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勇者⑨

ちょっと短いです。

「待ってくれ!!俺達はお前達を懲らしめると言ったのだ。殺すつもりなど一切なかったんだ!!」


 カルスがアレンに「今更何を?」という言葉を発する。殺人未遂犯として官憲に引き渡されるかもしれないのだ。


 必死になって弁解する。


 だが、その弁解はアレンとレミアの心をまったく動かすことなかった。


「何言ってるんだ?お前達は俺達を殺そうと思ってわざわざローエンシアまでやってきたんだろ?」

「違う!!殺すつもりなんてない!!」

「へぇ~わざわざ国境を越えて俺達を懲らしめる・・・?」

「そうだ!!」

「じゃあ、懲らしめるとは具体的にどうするんだ?まさか暴力を一切使わないなんて絵空事いうなよ?」

「それは・・・」

「まさか口だけで済むなんて思ってないよな。突然、見ず知らずの大人がやってきて、『死をもてあそぶ家』などとほざくような頭の悪い奴の言うことを素直に聞く奴がどこにいるんだ?」

「・・・」

「当然、お前らは『口で言っても分からん奴には思い知らせてやる』と暴力を振るうだろう。そんなお前らが殺すつもりは無かったなどと言って信用してもらえると思っているのか?」

「・・・」

「分かったか?お前らはただ気に入らないという理由だけで人に暴力を振るう底の浅い乱暴者だということが」


 アレンの言葉にカルスは反論できない。頼まれもしないのにやってきて暴力を振るおうなどと考えておきながら、犯罪者ではないと主張する四人に対して冷たい目を向ける。


 その冷たい目を向けられてもなお、ジェスベルはアレンにくってかかる。まぁ、アレンを納得させることが出来なければ犯罪者として官憲に引き渡されることになるのだからこの程度で恐れ入ることはない。


「俺は・・・俺達は勇者として人を守る使命がある。お前の悪名を見逃すことは出来なかったのだ」


 ジェスベルの言葉は、この期に及んでまだ自分を正義と思っているようだった。


「ほう?勇者として人を守る・・・ねぇ」


 思いっきり嫌味たらしくアレンはジェスベルに言う。


「そうだ!!だから「バカが!!」」


 ジェスベルの言葉はアレンの「バカが!!」の言葉によって遮られてしまう。


「じゃあ、聞くが俺が人を虐げていると誰かから訴えでもあったのか?」

「・・・」

「さっきから言ってるだろう?俺がいつ、誰に、何をしたかを話せと」

「・・・」

「お前らは勝手な思い込みで俺達を殺そうとしてローエンシアにやってきた犯罪者なんだよ。いい加減にもう詰んでいることを理解しろよ」


 アレンはさらに四人に言葉の爆弾を投げ込んだ。


「それから、お前ら分かってるか?」

「何をだ?」

「これはローエンシア王国とドルゴート王国の外交問題にまで発展するぞ」


 アレンの言葉に四人は言葉を発することが出来ない。その反応を見て、アレンは四人に言い放った。


「お前らは自称勇者じゃないんだろ?」

「と・・・当然だ。俺は国王陛下自ら勇者の称号を・・・あっ!!」

「やっと気付いたか・・・。お前はドルゴート王国『公認』の勇者なんだよ。一般人ではないし、冒険者でもない。そんな国公認の勇者が他国で犯罪者として逮捕される。お前個人で済むわけ無いよな?」

「・・・」

「当然、ローエンシア王国から正式な抗議がいくだろうな。その時にドルゴート王国がお前らをどのように処置するかな?」

「・・・」

「切り捨てるかな?救うかな?どちらにせよお前らは随分と国で肩身の狭い思いをすることになるんじゃないか?」

「・・・」

「ああ、ついでに言っておくが、俺は国にうっかり大げさに報告するからな」

「な・・・」

「ついでにドルゴート王国に行く商人達の間になぜかタイミング良く勇者の噂が流れるんじゃないかな?」

「き・・・汚いぞ」

「まぁ、噂を止めようとしても、お前らは取り調べの真っ最中だからそれはかなわないだろうな」

「な・・・」

「さて、どんな話が広まるかな?」


 アレンの言葉に四人はさらに顔を青くする。もはや死人のような顔色をしていたが、さらに顔色が悪くなる。死人の方がまだ顔色が良いのでは無いだろうか?


「やめてくれ!!」

「ごめんなさい!!許してください!!」

「お願いだ!!やめてくれ!!」

「我々が悪かった!!」


 四人は必死に謝る。


「怖がる必要はないよ。俺はただ噂の話をしただけだ」


 アレンの言葉はそっけない。


「アレン、もういいんじゃない?」


 レミアの言葉に四人はわずかながら気色が戻る。ひょっとしたら脅しだったのだろうか。それなら、自分達は助かるという思いが芽生える。

 そのわずかな希望は続くレミアの言葉で失われた。


「これ以上話しても時間の無駄よ。騎士団に引渡ましょう」

「そうだな、もうこいつらの相手も飽きたし、引き渡すか」

「ま・・・待って」


 アレンは言い終わると四人との間を一瞬で詰める。カルスとロフの鳩尾に当て身を入れる。当て身を入れられた二人は意識を手放した。


 戦闘力が皆無であったため、何も抵抗はできない。だが、ジェスベルもドロシーもアレンの行動に戦慄する。現在の状況でアレンにあらがうことは不可能であることは明らかだからだ。


 アレンは続いて、ジェスベルの顎に一撃を加え意識を手放せさせる。


 最後のドロシーもアレンの手刀を首筋に受け意識を手放した。



 こうしてドルゴート王国の勇者一行はアレンに瞬く間に制圧された。





やっぱりグダグダになってしまいました

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