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不思議な出会い

 一旦ここまでの投稿済みの文を全て改稿しようと思います。改稿したものを読んでくださると幸いです。

 私が人間界へやって来て一月がたった。今は7の月。太陽がギラギラ照りつけている。

 私はあの公園へとやって来ていた。今日は私がお使い当番だったので午前中にそれを済ませて、午後はここで涼んでる。幸いにも、公園のベンチは木陰にあるので心地いいの。それにただボーッとしている時間があるのも良い。自然と口元が綻ぶ。

 黄支子色の小鳥がチチッと鳴いて枝に留まる。枝が少したゆむ。その動きに合わせて、鮮やかな緑たちがさざめき合うように揺れる。それに沿って足元の影たちも形を変化させる。

 こんな何気ない日常のありふれた一場面が、新鮮に思えてくる。


 そうやって感慨に浸っていると、走っていた女の子が何かを落とした。その子は気付かずに走り続ける。落ちたものは日光を反射してキラリと光る、小さな指輪だった。

  私は立ち上がってそれを拾いに行く。と、指輪まであと数歩のところで誰かがそれを拾った。その人は誰のかが分からないようで、キョロキョロと持ち主を探してる。


「あの、それ、あの子のですよ。」


 私はその人──若葉のような髪をしている男の子、って言っても私と同い年ぐらいの──に話しかける。


「あ、そうですか。ありがとうございます。」


 意外にも丁寧に返されて少々驚いていると、若葉の髪の男の子は落とした女の子のところに届けに行った。女の子は落としていたことに驚いて、しきりにお礼を言っていた。


 私はさっきのベンチに戻って腰かける。さぁーっと爽やかな風が吹く。気持ち良くてうーんと背伸びをする。

 

────ふぅ~。きっもちぃ~!


 そんなことをやってると、さっきの男の子が近づいてきた。


「隣、良いですか?」


「あ、どうぞ。」


 声を掛けられて顔を上げると、銀の瞳と目が合った。思わず吸い込まれそうになる。

 その子は私の隣に座る。貴族か富豪の子供かな。パッと見、質素な服は、近くでよく見ると上等な生地が使われているのが分かる。それに、さっきの言葉使い。納得できるな。


「ここ、良いですね。木陰で気持ちいい。」


「そう思いますか?私もそう思っていたのです。それに、景色も和みますから。」


 話しかけてきたのでニッコリ笑って返す。すると、そうですね、と共感してくれた。

 

 ────って、硬いよ!私たち一応子供だよね?!何この会話は?!


「「あの、」」


 タイミングが被っちゃった。お互いにどうぞどうぞと譲り合う。埒が明かなくなって目が合うと、どちらからともなく、プッと吹き出した。


「この会話、すごく硬いと思わない?」


 ククッと笑いながら男の子の方が先にその言葉を口にした。


「私もそう思う!何か不自然じゃない?」


 そう言って二人で声を上げて笑う。ひとしきり笑うと、お腹がちょっと痛くなってしまった。


「ねえ、貴方は名前何て言うの?私、イル。」


 次は私から口を開く。男の子は身分を隠してここに居るんだと思う。要するに『お忍び』をしているんじゃないかってこと。だから私は本当の名前は名乗らず、孤児院の皆が呼んでくれる名前を名乗る。

 その意図に気付いてくれたのだろう。ちょっと不思議そうな顔をしたあと、悪戯っぽく笑って名前を教えてくれる。


「じゃあ、僕はウィル。…君は僕の事、分かってて訊かないんだね。何でか訊いて良い?」


「だってウィルは今身分を隠してここにいるんじゃないの?だったらわざわざ隠してることを聞こうなんて思わないよ。」


「そっか。ありがとう。」


 ウィルは嬉しそうにはにかむ。本で読んでいて知ってたけど、人間の身分関係は本当に面倒なんだなって改めて感じた。自分の行きたいところに、こうやってお忍びで来なきゃいけないなんて。


「ねえ、イル。さっきのあの指輪って、あの子にとってどんなものだと思う?」


 ウィルが話を振ってきた。さっきの女の子の指輪かぁ。何だろ。


「誕生日にでも貰ったのかな。ウィルから渡されたとき、たっくさんお礼言ってたでしょ?大切な物だよ、きっと。」


 私がそう返すと、ウィルが切り返してきた。


「あ、やっぱり見てたんだ。すっごく大事そうにしてたから親の形見とかかもね。」


 思案顔で言っているけどね、ウィルよ。貴方ってそんな顔して凄いこと言うのね。私、そんなこと考えなかったよ。


「あっ、でもでも、あれかもよ?あの~、何だっけ。えっとね~、…そう!好きな子から貰ったとか!」


 私は若干顔がひきつりそうになるのを堪えながら言った。


「え…?そんなことするの?」


「え?知らないよ?何となく言ってみただけ。」


 本当に何となくで言ったからそんなことをするのかなんて知らない。魔界ではそんな習慣無かったけど、こっちではあるのかな?なんて思っただけなんだもん。勿論、そんなことは口が裂けても言えないけどね。

 二人揃って不思議な顔をする。きっと周りから見ると、何やってるんだろうこの二人、って言いたくなる顔してるんだろうな。


「ま、いっか。フフッ、イルって面白いこと考えるね。」


 ウィルが元に戻ってそんなことを言ってくる。失敬な。そんなことは百も承知してるもん。いっつもフレアから言われてるからね。


「む。そんなこと知ってるもん。そう言うウィルだって突飛な発言するよね。親の形見なんてそうそう思いつかないよ。お互い様ってね。」


 フフフン、と笑って見返す。ウィルはしてやられた、と困ってもないのに困ったような顔をして頭に手をやる。 

 それから私とウィルは最近太陽が暑すぎるとか、噴水で鳥が水を飲んでいたとか、八百屋のおばさんが最近ちょっと痩せたとか、何気ない話をして過ごした。


 ふと、17の刻の鐘が鳴り響く。はっとして辺りを見ると、人もまばらになっていた。もうこんな時間か、と思って時計を探す。そこで時計が無いことに気が付いた。魔界には所々にあったものが人間界には無い。ここでも魔界と人間界の違いがあるみたい。


「ウィル、私もう帰らなきゃ。」


「そっか…。あ、あのさ!話してて凄く楽しかった。また、次のこの日、月の日に、この時間に、えっと…13の刻の鐘が鳴るときに、ここで会える?!」


 よほど楽しかったのかな。ウィルは雪のような頬を上気させながら捲し立てた。

 私も楽しかった。こんなにあっという間に時間が過ぎ去っていったのは久し振りだ。


「勿論!来週の同じ日の同じ時間にこの場所で。楽しみにしてる!」


 私がそう答えると、ウィルの顔に喜色が溢れだした。私もつられて自然と笑みが零れる。

 次の月の日がとても楽しみになった。

 この世界の設定です。


 この世界は光の日 火の日 水の日 草の日 風の日 土の日 星の日 月の日 芽の日 命の日が繰り返されています。一月=30日、一年=12ヶ月なので、一年=360日です。因みに月は一の月、二の月と数えます。

 一日=24時間で、一の刻、二の刻と数えます。

 四季があり、3の月~5の月が春、6の月~8の月が夏、9の月~11の月が秋、12の月~2の月が冬です。



 やっと重要人物が登場しました。これで話が進む…( ´∀`)

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