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帰還

 スピンオフでの活動を終えたジェドとシアが依頼達成して帰ってきた話です。

 エルゲナー森林地帯に行っていたジェド、シア、レナン、アリアがアインベルク邸に戻ってきた。


 戻ってきた4人を見て、アレン達は彼らの無事を大いに喜ぶ。4人の後ろに駒として付けた元『フィゲン』の構成員達もいたのだが、無事を喜ぶ中に当然ながら彼らは含まれていない。


 その証拠にジェド達4人はアインベルク邸に迎え入れられたが、元『フィゲン』の構成員達はアインベルク邸に立ち入ることすら許されなかったのだ。


 ジェド達をアインベルク邸のサロンに通し、キャサリンに茶の用意を頼むと、ロムにはレミア、フィリシアを呼んできてもらい、ナーガの一体に離れにいるカタリナを呼んできてもらう事にした。


 フィアーネはアインベルク邸に住んでいるわけではないので、現在は居ないのだがジェド達が帰ってきたら話を聞きたいから呼んでくれという話だったので、アレンがエジンベートに転移魔術で赴き、フィアーネを呼んでくることで対応した。


 その結果、15分程でアインベルク邸のサロンには、関係者が揃っていた。当然だが、アルフィスとアディラ、ジュセルは学園があるためにこの場には参加していない。ジェド達にジュセルを紹介したいところだったのだが、今回は諦めるしか無かった。


「4人とも無事で良かった」


 全員が着席したところでアレンがジェド達の帰還に対し喜びの声を上げる。


「ああ、ありがとう。なんとか魔剣を手に入れる事が出来たよ」


 ジェドがそういうと一本の剣をアレンの前に差し出す。その剣は片刃で背が反ってる。黒い刀身に柄の先には宝珠が埋め込まれており柄と宝珠の間には直径5㎝程の輪っかがありそこに紐が結んである。

 その紐をよく見ると細い金属を束ねた物であり、中には何かしら紙が一緒に編み込まれているのがわかる。こんな所に意味の無い事をする理由がないので、この紙は何らかの呪符であるとアレン達は推測する。


「ジェド、これは魔剣なんですか?」


 フィリシアは魔剣の所有者として尋ねる。魔剣は何らかの能力を有しているが、副作用として呪われるという事もフィリシアは痛いほど知っていたためにジェドの身を心配したのだ。


「ああ、これは魔剣『ヴァルバドス』だ。斬った者をアンデッド化し使役するという魔剣だ」


 ジェドの言葉に全員が視線を交わす。ジェドの言葉から実際に使用したのが窺えたからだ。


「そうか、しかしそんな魔剣を手に取ってるがジェドは至ってまともだな」


 アレンの言葉にジェドは頷く。


「実はかなり危ないところだったんだが、魔剣を手にした時に乗っ取られかけたんだが、アレンが用意してくれた護符アミュレットの助けも借りて何とか調伏する事が出来たんだ」


 ジェドの言葉にアレン達はほっとした表情を浮かべる。護符アミュレットを作成したのはキャサリンであり想像以上の効果を上げたらしい。


「それで依頼の品であった魔剣『ヴァルバドス』をアレンに届けに来たというわけだ」


 ジェドはそういうとアレンに魔剣を差し出す。元々の依頼がそれだったのでアレンに魔剣を渡すことで依頼は完遂されるのだ。


 アレンは差し出された魔剣を手に取る。その瞬間に魔剣から凄まじい怨念と呼ぶに相応しい思念が流れ込んできた。


『貴様如きが私を手に取るとは片腹いた…ヒィ!!』


 だが、その思念は一瞬でアレンによって押さえ込まれ、すぐに恐怖の思念がアレンに伝わってくる。


(片腹痛い……? へし折るか……)


 アレンは以前、魔剣ヴェルシスに油断していたとは言え乗っ取られた事を恥じており、それ以来、魔剣に乗っ取られないように常に構えているようにしていたのだ。そのため、魔剣ヴァルバドスが思念を送り込んできたのにまったく動じること無くねじ伏せたのだ。


(それで……お前はこれからどうするつもりだ?)


 アレンは魔剣ヴァルバドスに思念を送り込む。当然の事ながら込めた威圧感は凄まじいの一言であり魔剣ヴァルバドスはあっという間に白旗を上げる。


『ははぁ!!あなた様への忠誠を尽くさせていただきます!!』


 魔剣ヴァルバドスの思念には恐怖の感情が満ちている。どう考えても逆らったら駄目な相手である事を察したのだ。


(そうか…それならばお前を押さえ込んだジェドに逆らうような事はしないな?)


 アレンの思念に魔剣は同意をしめす。


『も、勿論でございます!! あの方も私を上回られました!!』


 魔剣の思念に満足そうに頷いたアレンはジェドに視線を移す。


「ジェド、この魔剣はお前が使ってくれないか?」


 アレンの言葉にジェドは驚く。まさかアレンからそのまま魔剣を手渡されるとは思っていなかったのだ。


「でも、アレンはこの魔剣が欲しかったんじゃなかったの?」


 シアが疑問を呈する。当初の話では魔剣を引き渡して欲しいという事だったのでシアは魔剣を回収することが目的だと思っていたのだ。


「ああ、回収しようとしていたのは危険な魔剣を世に出回らせないようにと考えていたんだ。だが、ジェドはこの魔剣を支配下に置いていた以上、所持してもらっても何の問題もないんだ」


 アレンの言葉にシアは納得したようだ。


「というわけで、ジェドにはその魔剣を使用して欲しい」


 続けて発せられたアレンの言葉にジェドは頷く。


「ああ、せっかくの魔剣だしな。使わせてもらうよ」


 ジェドも使用するつもりらしい。すでに魔剣ヴァルバドスはジェドの支配下にあった以上、使用に関しては問題なく使いこなせるはずだ。またアレンはジェドを人間的にも能力的にも信用していたために魔剣を渡すことに何の躊躇いもなかった。


「ジェド達はこれから急ぎの依頼が入ってるか?」


 アレンの言葉にジェドとシアは首を横に振る。


「いや、今のところは何も入っていない。というよりも、ここのところ難易度の高い仕事ばっかりだったからさ、しばらくはロムさんとキャサリンさんの指導を受けたいと思ってるんだ」


 ジェドの言葉にシアも頷く。


「そうか、それならしばらく王都にいるというわけだな」

「ああ」

「ジェド、シア、また何かしら依頼をする事になると思うからその時は頼む」


 アレンはジェドとシアに頭を下げる。その事にジェドとシアは笑いながら答える。


「ああ、俺達で出来る事があれば遠慮無く言ってくれ。アレンの持ってくる仕事は面白いのが多いからな」

「うん、アレンの持ってくる仕事はやりがいがあるからね」


 ジェドとシアの返答を受けてアレンも微笑む。


「それじゃあ、エルゲナー森林地帯でジェド達がどんな体験をしたかを教えてくれ。

「あ、私も聞きたい」

「私も」

「魔剣を持っていたのはどんな相手だったんですか?」

「エルゲナーで何か面白い物見つけた?」


 アレンの言葉を皮切りにフィアーネ達もジェド達に体験談をせがむ。


 その後、ジェド達の体験談をたっぷりと聞かせてもらい夜遅くまで楽しい時間を過ごすことになったのであった。


 そして、ジェドとシアが今回の依頼を達成したことで『オリハルコン』クラスに昇格することが決定されるのはこの10日後の事であった。

 ちなみにどんな体験をしたのは、まだ更新しておりませんのでご了承ください。

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