挨拶⑩
アレンの振り分けた相手と戦闘を開始する。アレンは骸骨悪魔、フィアーネ、ジュセルはトロル、レミア、フィリシアは命を刈る者、カタリナは魔術による支援となっている。
アレンは骸骨悪魔に向かって走り出す。その際に闇姫達4体をフェーベンに突入させ、自分は2体の闇姫を率いて骸骨悪魔に突入する。
骸骨悪魔は、すでに瘴気で肉体を形成しており、すでに骸骨という表現はそぐわないのだが、いまさら呼び方を変えるのも面倒なので、アレンはそのまま接することにする。
アレンは2体の闇姫をまず突入させる。
2体の闇姫は、二手に分かれると骸骨悪魔に襲いかかる。骸骨悪魔は右腕に魔力を集中させると掌を闇姫に向けると魔力の塊を放つ。
闇姫はその攻撃を瘴気で盾を形成する事で防ぐ。
だが…。
闇姫の構成した瘴気の盾は、骸骨悪魔の放った魔力の塊を防ぐことは出来なかった。闇姫の瘴気の盾を突き破った魔力の塊は、そのまま闇姫の上半身を吹き飛ばした。その際に核も消滅したのだろう。闇姫は塵となって消滅する。
(…ほう、一撃で闇姫を消しとばすとはな…)
アレンの口元に嗤いが生まれる。久々に強力な相手が現れたという思いだったのだ。骸骨悪魔の実力を目の当たりにしたアレンであったが、そこに一切の恐れはない。
残るもう一体の闇姫が骸骨悪魔へと殴りかかる。凄まじい速度の拳打であったが、骸骨悪魔は闇姫の腕を払うと掌打を闇姫の腹に叩き込む。
闇姫はその掌打を体をよじって躱すが、完全に躱すことは出来なかった。闇姫の脇腹は大きく抉れ、まるで血肉のように闇姫から瘴気が飛び散った。
腹部を抉られた闇姫はすぐに骸骨悪魔の腕をとると内部から膨張を始める。
ドゴォォォォォォオォオォォォォ!!!
凄まじい爆発が骸骨悪魔を包み込む。アレンは闇姫骸骨悪魔の腕を取った瞬間に防御陣を形成し、爆発の中にそのまま突っ込む。
無茶な行動に思えるがアレンにとっては十分な賞賛に基づいての行動である。
自身の斬撃の間合いに入った事を察したアレンは上段から斬撃を見舞う。
ドガァァァァ!!!
アレンの上段からの斬撃を骸骨悪魔は両手を交叉させて受け止めていた。
闇姫の爆発に巻き込まれた骸骨悪魔の左半身は瘴気が舞い散っており、骨の部分がむき出しとなっている。そこにアレンの容赦ない斬撃が振るわれたのだ。両腕の交叉には瘴気がない、むき出しとなった骨でアレンの斬撃を受けておりあっさりとアレンの剣は左腕を断ち、右腕の半分程にまで食い込んでいた。
(よし…初手は成功だな…)
アレンは心の中で初手で骸骨悪魔の左腕を断ったことに満足した。
アレンはすぐさま、剣を引くと突きを放つ。放った場所は喉の位置である。アレンの必殺の突きであったが骸骨悪魔はかろうじて躱すことに成功する。突きは躱されたが、アレンの攻撃はこれで終わりではない。アレンは間髪入れずに剣を横に薙いだ。
骸骨悪魔は横薙ぎの一閃を屈んで躱す。致命的な一撃を避けることにはなんとか成功したが、完全に流れを失った事は間違いなかった。骸骨悪魔が屈んだ場所にアレンは膝蹴りを放つ。
骸骨悪魔はまともに顔面に膝を受けたために2メートルほどの距離を吹っ飛ぶと地面を転がる。
そこにカタリナの土人形が地中から骸骨悪魔の手と両足を掴み起き上がれないようにする。
この土人形は、カタリナが地中に放っていたものであり、チャンスを待っていたのだ。そしてアレンが骸骨悪魔を吹っ飛ばした事でこの戦いに幕を引く事にしたのだ。
(カタリナ…良くやってくれた)
アレンは動けなくなり足掻く骸骨悪魔に向け走り出す。拘束時間はそれほど長いとは思えない。せいぜい10秒といったところだろう。だが、アレンを相手に10秒というのは戦いの決着をつけるに十分すぎる時間である。
アレンは駆け出す時もフェーベン、命を刈る者、トロルから注意を逸らすことはしない。
(終わりだ…)
アレンは骸骨悪魔の心臓の位置にある核に剣を突き立てると、骸骨悪魔の体を構成していた瘴気が塵となり消え去り、骨もガラガラと崩れ去る。
アレンと骸骨悪魔の戦いはアレンの完勝で終わったのだ。
アレンは自分の戦いが終わるのを確認すると、他の戦いを見る。すると自分の頼もしい仲間達がそれぞれ有利に事を進めているのが目に入ったのであった。




