嫌いな人の順番
カードとカードを並べるホルダーケース
一番だけは特別そこに入れたカードは輝く
ピカピカ
僕の好きな人達のカード
ピカピカ
真っ白でどれも大切でたまに順番が変わる
一番はどれかな
愛してる
凄くすごく大切な人達
友達のあゆみちゃん、まりなちゃん
親友のまさとくん
僕のヒーローだったガオレンジャー
パパ
じぃちゃん
後ちょっと恐いママ
ピカピカのホルダーケース
それは親友に言われて変わった
「嫌いな順番1位はお前だよ。1番だけは特別周りに見せられるんだ。ほら。」
喉の奥がヒリヒリするよ
声が枯れて上手く言葉が出せないんだ
カードは時が立つと色褪せる
カードも大体なくなった
いつの間にか消えたんだ
大切にしてたはずなのに
ホルダーケースもいつの間にかこんな真っ黒に
バイトの先輩
煩いクラスメイト
不倫したお父さん
自分の事しかみない母親
今まで騙してきた奴ら
いつもの順番づけ
僕のが嫌いな奴らの順番
相変わらず1位は特別。
キラキラ
キラキラ
夢で悪魔が言った。
『なあ、1位に━━━━を入れたら君の欲しいものをあげるよ』
気まぐれだった。
悪魔が本当にくれるかどうかも信じてた訳じゃない
1位に入れるのは何となく避けてたはずなのに
一番に━━━━。
さらさらさら……
カードが砂になっていくよ
1番は特別。
一番だけは他の人にも見える。
僕の嫌いな人1番
1番になった━━━が悲しそうにこっちを見る。
あぁ、違う。
違うんだ
本当は違う
嫌いじゃなくて____
それは本当に一瞬で手を伸ばしてももう届かない。
ピカピカのカードなんてもうどこにもない。
目が覚めた世界は空き瓶が転がっている。
喉が痛い
あぁ水が欲しい________