第百九十五話 予測
人間世界へと無事帰還を遂げたランツァ一行。
こちらの世界では既に夜になっていた。一体どれ程の時間、アザルドにいたのだろうとランツァは疑問に思うが、今はあまり考えないように努める。
彼らはなるべく人目を避けるようにして、町の中でも暗い裏道へと歩を進めていった。
「これからどうする?」
と、ウィリアムがこれからすることを決めようと促す。
「とりあえずは、アンゲルスと合流しないと」
おそらくそれが最優先だと、ランツァは述べた。
だが――
「その必要はないですよ」
彼の意見を否定する者が、たった一人だけいた。
しかし、ランツァ、ウィリアム、ガルメラ、ジェネスの誰の否定でもなかった。
彼ら以外の人物の声。
その声の主を、ランツァ達は知っている。
「エレシス! どうしてここに?」
そう。ランツァが嬉しそうにして言ったように、声の主はエレシスだったのだ。
「キリエ先輩が、そろそろ帰ってくると思うと言いまして。それで、皆であなた方を探していたんです」
「なるほど……」
なぜキリエは、ランツァ達が帰ってくるタイミングを予測できたのか。
この場にいる誰もが不思議に思ったが、ただの偶然だろうと思い込む。
「あの……少々訊きづらいのですが、何か情報などは得られましたか?」
本来の目的を達成できたのかと、エレシスは気まずそうに尋ねた。
その質問に対して、ランツァは胸を張ってこう答える。
「もちろん!」
果たして、彼らはアンゲルスの天使達に認めてもらえるのだろうか。