アインベルクの子供達
久しぶりに更新してみました。
本編終了から少し経っており、アレン達の子供達は14歳です。
「兄上、そんなことは許されない」
「何が兄上だ!! こんな時だけ弟面すんな!!」
アインベルク邸で二人の少年が声を荒げていた。二人の少年の年齢は十代半ばといったところだ。二人の少年の名は、銀色の髪の少年の名をフィティス=アインベルク、黒髪の少年の名前をアルミア=アインベルク。フィティスはアレンとフィアーネの子、アルミアはアレンとレミアの子である。
「あんた達やめなさいよ」
「そうよ。見苦しいわよ」
そこに二人の少女が非難の声をあげた。二人の少女の名前は、金色の髪の少女をルディラ=アインベルク、赤毛の少女の名前はアレシア=アインベルク。ルディラはアレンとアディラの子、アレシアはアレンとフィリシアの子である。
「何言ってやがる!! 何さりげなく関係ないみたいな表情をしてるんだよ」
「そうだそうだ!! このローエンシア王国の慣例を考えればお前らだって関係者だからな!!」
男子組の反論に対して女子組も受けて立つみたいな表情を浮かべた。四人は十代半ばという年齢であるが、アインベルク家の役職である国営墓地の墓守として日頃からアンデッド達を駆除し続けており、その実力はすでに一軍を相手取る事の出来る猛者達である。
「大体、アディラ母さんの娘であるルディラが第一候補だからな」
「な!?」
フィティスの言葉にルディラが驚きの声をあげる。フィティスの言葉にうんうんとわざとらしく頷くアルミアとアレシアの二人。
「そうよね。アディラ母様は第一夫人だし、ルディラは国王陛下の姪だもの、資格とすれば第一候補よ」
「ちょっとアレシア、裏切るつもり!?」
「人聞きの悪いことを言わないで、私はやはり第一夫人という事を考えたらやむを得ないと考えているのよ。アア~ホントウニザンネンダワ」
「その棒読みやめなさいよ!!」
「ソウカシラ?」
「よし!! アレシア決着をつけるとしましょう!!」
ルディラがアレシアにそういうとさりげなく重心を変える。ルディラが戦闘態勢を整えた事に気づかない者などこの三人の中にはいない。
「まぁ待て、アディラ母さんが第一夫人である事がルディラにとって不愉快なことなのか?」
そこにアルミアが発言する。アルミアの言葉にルディラは慌てて首を横に振る。
「そんなわけないじゃない」
「そうか、ならばアディラ母さんの娘であるルディラが……」
「待ちなさいよ。それをいうならフィアーネ母様、レミア母様、フィリシア母様の三人をお父様はまったく区別をつけずに扱ってるわよ!! 第一夫人とかそういうのはお父様とお母様達の関係に対して失礼にあたるわよ」
ルディラの言葉に残りの三人は舌打ちをこらえるような表情を浮かべた。その表情を見たルディラはニヤリと嗤う。
「そう、お父様はかつて第一夫人とか第二とかは単なる出会った順番だと言ってたわ。言い換えれば私達はどのお母様が産んだという事は何の関係もないのよ!! 違う?」
「「「く……」」」
ルディラの言葉に三人は悔しそうな表情を浮かべた。三人も自分の親たちの仲の良さを見ればルディラの言っていることが正しいということぐらいは理解しているのだ。
「では結局のところ、話はどうどう巡りになるじゃないか。どうやって決着をつける?」
アルミアの言葉に他の三人は考え込んだ。
「やはり……お父様に決めてもらうしかないな」
「そうね。最終的にはお父様に決定権がある以上、私達が悩んでも仕方ないわ」
「確かにな……」
「それしかないか……」
四人は互いに視線を交わすと頷くと部屋を飛び出した。
* * * * *
「どうしたんだ?」
アレンの執務室に飛び込んできた四人の愛娘、愛息達を見てアレンは声をかける。
「お父様、お願いがあります」
「ああ、言ってごらん」
ルディラの声にアレンは優しく促す。
「アインベルク家の次期当主はフィティス、アルミア、アレシアの誰かがふさわしいと思います!!」
ルディラの言葉に反応したのはアレンではなく、三人である。
「てめぇ!! 裏切りやがったな!!」
「ルディラ、お前これを狙ってたか!!」
「私としたことが、先手をとられるとは!!」
「ほ~ほっほほ、油断したみんなが甘いのよ!!」
四人の子供達の言い争いにアレンは呆気にとられていた。
「お前達、ちょっといいか?」
やいのやいのと姦しく騒ぐ四人の子供達にアレンは苦笑をかみ殺しながら声をかける。アレンは四人の子供達の行動の意図することを正確に把握していたのである。
「四人とも国営墓地の墓守の仕事は厭なのか?」
「「「「そんなわけないでしょ!!」」」」
アレンの問いかけに四人は即座に返答した。その反応の早さは四人の本心であるといわざるを得ないだろう。
「そうか。それじゃあアインベルク公爵家を継ぐのがいやというわけか?」
「「「「そうです!!」」」」
継いだ問いかけの返答にアレンは苦笑を浮かべた。
「一応言っておくが公爵をお前達の誰かが継いだとしても、他の三人が爵位を継がなくても大丈夫というわけじゃないぞ」
「「「「え!?」」」」
「当たり前だろう。俺の妻達は全員自分で爵位を持ってるぞ」
「「「「え?」」」」
アレンの言葉に四人は茫然自失という表情を浮かべていた。
「アインベルク公爵を誰かに押しつけても、母親の爵位をそれぞれ継ぐことになる」
「そんな~」
「お父様、そんな殺生な~」
「え~話が違う~」
「墓守はやりたいけど爵位はいらない~」
アレンは子供達の反応を見てニヤリと嗤う。その嗤いに四人は首をかしげた。四人はアレンが自分たちを大事に思っているのは当然理解している。だからこそアレンがニヤリと嗤った意味がわからなかったのだ。
「残念だったな。お前達だけ貴族であることをやめることはできんぞ」
アレンの苦笑をこらえる声に四人は言葉を発することが出来ない。
「さ~て、お前達への嫌がらせの第二弾として、今夜はお前達だけで墓地の見回りに行ってもらうつもりだったが止めにしよう」
「「「「え!?」」」」
「義務を逃れて見回りだけしようとしてもそうはいかんぞ」
「お父様横暴!!」
「ぶ~ぶ~」
「ずるい!! お父様横暴だわ!!」
「非道い!!」
「ふはははは、父の器の小ささを思い知れ~」
アレンの言葉に子供達は抗議をおこなったがアレンはニヤニヤとした笑いをくずさない。アレンは時として子供達をからかう事があるのだ。
子供達は肩を落としてアレンの執務室を後にしていく。
「しかし、爵位を継ぐのが義務で墓守をすることがやりがいと思ってるのは逆だよな」
アレンは苦笑交じりにそう呟いた。世間一般の常識では公爵などの爵位が欲しくて欲しくて奪い合うというのに自分の子達は真逆である。
「結局……あいつらもアインベルクなんだよな」
アレンの声には喜色がどことなく浮かんでいた。
今回はアレンの子供達は14歳となってますが、今後の更新では時間が戻ったり、進んだりすると思いますがご容赦ください。




