかそういう訳でも無いのだが……何にせよ寒いのが本当に苦手なのだ。どれくらい苦手かと言うと盗人家業を営んでいる時も冬季は野の獣と共に冬眠をかまして寝過ごすくらいには寒いのが苦手
「パパー!みてみてー!!」
おっと、愛する娘が俺の事を呼んでいる。まさか寒さに負けてガタガタ震える姿を晒す訳にもいかないので、頬に一発物理的喝を入れ、窓を開ける……窓を、窓を……開かない!手がかじかんで中々開かないではないか!
「だぁもう!開きやがれっての!」
片腕では開いてくれないのはわかったのでもう体ごと押し付けて摩擦で開ける作戦に出た。今も尚愛する娘は俺の事を待っている、そう考えると俄然力が湧いた。そして
「よっしゃ開いた。って、さむっ!風が寒いなおい!」
当たり前なのだが、窓を開ければ外気が室内に入る。段々とアレフのテンションが狂ってきているが幸いにもマナの耳には届かなかったようで、ギリギリで父親の尊厳が保たれたという訳だ
「パパー?」
「あ、あぁ……!な、何だぁ……?」
「みててねー!」
寒さのせいで目がシパシパするが、どうやらその手に竹とんぼを持っているらしい。アレフがこちらをちゃんと見てるのを確認してから、マナは手を擦り合わせ始める
「そー、れっ」
飛んだ。綺麗に、淀みなく……例えるなら冷えて澄みきった現在の空気の様な……。高く舞い上がっていった。上手だ、竹とんぼはやった事無いが、素人目に見てもよく飛んでいる。さっきまであれの練習をしていたのだろうか
さて、そんな竹とんぼの行方だが……諸行無常、儚くも海に落ちていってしまった。空飛ぶ竹とんぼの一生、その終り行く様の一部始終を見ていた全員は無言のまま暫く固まった
その中で真っ先に口を開いたのは船のヘリに腰掛けていたサシャで
「あーぁ……アレフがキャッチしないからー」
という軽口だった、これに便乗して笑いで済まそうかとも思ったがおもちゃを一つ失ったマナの反応の方が大切。
そういう訳でサシャの発言はスルーしてマナの方を向いてみる、と
「………………………………………。」
無言、フリーズ、流石に距離があるので竹とんぼを持ってるのはわかっても細かい表情まではよく見えない。ぽかんと口を開けて惚けているのはわかる
「ま、マナぁー……?」
「……」
「マナ、大丈夫かぁー……?」
「すっごい、とんだ」
え?
「すっごいとんだ!パパ、サシャ!いまのすごくない!?」
アレフの寒さ耐性とマナのメンタルは並じゃない(但し意味は異なる)という話でしたとさ……。
▶▶▶
【不定期 キャラ説明】
アレフ
三十歳、男
子供の頃から泥棒として過ごし、世界の法を護る「知恵の守護者」に目を付けられていた。
本作品で度々出てくる「知恵の守護者」の一人「ボス」と因縁を結んだのもこの頃、年齢で言うと十代前半、空も飛べるブーツ「リヒト・シュネル」を盗んだぐらいの年齢
寒いのが苦手なのは生まれが南国の方だから。しかし生まれてすぐ捨てられ
物心ついた頃から放浪していたので思い出等は無い。娘のマナに子供自体の話を聞かれるととんでもなく嫌な顔をする
因みにマスターとは腐れ縁。第一印象は何だコイツ、今の印象はただのブサイク駄馬だと思っている。基本嫌い、話したくも無い。顔は見ると笑えるが同時にストレスも溜まるのでやはり顔も見たくない。嫌い、でも信頼はしている
話を戻して、そんな放浪と盗人生活の末、世界の様々な場所を訪れ、奇妙な交友関係を世界中で築いた。例えばオークの里で最も喧嘩が強く、後にアレフと同業者の盗人へ転身した「バベル」だとか、現在旅に同行中の「サシャ」だとか……まだ色々と居るのだが、これからどんどん出していこうと思います
【作者 月見ヌイの気持ち】
皆さん、こんにちワン(小粋なシャレ)
何故今回、本文内でこういったキャラ紹介を行ったかと言いますと、ざっくり言って何となく、です……いや、やっぱりいつの間にかこの作品も60話を越えて、そろそろこういう事をしていくべきかと思った。という体でいきます……。決して何となくじゃないです(キラッ)(キラッ)(ハート)(すみません)
リアルで喋る友達居ないんで、少しはっちゃけました。御容赦下さい
……さて、一度こういう事をやったからには、ちゃんと他の人らの説明も入れた方が良いのでしょうが、何せ【不定期】。どういうタイミングで入れるか作者本人もわかっていません。ご容赦下さい(二度目)
最後に、皆さん
「異世界旅行は愛する娘と共に」を読んでくださり心から感謝申し上げます。
これからもヌルヌルっと書き続けるので気が向いた時か、暇が過ぎて倒れそうな時にでも見て頂けたら嬉しく思います。以上、月見ヌイの気持ちでした
あ、Twitterも宜しくどうぞ。流行りのカスタムキャストを使って可愛い女の子を作ったので、そっちも暇な時に見てやって下さい。
あぁ、ついでに言いますと64話はまた上陸しようと思います。恐らく無人島新しい登場人物、さてどうなるでしょうか……今度こそ、以上です。
駄文にご付き合い下さりありがとうございました
続く




