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採集③

 今回はキャラの説明が主になってます。

 カタリナ一行がエルゲナー森林地帯に出発する日が来た。


 準備期間の5日間でアインベルク邸に訪れた冒険者チームは2つだった。サリーナとクレアが頑張ってくれたのだろう。『プラチナ』と『ゴールド』の冒険者チームを問題なく雇う事が出来たのだった。


『プラチナ』クラスの冒険者チームは『紅い風』というらしい。


 リーダーはフィグル=レパントと名乗る戦士で茶色の髪を短めに刈り込み、かなりの巨漢でありパワーファイターである事を思わせる。年齢は25歳との事だ。精悍そうな顔立ちに、颯爽とした雰囲気を持っているというかなりの美丈夫だった。


 副リーダーはマルト=リンケムという魔術師でくすんだ金髪と碧い瞳のかなりの腕前の魔術師とのことだ。年齢はフィグル同様に25歳とのことだった。


 レンジャーのリック=ゲイナー。年齢は22歳、黒髪、黒眼で黒豹のような印象を受ける。レンジャーは斥候、遊撃が主な仕事だが、長剣を背負っており前線で体を張ることもあるらしい。


 最後は神官戦士と治癒術師を兼ねるキース=ベイルだ。くすんだ銀髪に茶色の瞳をもつ中肉中背の男性である。年齢は32歳とのことだったが童顔のために20代前半に見える。


 アレン達もアインベルク邸に来たときに話をしたのだが、悪い印象は見えなかった。この人達ならカタリナ、シア、ジェドそしてジュスティスともきちんとした態度をとることだろう。


『ゴールド』クラスの冒険者チームは『黒剣』といった。


 リーダーはアルガント=コームで年齢は18歳という若さだった。黒髪黒眼の美少年であり身長も180㎝以上ありかなりの長身だ。長剣を背負い、魔力を増幅させるタイプの腕輪をしているところを見ると魔法剣士なのだろう。

 どうも同年代のジェドライバル心をもっているらしくジェドを見る目に少しばかり剣呑なものが含まれているのが気にかかる。


 イライザ=ロンスは18歳。剣士であり、黒髪をきちんとまとめて後ろで結んでいる。身長は女性としては少し高めであるが、顔立ちも整っており容姿についてかなり恵まれたものを持っている。


 ベシー=マルトーザは18歳、腰に長剣と短刀の中間の長さの剣を腰に差し、小型の弓と矢筒を持っている。俊敏そうな印象は彼女がレンジャーであると名乗ることで決して誤り出なかったことがわかる。茶色の髪に茶色の目の女の子で『美しい』という修飾語よりも『カワイイ』という表現がぴったりの少女だ。


 最後はリベカ=コージンは18歳、治癒術師と魔術師を兼ねてるらしい。中性的な用紙の美人であり黒いローブに身を包んでいるが、彼女のスタイルの良さはそのローブだけでは隠すことは出来ないようだった。


 聞いた話によると黒剣のメンバーはみな同郷で幼馴染みという関係らしい。冒険者になって数年で『ゴールド』に昇格したギルド期待の星との事だった。


 この8人にカタリナ、ジュスティス、シア、ジェド、駒の5人の計17人がエルゲナー森林地帯に挑むことになったのだ。


 ちなみに『駒』の男達はカタリナの供としてエルゲナー森林地帯に行くことを当初は喜んでいたのだが、エルゲナー森林地帯がどのような場所であるかを知ると顔を青くしていた。

 かなりの数がいた『駒』の男達も国営墓地の見回りに派遣されたりするうちに少しずつ数を減らし今では9人になっている。だが彼らが今まで不幸をばらまいてきた事を考えれば同情の余地はまったくない。事実、アレンも駒達に対してどこまでも冷淡であった。


