第二十三話 圧倒的な力の差
ランツァはこの闘いに巻き込まれないよう、近くの建物を盾にした。頼りない盾ではあるが、多少の爆風なら防げそうだった。
「ったく。両方とも、化け物じゃねえか」
そんなことを呟いたところで何も変わりはしないのをわかってはいても、そう呟かずにはいられなかった。
少々、困惑気味な彼に対して、キリエとガルメラにはそんな様子は微塵もなかった。
「さぁて、どう料理してやろうか」
「随分と口の悪い奴ね。それと、料理をする側とされる側をちゃんと理解できているの?」
「何だ? 俺が料理される側だとでも言うのか?」
キリエは苦笑せずにはいられなかった。
「自覚できているなら、聞く必要はないでしょう?」
案の定、ガルメラは彼女の挑発に乗り、力を爆発させた。
半径十メートル以内の大地に亀裂が走る。その後、ガルメラは爪を地中に突き刺した。
「へえ……」
ガルメラが爪を突き刺した場所から、次々と大地が針の山のように変貌を遂げる。
キリエに向かって。
それをキリエは高くジャンプし、避けた。
しかし、その時にはもうガルメラは次の攻撃に移っていた。
ガルメラはキリエより高く跳び上がり、下方にいるキリエ目掛けて、腕を振るった。すると、衝撃波が彼女を襲った。
だが、さらに下方にある大地だけが砕け散っていた。
つまり、キリエは無傷だったのだ。
「ちっ……」
ガルメラは思い通りにならない事実に舌打ちをした。
しかし、キリエは相変わらず苦笑していた。
「まったく……。あなたは相手の能力を見切れないの?」
「……そんなもんは必要ねえ」
「それだと、全く勝つ見込みがなくなると思うけどね……。まあいいけど。あなたの自由だし。だけど、私はあなたの能力を既に見切ってしまったんだけど……」
「――!!」
ガルメラは、それが嘘だとは、全く疑わなかった。
その口調からは、真実だと醸し出されていたからか。
「あなたの能力は単純よ。伸縮する事と衝撃波を放つ爪。それだけ。まだ隠しているなどとは言わせないわよ。まあ、そこまでわかるのは、長年の経験があるからだけど。要は、私だけがわかっていれば、あなたに勝ち目はないって事ね」
「…………」
何も言えない。
異論など唱えられない。
勝利など、考えられない。
「う……おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
それは恐怖から発せられる雄叫びだった。
ガルメラにはもう、キリエは倒せない。
万に一つも。
「さぁて、どう料理してやろうか?」




