表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/602

魔剣Ⅱ⑪

「うおりゃあああ!!!!!」


 ドゴン!!という音が辺り一面に響き、ミスリルゴーレムが吹っ飛び壁に激突する。


 壁に激突したミスリルゴーレムは、粉々に砕け散った。



 ジュスティスがミスリルゴーレムを殴り飛ばしたのだ。


(流石はトゥルーヴァンパイアだな。フィアーネよりも強いんじゃないか)


 アレンがミスリルゴーレムを一撃で粉々にしたジュスティスの強さに感嘆の声を上げる。レミア、フィリシアも同様のようだ。ただ一人フィアーネは、ため息をついている。まぁ気持ちは分かる。



「まったく、なんでいきなり私を狙ったのだ?私の命をだれかが狙ったと見るべきか?」

「いや……多分違うと思いますよ」

「アレン君、ミスリルゴーレムが狂った理由を君は分かるのかね?」


(狂ってるのは、あんたの頭だ!!)


 心の中でアレンは叫ぶ。だが、いくらなんでもそんな事は言えないので、アレンは苦笑いを浮かべる。


「ジュスティスさん、一応聞いておきますが、あのミスリルゴーレムの制作者はジュスティスさんですか?」

「いや、友人の錬金術師に製作してもらったんだ。まさか、あいつが……」

「……いえ、そのご友人の錬金術師は、ミスリルゴーレムを渡すときになんか注意しませんでしたか?」

「う~ん、そういえば何か言ってたな。あんまり聞いてなかったが」


(ジャスベイン家の家訓に人の話を聞いちゃ駄目とかあるのか?やっぱフィアーネのお兄さんだわ)


「おそらく、その注意の中に、主人を登録する項目があったはずです。ちなみにジュスティスさんは自分が主人であるとゴーレムに登録しましたか?」

「いや、してないな。そういえばあいつ、俺の名前をなんたらかんたら言ってたな」

「……」

「それにしても、失敗したな。まぁとりあえず君たち、これでこのダンジョンは攻略したということでいいよ」


 やけにあっさりとジュスティスはダンジョン攻略達成を宣言する。


「それでは、ヘシオスをもらいますね」

「ああ、はいこれ」


 ジュスティスは、こぶし大の珠をあれんに渡す。珠は大理石のような滑らかな手触りだ。すさまじい魔力を放っていることから、へシオスであることは間違いない。だが、なぜこれをジュスティスがここで手渡すのか?


「え~と、ジュスティスさん、なぜここにヘシオスがあるんです?」

「いや、ミスリルゴーレムを斃せば、もう何も仕掛けないからダンジョンクリアなんだ。だから、時間短縮で私が持ってきたんだ」

「ジュスティスさん……」


 レミアが地を這うような声でジュスティスに呼びかける。


「何やってんですか!!!!!」


 突如爆発するレミアにその場にいる全員が呆然となった。


「ダンジョン攻略の一番おいしいところをどうして全部あなたが持ってくんですか!!」

「え……あ、はい」

「ラスボスもあなたが斃しちゃいますし、ダンジョンクリアの証拠のヘシオスもあなたがここにもって来ちゃうし、私がどんなにダンジョンクリアの瞬間を待ち望んだと思っているんですか!!!確かにアレン、フィアーネ、フィリシアのメンバーを見ればあの程度のアンデットなんか時間つぶしにしかならないでしょう!!でも、でもですね!!!それでも締めは自分たちの力でやりたいじゃないですか!!!それをここにヘシオスを持ってくるとかはないわ!!あり得ないわ!!!今までの私達の苦労が全部消えた瞬間ですよ!!!ねぇみんなもそう思うでしょう!?」


 興奮状態のレミアの問いかけにアレン、フィアーネ、フィリシアはすごい勢いで首を縦に振る。

 正直、アレンもフィアーネもフィリシアもダンジョン攻略にそれほど熱心ではないのでここにジュスティスがヘシオスを持ってきたことに対して不満はそれほどなかったのだが、レミアの剣幕にとてもその事は言えなかった。


「ああ、何かすみません」


 レミアの剣幕に押されてか、ジュスティスもつい謝罪を口にする。


「謝れば良いってもんじゃないですよ!! 大体です……もがっ!!」


 長くなりそうなので、アレンがレミアの口を押さえる。む~む~と暴れているレミアをフィアーネが後ろから羽交い締めにする。フィリシアはちょっと引き気味だ。


「お兄様、とにかく一度ダンジョンを出ましょう」

「そ、そうだな」

「む~む~」

「ジュスティスさん、転移魔法お願いできますか」

「ああ、とりあえず、戻ろうか」



 ジュスティスが魔法陣を展開する。視界がぐにゃとゆがむとジャスベイン家のにアレン達五人は立っていた。


 空はとっくに暗くなっている。


 こうして、ダンジョン攻略は終わりを告げた。まぁ目的のヘシオスが手に入ったのだから良いだろう。


 レミアは納得していないようだったが。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