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一
今日。
84歳となった私は、無事(色々あったけど)に天寿を全うすることができたようで、家族に見守られながら、老衰で死んだ。
二人の孫が、私の両手を握りしめて泣いている。
娘夫婦も息子夫婦も、年甲斐もなく泣いている。
明日からまた……明後日かしら。
仕事があるのだから、そんなに泣いて大丈夫?
………幸せ者ね、私は。
餅を詰まらせて先に旅立ったあの人に自慢しようかしら。
絶対、悔しがるわね。
ふわりとからだが浮き上がる。
さぁて、そろそろ行きましょうか。
あの世へ………