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竹とドローンとどっちが強い? って、負けるつもりはさらさらないけどね!

のぼりの竹は長さ3メートルぐらいあったので、わたしが先端の細い方、ノセくんが後ろの太い方を抱えて電車ごっこのように走る。間抜けに見えるけどきりりとした大真面目な表情でわたしたちはひた走る。


「シハナ、前の方から1機旋回してくるぞ」

「やっぱり目立つみたいだね。さっき墜とされた映像、観てたのかも」


2人の力でないとこの長い竹を振り回すのは無理だ。わたしとノセくんは完全に足を止めてぴったりと体を寄せ合い、迎撃の準備をした。

すると、周囲のランナーたちが急にトリッキーな動きを始める。


「ほら、撃ってみろ!」

「ったく、俺はこの日のために1年間トレーニングしてきたんだ。それをお前らは!」


純粋なマラソンランナーも、無理やり参加させられた人たちも怒りは同じようだ。わたしたちが動きやすくなるようサポートしてくれている。


「シハナ、無差別に撃たれたらたまらんぞ」

「大丈夫。一応、テロリストなんでしょ? コースを外れたら撃つ、っていう最低限のルールすら自分たちで破ったらただの強盗でしょ」

「確かに。まあもしかしたら強盗よりもくだらない奴らかもしれんけどね」


ドローンはわたしたち2人の情報を探ろうとしているようだ。竹の間合いが読みきれないようで、近づいては離れ、真上に急上昇したりしている。

わたしはふふっ、と笑ってノセくんに囁く。


「ねえノセくん。ちょっとからかってやろうよ」


ふう、と一息ついて垂直に立てていた竹を一旦横に寝かしてしゃがむ。


「あー、腕が疲れた」


ノセくんが手をぶらぶらさせるとドローンが斜め前方に近づいて来た。


「今だ!」


わたしの掛け声で、下から竹を思い切りすくい上げた。しなった竹の先端に引っかかるようにして、ぶん! とドローンは後方にすっ飛んで行き、カシャっ、と遠くで墜ちる音がした。


「うふ。はははっ!」

「あはははっ!」


わたしの久しぶりの腹からの大笑いにつられてノセくんも大笑いする。


「あー、面白っ! 技術の最先端のドローンが竹の棒に勝てないなんて!」

「テロリストってきっと頭よくて高学歴なんだろうけど、中卒のわたしに勝てないなんて!」


来い来い、いくらでもおいで!

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