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アンゲルス  作者: Leone
第四章 遠征
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第百九十三話 加速の王VS死者の王

「死者の王ともあろうお方が、敵の命を救おうとするなんてな……」

 ロイドはムレイの行動を不審に思い、左腕を掴んでいる黒い手を振り払うようにしながら距離を取る。

 一旦、ランツァを放置することになるが、何もできないだろうと判断して。

 ロイドが距離を取ると同時に、視界にムレイの姿が入る。

 その姿は、黒い煙のようなものに覆われた漆黒の人骨そのものだった。大半は煙に覆われ、見える骨は僅かなのだが。

 宙に浮いている大人サイズのそれを見れば、誰もがこう問いたくなるだろう。

 生きているのか、と――。

「俺の意志ではない。ソール様のご命令だ」

 ムレイは自分達悪魔の主から命じられたことを告げるが、そんなことロイドにはどうでもよかった。

 誰から命じられていようが、敵を助けようとするなど言語道断。

 決して犯してはならない罪同然なのだ。

 それに、ロイドは何よりも自らの行動を邪魔されたことが腹立たしかった。

「ハッ! あの野郎の命令に、この俺様が素直に従うとでも?」

 故に、

「これ以上邪魔をするなら、ソール含めテメェも殺すぞ」

 ドスの利いた声で、ロイドは殺意を剥き出しにした。

 一方、ムレイは冷静に対応する。

「あまりお前とは争いたくないんだが……。ソール様の命に背くというのであれば、容赦しない」

「ほう……。ならどうする? この俺様を殺すか?」

 静寂が、流れる――。

 ロイド、ムレイ共に全く動かない。

 暫くして、漸くムレイが重い口を開いた。

「お前が能力を展開している以上、俺に勝ち目はない」

「意外と利口じゃねえか」

 ニヤリ、と不気味に笑うロイド。

 だが、とムレイは続ける。

「止めないわけではない」

 その直後だった。

 ムレイがロイドに向かって突っ込みながら、漆黒の拳を後方に下げる。

 放たれる拳をロイドは冷静に確認し、余裕をもって回避するのだが。

「――――!?」

 超高速移動により、ムレイにはロイドが消えるように見えていた。

 さらに、その移動でロイドはムレイの背後へと回り込んでいたのだ。

「ほれほれどうした? 俺様はこっちだぞ?」

 だが、死者の王であるムレイがこの程度で終わるはずがない。それをロイドはわかっていた。

 なのに、

「おいおい、そりゃ反則だろ」

 徐々に姿を消していくムレイを見た時は、流石に動揺を隠せなかった。

(どこにいやがる……)

 そうロイドが思っていると、突然横腹に衝撃が走った。

「チッ……!」

 同時に、ムレイが再び姿を現す。

 無防備だったロイドは蹴り飛ばされ、派手に壁を破壊して土煙を巻き起こさせた。

「おとなしく、ソール様の命に従え」

 ムレイはロイドにそう促し、さらに謎の言葉を付け加える。

「お前に、勝ち目はない」

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