死刑宣告
「帰ってきておくれ」
母はそう言ったのだ。
「わかったよ母さん、ティーチャーに相談してそっちの学校に行かせてもらえるようにする」
来る日も来る日もが昇る前に起きてコートへ走ってシュートを撃ってそれからスクールに行って帰ってまたコートへ走ってシュートを撃つ・・・ それが楽しかった。その甲斐あってなんと全米ハイスクールのファーストチームにも選ばれたし、全米大会にギリギリ出れるレベルではあるが大学のリクルーターにも会っていた。
楽しかったとはいえやはり、無駄になってしまうのかという憤りも多少はあった。
「そうか・・・」
コーチは第一声はまるでため息だった、自分がここまでに成れたのもコーチのおかげだ「お前ならプロになれる!」とひょっとすると自分を洗脳しようとしているんじゃないかと思うほど声を荒げて自分に何度も言ってくれた。 が、彼のもう一つの口癖だ「家族を何より大切にしろ」
「お前は偉大な選択をした。やっぱりお前は俺の一番の教え子だよ」
父が死んだのだ。自分がバスケットボールの国行くのを唯一賛成してくれた人だ。その父が死んだ。母が残された、親戚もおらず自分以外に子供はいない母が残された。
母は父の意見に反対だったがそれでも支援はしてくれたし、やはり自分は母を愛している。
「ありがとう・・・ありがとう・・・・・・」
子に縋る母の声を忘れはしない。