数字①
アレンが、国王、宰相、軍務卿に指導(搾られたともいう)を受けた後に、軍務卿ヘムルート=ヴァン=レオルディア侯爵は、軍務卿の執務室に戻り、仕事をしていると甥のパオロ=ヨアヒム=グレーブナ-が入室してきた。
パオロは士官学校を優秀な成績で卒業した将来有望な若手士官である。だが、レオルディア侯爵から見て、パオロは少々、身分に拘る傾向があった。だが、彼の年齢は未だ24歳であるから、レオルディア侯爵は自らの責任においてそれを戒めようとしているところであった。
そんな叔父と甥が軍務卿の執務室で、会話を始める。
会話が進むうちに、パオロが謁見の控え室でのアレンとのやりとりを聞いていた時に、レオルディア侯爵の顔色が変わり始めた事にパオロは気付いた。パオロは、自分の報告によって叔父の怒りがアレンに向かっていると思い、得意気に話を続けた。しかし、レオルディア侯爵の言葉は、彼にとって意外すぎた。
「何ということをしでかしたのだ!!!!この馬鹿者が!!!!!」
レオルディア侯爵の怒号は執務室の空気を揺らした。あまりの剣幕にパオロはへたり込みそうになった。それでも、なんとか踏みとどまり、叔父に疑問を呈した。
「叔父上・・・、一体何をそこまでお怒りになられているのです?」
パオロの顔色は青色に急激に変化していた。
「何をだと!!!貴様はアインベルク卿を侮辱したのだぞ!!しかも、いわれのない因縁をふっかけたのだ!!」
「お待ちください、先に私を侮辱したのはあの墓守でございます」
パオロの顔色は青を通り越し、白に近くなっている。対照的にレオルディア侯爵顔色は怒りのために真っ赤になっている。怒髪天を衝くという表現そのものである。
「ほお、ならば聞くぞ、パオロよ。貴様の話では先にアインベルク卿に絡んだのは貴様であろうが!!!しかも、アインベルク卿の父君を侮辱した貴様に落ち度がないとでも言うのか!!!」
「申し訳ありません」
あまりの叔父の怒りにパオロは震えながら謝罪を口にする。
甥のあまりの怯えっぷりに少し冷静さを取り戻したレオルディア侯爵は、重々しくパオロに聞いた。
「パオロよ、アインベルク卿は数を告げなかったか?」
「は?」
パオロはレオルディア侯爵の質問の意味が分からなかった。確かに数字を言ったのは事実であるが、まだその事をレオルディアに伝えていない。
「アインベルク卿は何回と貴様に告げたのだ!!」
またも怒りを発しかけたこともあり、慌ててパオロは答える。
「52回と言いました。」
「52回・・・」
天を仰ぐようにレオルディア侯爵がうめく。
「あの叔父上、あの墓守が言った数字には何の意味があるのですか?」
たまらず、パオロが叔父に尋ねた。
「アインベルク卿のあの数は、カウントダウンだ。」




