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カタカタ…
ガッー…
バサッ…
この会社に入社して早5年。
自分のやりたい事も特にわからず、
とりあえず景気の良さそうな会社で働いてる
どこにでもいる青年、泉雄輔 28歳は、
誰にも言えない…言ってはいけない
"秘密"を抱えていた。
「はぁ…」
誰にも理解してもらえないこの"秘密"を
守るには荷が重い。
それでも守らなければいけない。
この使命に、大きなため息が一つ漏れた。
「先輩?どうしたんですか?」
声を掛けてきてくれたのは、
2年したの部下…大学の時の後輩でもある男。
佐伯葵 25歳。
大学時代に仲が良かったことから、
今でもよく呑みに誘う仲である。
「いや…何でもない。」
こいつにでさえ言えない悩みとは…
妹を愛しているという罪悪感だ。