プロローグ
俺たちは今日、卒業式を迎える。
学園へと続く長い上り坂。その両脇には卒業生を祝うかのように桜が咲き誇っていた。
その上り坂をいつもの五人で並んで歩く。今まで通り、何も変わらず。
「ついに卒業か……長かったようで短い三年間だったわね」
緋夏がポニーテールを揺らしながら、そう呟いた。
「……ん。確かに。なんだかんだ短かった」
緋夏の妹である秋名が、いつも通りの無表情で姉に同意した。
「楽しかったもんね……高校からは、四季さんも加入して五人になったし」
チーム内で唯一の良心である冬馬が、どこか遠くを見つめながら微笑んだ。
「まあ、あなたたちとの学園生活は……楽しかったですわ」
この三年間で聞き慣れたお嬢様口調で、四季は仲間になってからの日々を想起する。
「春弥は? 楽しかった?」
緋夏が俺の方を見つめながら、そんな問いを投げかける。
当然俺の答えは――
「――ああ……最高に楽しかった」
これは、なんてことない物語だ。特段驚くような出来事もない。ただ気の合う仲間同士で集まって、バカなことをやっていただけ。本当にただそれだけだ。
俺がとある姉妹と出会い、チームを作った。そこに真面目で優しい男が入り、その後お金持ちのお嬢様も参加した。最初は三人だったチームが、今では五人だ。もしかしたら、これからも増えていくのかもしれない。
今後どうなるのかはわからないが、これだけは言えるだろう――
「よし! 気合い入れろよ、緋夏! 秋名! 冬馬! 四季! 高校生活最後の一日だ!目一杯楽しむぞ!」
――俺たちは、ずっと変わらない。
春がきて、夏がきて、秋がきて、冬がきて、また春が来るように。
四季は永遠に巡るように。
今後大幅な加筆・修正を行うかもしれませんがとりあえず