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アンゲルス  作者: Leone
第一章 ヒーローの帰還
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第三話 日常その三

 何か文句を言われるだろう、と思いながらも部屋に戻ってみるランツァ。しかし、現実は……。

「おい、何で寝てんだよ」

 ウィリアムは、課題をしている途中で寝てしまっていたのだ。

 このままでは後々ひどいことになるだろうと考え、親友を起こそうとする。

「起きろ~」

「グオオォォォ……」

 いびきだけ。

「すげえいびきだな……」

 爆睡状態の親友は、どうやら強敵になりそうだ。

 だが、ランツァは諦めない。

 理由は一つ。

 親友を再び痛い目になど遭わせたくないからだ。その痛い目の内容は知らないのだが……。

 再び、爆睡ウィリアム君を起こそうと努めるランツァ。

「起きろ~。早くしねえと、間に合わなくなるぞ」

 だが、起きない。

「グオオォォォ……」

 遂に、究極の技を使うことに決めたランツァ。

 その究極の技というのは、

「起きろ!!」

 耳元でそう叫ぶ、ということ。

 案の定、飛び上がるように起きるウィリアム。

「う……ん……?」

 だが、それでも意識がはっきりしていないようだった。

 そして、

「……何者!?」

 背後に立つ何者かの存在にようやく気が付く。

 それと同時に、ウィリアムは右腕を後ろに振り回す。誰かを全く確認せずに。反射的に振り回したのだ。

 言うまでもないが、背後に立つのはウィリアムの親友、ランツァだ。

 ランツァは急な彼の行動に驚かされながらも、必死で回避する。

「うおぅ……」

 思わず、そんな声が出ていた。

 そして、腕を振り回したとき、やっと気付いたのだ。自分の誤りに。

 だが、彼は謝罪の言葉を述べない。

「何で、いるんだ? ここに。散歩に行ったんだろ?」

「まあ、いろいろとあってな……」

 財布忘れ。

 わざわざそんなくだらないことを話す必要はない。

「それよりも、まずは謝ることじゃないのかな? ウィリアム君よ」

「……早く課題しないと」

 誤魔化す為か、机に向き直る。

 しかし、そんなことをして黙っている人はそんなにいないだろう。

「てめえ。殴ろうとしてきたくせに、さらにそんなことをするのか……」

「すまん……。何ていうか、お前じゃないだろうと思って。つまりだな、こんな時期に寮に入ってくる奴は少ないから、何か危険な予感がしてな……」

「はあ……」

 ランツァはため息しか出なかった。

 そして、ウィリアムは決意をする。

 恐ろしい、そして馬鹿げた決意を。

 それは――

「よし。もういいや。焦っても仕方ない。どうせなら、残り少ない夏休みを楽しもう」

 馬鹿げている、そうランツァは思った。

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