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戦姫Ⅱ⑧

 今回で『戦姫Ⅱ』編は終了です。


 後日譚みたいな形になってしまいました。

 アスドラー子爵家が襲撃され、アスドラー子爵家の当主であるイスベリム=アスドラーが惨殺されたという話は王都を震撼させた。


 しかし、その後、アスドラー子爵が殺された原因が、仲間割れということが知れ渡ると途端にアスドラー家への批判は王都の中で日毎に高まっていった。


 また、ギリアドが闇ギルドのギルドマスターである事が知られると、しばらくの間、ギリアドの店に勤めていた従業員達も白い目で見られ、実際に取り調べを受けたが無実が確認されると釈放されたことにより、自然と従業員達への風当たりも治まっていった。


 アスドラー家への批判の高まりを受け、本来であれば被害者であるはずのアスドラー家にも捜査の手が入り、いくつかの人身売買、殺人などの証拠が明るみに出ると、アスドラー家は取りつぶしとなり、その財産は国に没収された。


 そして、ギリアド達も死刑が確定し、判決が言い渡され、10日後に刑が執行された。


 ギリアド達は呆然と刑場に運ばれ、そこで刑が執行された。ただ、表面上は呆然としていたが、心の中では『死にたくない』『助けて』と叫んでいたのだが、それは表に現れることはなかったために誰も彼らの心の内に気付くことは出来なかった。

 ギリアド達の死体は国営墓地に運ばれ、そこで弔いも行われずに、穴の中にまとめて葬られることになった。


 ちなみに、惨殺されたイスベリム=アスドラーもギリアド達も国営墓地に葬られることになった。


 将来的にはアンデッドと化し、アレン達によって討伐されることになるのだろう。死んだ後も再びアインベルク関係者にやられるというのは皮肉だが、恨むべくは今までの自分達の行いであった。


 


-------------------


 ギリアド達の刑が執行された次の日に、アインベルク邸にシアとジェドが遊びに来ていた。


「今回は本当に助かったわ。みんなありがとう」


 シアがアレン達にお礼を言う。取り調べの結果、アスドラー家、ギリアド達の闇ギルドの悪事が公開されると、両者がどのような悪事に荷担していたという内容を知れば知るほどシアはもし捕まっていた場合にどのような目に遭うか想像するだけでおぞましかった。


 だが、今回の件で、アスドラー家は取りつぶし、財産没収、一族郎党は他国へ追放となった。またギリアド達、闇ギルドの関係者の資料も押収されたとのことで、多くの貴族が処罰の対象となったのだ。


 ローエンシア王国はかなり治安が良く安定した国であるが、それでも裏稼業を完全に撲滅することは不可能に近い。ギリアドの闇ギルドも数多くある犯罪者組織の一つにすぎない。だが、それでもこの件で、シア達へ危害を加えようとする存在は壊滅したと言って良いだろう。


「気にしないで良いぞ。シアとジェドは俺達の大切な友人だし、何より、あいつらはレミアに危害を加えようとしていたんだから、完全に俺達は当事者だ」


 シアの言葉を受けて、アレンが答える。


 実際に、レミアを手に入れるためにシア、ジェドが巻き込まれたという観点から考えれば、礼を言われる筋合いはなかったのだ。


「でも、アレンどうして、あのギリアド達をあそこで使ったの?魔族での駒に使っても良かったんじゃないの?」


 レミアが不思議そうにアレンに問う。用心深いアレンが、ギリアド達全員をアスドラー家に送りこんだのが、不思議だったのだ。用心深いアレンなら、魔族の襲来に備えて、駒を多く確保するのが今までの流れなのだが、今回は全部使い、死刑にするという形で、使い潰したのだ。 


「ああ、別に他意はないよ。単純に新しい駒がエジンベートから入ったから、これ以上はいらなかっただけだ。数だけ増えても維持費がかかるからな」


 アレンの理由としては大したものではなかった。それを聞いてレミアは苦笑する。アレンは意外と感覚で動くことがあるのだ。維持費などがかかるというのは実際の理由としてあったのだろうが、役に立たないと思ったのかもしれない。


「それにしてもレミアを狙う者が多いな」


 ジェドがポツリと言う。レミアを狙う者は高位の冒険者グループ、貴族だ。幸い、レミア自身の能力とアレン達の協力により大事に至ってはいないが、それはレミア達だからである。もし、レミア達以外の者であれば、とっくに悲劇に見舞われていることだろう。


「バカはどこにでもいるからな。面倒だが、それに見合った対処をするさ」


 アレンはジェドの言葉にあっさりと返す。口調は静かだが、ジェドはその静かさの中にあるアレンの苛烈な意思を感じざるをえなかった。


「そうそう、そういえばこの間、レミアにのされたという『プラチナ』のチームが、ギルドマスターに訴えてたぞ」


 ジェドはその冒険者達の顔を思い浮かべながら言った。


「ああ、そういえば偉そうに絡んできた冒険者チームがいたわね」


 レミアは記憶をたぐり、チームの顔を思い出そうとしていた。だが、のした事自体は覚えていたのだが、顔がどうしても浮かんでこなかった。


「冒険者ギルドはそれにどう対応する気かわかる?」


 アレンがジェドに聞いてみる。


「ああ、ギルドとしては冒険者同士のいざこざに本来であれば介入すべきなんだが、今回の件は、介入しない方針らしい」


 ジェドは不思議そうにアレンの質問に答える。


「そこで思ったんだが、アレンお前ギルドマスターになんて言ったの?」

「いや、大した事を言ったわけじゃないよ。ただ単に『何人ぐらい冒険者がケガをすればギルドは困りますか? 』と聞いただけだよ」


 アレンはそういった時のギルドマスターの青くなった顔を思い出す。


「アレン…それって…」


 ジェドは、ちょっと引いた顔をして、言葉を紡ぐ。


「いや、俺はただ単に。冒険者ギルドが心配だったから言っただけなんだけどな~。なぜかギルドマスターが顔を青くしたのはなぜだろうな?」


 アレンの言葉に嘘はない。表面上、アレンは実際にギルドを気遣った発言をしたにすぎない。

 だが、言われたギルドマスターは絶対に額面通り受け取らなかったはずだ。アレンの言葉を『冒険者ギルドはアインベルクに喧嘩売るの? なら潰すよ? 』と受け取ったのだった。


「いや、絶対、額面通り受け取ってないからなそれ」


 ジェドはアレンに苦笑して言う。


「まぁ、どんな高位の冒険者だろうが、俺の婚約者に危害を加えようとすれば、完璧に叩きつぶすつもりだ」

「その時は俺も手を貸すさ。といってもアレン達に俺達の助けなんて必要ないとは思うがな」

「そんな事ないさ。二人の力は十分すぎるほど助けになるさ。その時はよろしく頼む」


 アレンとジェドの会話をレミア達はにこやかに見ている。


 アレンはレミアがこの間の魔将討伐に参加して得たもので、最も良かったのはシアとジェドと知り合えたことだと思う。


 この二人の若い冒険者は、友人として頼もしい存在だった。この二人と知り合うきっかけを作ってくれたレミアに心の中で改めて感謝したのであった。


 なんか、またもグダグダになりましたね。上手くまとめる事が出来るようになりたいものです。

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