「さて、それじゃあ出発しましょうか」


 カタリナの言葉に全員が頷く。転移魔術でエルゲナー森林地帯に行くことをすでに告げてあったのでその事に驚きはない。


 だが、一度に10人を運ぶというカタリナには全員が驚いた。かなりの実力者であっても一度に転移させる事ができる人数は5~6人なのだ。加えて施設を使っても送れる人数は12人が限界だ。それをこのカタリナという少女は一度に10人運べるというのだからカタリナの実力、魔力量が桁外れだという事がわかる。


 残りの7人はジュスティスの転移魔術によって運ぶことになっていた。荷物を運ぶ5人の駒達とシア、ジェドを運ぶことになっていた。


「ああ、それからまずはアレン達の部下である魔物達の集落に行きますのでそのつもりでいてください。当たり前ですが魔物達に敵対行為をとらないようにしてください。人間の奴隷ではなくあくまでアインベルク家の部下なので、そこの所ははっきりさせておきますね」


 カタリナは『紅い風』と『黒剣』のメンバーに視線を移して言った。ジュスティス、シア、ジェドはその事を理解しているので気にしなかったが、二つの冒険者チームはそうでない可能性があったために注意を促すことにしたのだ。


 『紅い風』と『黒剣』のメンバー達は視線を交わすがそれぞれ頷く。色々何か言いたいことがあるのだろうが沈黙を選んだようだった。


(さて…『紅い風』も『黒剣』も強いとは聞いてるからな…普通に考えれば頼もしいんだが…)


 ジェドは『黒剣』のリーダーの自分を見る目に剣呑なものを感じており、自分がライバル視されていることに気付いていた。この数ヶ月でジェドとシアをとりまく環境は急激に変わった。


 王都に来たときには『ブロンズ』でしかなかったのに現在は『ミスリル』だ。『黒剣』とはつい1ヶ月前までは同じ『ゴールド』だったのにいきなり二つもランクが上がったのだから面白くないのは当然だろう。


(アレン達はやっと実力にランクが追いついたなとか言ってたけど、端から見ればアレン達に贔屓されているからとしか思われないよな…)


 実際の所、ジェドとシアの実力は『ミスリル』に相応しいものなのだが、二人の実力を知らない者から見ればアインベルク家にへつらってランクを上げていると陰口を叩かれていることをシアもジェドも当然知っていた。


 といってもシアもジェドも後ろ暗いことは何もしていないのであえて誤解を解こうともしなかったのだ。


「シア、ジェド、頼むな」


 アレン達もシアとジェドに声をかける。


「ああ、まかせてくれ」

「まかせて」


 シアとジェドがすぐに返答する。二人ともアレンの言う『頼む』にカタリナの仕事を手伝う事と冒険者の強さの基準作成である事を前もって教わっていたのだ。


「お兄様、カタリナやシア、ジェドにあんまり恥をさらさないでくださいね」


 フィアーネはジュスティスに苦言を呈していた。苦言の内容があんまりなためにジュスティスはさすがに拗ねていた。


「残念令嬢のお前に恥云々を諭されるとは…ねぇアレン君、俺はそんなに奇行があるかな?」


 ジュスティスの言葉にアレンは露骨に目を逸らす。それがすべてであった。


「はぁ…未来の義弟おとうとに…そんな気を使われるなんて…」

「もう!!お兄様、落ち込んでいる暇なんかないわ。残念公子の汚名をそろそろ返上してください」

「残念公子って言うな。グサッっとくるだろ」


 フィアーネとジュスティスの不毛な争いが勃発しそうだったので、アレンは無理矢理しめることにする。


「そ、それじゃあ、カタリナ。気を付けて『エキュシア』を手に入れてくれ」

「そ、そうね。良い報告が出来るようにがんばるわ」


 アレンの本当に言いたいことを察したのだろう。カタリナはすぐにでも出発する事にしたのであった。



 カタリナはいつものように箒で地面をつくと魔法陣を展開させ、転移魔術を発動させるとエルゲナー森林地帯に転移し、少し遅れてジュスティスも魔法陣を発動させ転移していった。


 あとに残ったアレン達は少し心配そうにさっきまでカタリナ達がいた空間を見つめていた。



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